天才王女は、謎の旅人に興味を持ちます
「え、私に面談の申し込み?」
ミリダが淹れてくれた紅茶を飲んで一服していると、執務室に入ってきたケーネが面談の申込書を差し出しました。
「そんなもの、いつも山のように届いているじゃない? ケーネが私にわざわざ言うってことは、何かあったってこと?」
「そうだな、普通に手続した一時滞在者が王宮まで来て、エレナに面談を申し込むってのは珍しくないか?」
「確かにそうね……気骨があるのか大馬鹿なのか……ちなみにどんな人?」
ケーネにも椅子を勧めつつ、尋ねてみます。普通は王族に対して面談を申し込むには、最低でも二週間以上前にはアポイントを取ってくるものなのですが……
「関所の記録には『旅人』と書かれてるけど……出身地は空欄だな」
ケーネの言葉に、私はわずかな引っ掛かりを覚えます。
「出身地が空欄……? それって、よくあることじゃないよね?」
「ああ。別に出身地の記入を強制しているわけではないが、疚しいところがあるやつ以外は普通書くわな」
「そうよね……ケーネの言う通り、出身地に疚しいところがあるのか、それとも別の理由か……」
順当に考えればウチの偵察でしょうけれど、私に面談を申し込んできているということは密偵ではないのよね……
であれば、受けてみるのも面白いかもしれませんね。
「ケーネ、明日か明後日ぐらいに一時間、どこかで空けられない?」
「ん? エレナお前、面談を受けるってのか⁉ こんな、どこの誰とも分からない奴の?」
「ええ、もちろん。私の直観が正しければ、この人は何かを求めて私に会いに来てるわ」
「直感ってお前……まあ、いいか。明日の昼になら空けられるぞ?」
ケーネの言葉に、私もスケジュールを確認します。面談はしたいですけど、さすがに一対一でやるわけにはいきません。だからケーネにスケジュールを確認したのですが、何とかなりそうで安心しました。
「なら、ケーネには護衛をやってほしいわね。よろしくお願いします」
「そりゃ構わないが……一体、何をしに来たんだろうな? 一応、リダたちに見張らせておこうか?」
「うーん、多分なんだけど、この人はウチに害を及ぼしに来たわけじゃないと思うよ。何か悪いことをしようとするなら、むしろプロフィールは入念に偽装してくるはず。それをせずに面談の申し込みなんだから、行き当たりばったり的な面談の申し込みなんじゃないかな?
ここにきて、それを決めたということは私の執政に何か思うところがあったってことでしょう。私としても、他の国の人からどう評価されるのか気になる所だし、いい気分転換にもなるはず。だから受けようと思ったの。理由としては十分でしょう?」
「ま、俺がエレナのすることに口をはさむのもおかしな話だしな。エレナが好きなようにするのを、支えるのが俺の仕事だし」
「ケーネ達が支えてくれるからこそ、私も無茶をできるんだからね。明日は本当によろしく」
さあ、謎の旅人さんは何を話しにここへやってくるのでしょうか。明日が楽しみです!




