お嬢様は王宮に到着します
国境を越え、王国のメインストリートに入ると車外に白亜の王宮が見えてきました。こうして王国を離れ、また戻ってくるとなると安心感が違いますね。
「おかえりなさいませ、エレナ様」
「ただいま、みんな留守をありがとうね」
車を降りた私たちを、宮中の多くの人が出迎えてくれました。道中のことはまだ知れていないはずですが、帝国で私が囚われたことはみんな知っているはずです。それもあって、今まで帰ってきた時よりも皆の顔には安堵の色が濃く見えますね。
出迎えてくれた人たちに会釈しつつ、私は執務室へ。布団に飛び込みたいのはやまやまですが、まずはお父様とお母様に事の顛末を報告しなきゃいけません。心配もかけたでしょうし。
身なりを軽く整え、ドアをノックします。
「失礼します、エレナです。ただいま戻りました」
「エレナちゃん! 大丈夫だった!?」
ドアを蹴破るようにして飛び出してきたのはお母様。勢いよく抱き着いてきたお母様を慌てて抱き留めると、その眦に涙が浮かんでいるのが見えました。
「お、お母様? いきなりどうなさったのですか……?」
「『どうなさったのですか?』じゃないわよ! エレナちゃんがあの変態大臣に捕まったって聞いて、本当に心底心配したんだから。リダから報告を受けなかったら、国軍を率いて帝国に攻め入る所だったわ!」
それは確実にやりすぎでしょう! リダを報告係に回してよかった!
まあ、私のことをそこまで心配してくださったことは嬉しいのですが。
「レーナ、そのあたりにしておきなさい。エレナも疲れているだろうから立ち話は辛かろうて。
いや、報告は明日にするか。今日はゆっくり休みなさい」
執務室から出てきたお父様が、お母様の肩を抱きながら私に微笑みかけます。いつ見てもこの二人は仲がいいですね。こんな夫婦は羨ましいです。
ここはお父様の言葉に甘えて、報告は明日にしましょうか。けれど、今日中にやっておかないといけないこともあるのでお父様に改めて向き戻ります。
「お父様、結核患者を一人連れて帰りました。ですので、これから別邸の方に医師を呼んでもよろしいでしょうか?」
「ああ、構わんよ。だが、まずは休みなさい。私が言うと説得力がないが、上に立つものが体調を崩しては下の者たちが不安がるぞ?」
確かに、お父様が体調を崩されたときに宮中はてんやわんやでしたからね。今は復調なさっていますが、常にそばに王宮付きの医師が付いている状況です。お父様自身も、ままならぬ思いがあったあことでしょう。
「分かりました、治療はひとまず医師に任せて、私は休もうと思います。お母様、お父様、おやすみなさい」
「おやすみ、いい夢を見るのよ?」
「おやすみ、ケーネ君たちも休ませてあげるといい」
私は二人に挨拶をすると、そのまままっすぐ部屋に向かいます。部屋に入ると案の定、ケーネ達がが荷物の片づけをしていました。
「みんな、今日は休んで頂戴。何かやらきゃならない作業があれば、宮中にいた人に任せちゃっていいから。お父様もみんなに休んではどうか、とおっしゃっていたし。
ミリダ、護衛の人たちはどこにいるのかしら?」
「宮中の大広間を開放し、そこに逗留していただいております。いかがいたしましょうか?」
「宮中の南端に余ってる部屋がいくつかあったでしょう? あそこに皆さんを案内してあげて。あと浴場も使ってもらって構わないわ。
私の命を救ってくれた人たちだもの。それぐらいしてもバチは当たらないでしょう。それが終わったら、貴女も休んでね?」
かしこまりました、と頭を下げるミリダをよく見ると、彼女ははどこか眠たそうです。視界の端にベッドが見えると、私のまぶたも途端に重さを増してきました。
部屋からぞろぞろ出ていくみんなを見送り、ベッドに転がるとすぐに意識が深く沈んでいくのでした。
引きこもりの筆者が昨日、外を歩き回らなければならない用事がございまして、家に帰れば作中のエレナのごとく死んだように寝てしまいました。そんな経緯もあり、今日の更新話はみんな眠たげだったのです!
あ、どうでもよかったですか……すみません言いたかったんです……




