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お嬢様は帝国一の情報屋と交渉します

昨日、ついに総合評価が4桁になりました! ありがとうございます!


太平洋高気圧の気圧と同じぐらいに伸びましたね。つい最近まで大型台風の気圧ぐらいだったんですけどね。いや本当に、ありがたい限りです! です!


昨日のあとがきでも申し上げましたが、筆者は『天才王女』をみなさんとともに『すごい物語』にしたいんです。ですから、『ここ変えたほうがいいよ!』とか『ここの展開おかしくね?』という部分がありましたら遠慮なくおっしゃってください。筆者は他の素晴らしい書き手さんと違ってポンコツですので……あ、バレてました? ですよね!


それでは皆様、これからも『天才王女』をよろしくおねがします!

「今日は何の用だ? わざわざリリンフェルトが俺のところに来たってことは、よっぽどの用事があったんだろ?」


「ぬかせ、お前なら俺がなんで来たのかなんてわかってるんだろ? そんなに時間があるわけじゃないんだ、説明している時間がもったいない」



 そんなにツンケンしなくても、と思ったりもしますが、確かに時間がないのは事実です。私たちは少しでも早く王国に戻り、ザルバ大臣を糾弾してエスティアさんを治療しなければならないのです。

 しかも、大臣は共和国が王国に攻め入ると考えています。その目論みは阻止しておきましたが、阻止されたと気付けば別の手を打たれるかもしれません。その前に王国に戻っておきたいものです。


 そんな私の内心を見透かしてか、ベックの視線がわずかに鋭くなります。



「とりあえずそこの王女さまをスティアー卿の所まで連れて行き、なおかつ病床のエスティア女史も王国へ逃がすってところか? どうだ、当たってるだろ」


「その情報収集能力はさすが『万能の天才』だが、一つだけ追加がある。そこの姫さんに、ドレス以外の服を用意してやってくれないか?」



 ベックはリリンフェルトさんの言葉に一瞬固まった後、手を叩きながら盛大に笑います。目尻には涙まで浮かべて大笑いしていますが、私は笑われているように感じて少しモヤモヤします。


 しかし、ベックの情報収集能力にはうすら寒いほどの凄みを感じます。私が王女であるということを知っている時点で情報通ですし、私がスティアー卿のところへ向かおうとしていること、エスティアさんを王国へ連れて行こうとしていることまで知っているなんて恐ろしいとしか言いようがありません。


「確かにそのドレスで逃避行は辛いだろうな! てか、ちょいちょい汚れてねえか? 王女さまとあろうお方が、えらく落ちぶれたもんだ」


「私を煽るのは構わないけれど、あなたはその条件をすべて叶えられるの? 叶えられるのなら、なるべく早くして欲しいのだけれど」



 私の言葉に、ベックは表情を一瞬で消してこちらに向き直ります。痛いほど突き刺さる視線に、しかし私もひたと目線を合わせて対応します。



「お嬢さん、俺のことを知らないでそんなふざけたことを言ってるのか? その程度のこと、俺にとっては造作もねえんだ。

 だがな、それだけのことを俺にやらせるんだ。当然対価は弾んでくれるんだよな?」


「私は王女よ? 王国に帰れば、すぐさま報酬を払うと約束するわ」


「悪いが、うちは先払いが基本でね。嬢ちゃんの世界みたいに、綺麗な場所じゃないんでね。

 今すぐに金貨40枚。それだけの金を積んでもらおうか」



 王国と帝国、どちらも貨幣は共通ですが40枚とは……それだけあれば、一等地に家が建つんですけど……


 もちろん、そんな大金を持ってきているわけがありません。向こうもそれを知っていて吹っ掛けているのでしょう。



「手持ちでその額はさすがに無理よ。建前はいいから、あなたの望みは何?」


「望みなんてねえよ。仕方ない、あんたが身体で払うってんなら、支払いを待ってやってもいいぞ。てか、リリンフェルトはそんなことも伝えてなかったのか? うちの相場は他所よりも高いんだ」



 知ってたの? という非難の視線を向けると、リリンフェルトさんはバツが悪そうに頬を掻いていました。


 ……まあ、確認しなかった私も悪いですし、何より言われていたとしても用意する時間はなかったので許しましょう。


 そんなことよりも、この眼前の失礼な男をどうにかしなければなりません。



「私の身体がそんなに安いとでも? そう考えているのなら、あなたは一回病院に行くことをオススメするわ」


「おい、言葉に気をつけろよ……? 俺は相手が王女だろうが王様だろうが、容赦をするつもりはないぞ」



 腹の底が震えるような、凄みを感じさせる雰囲気に膝が震えかけます。しかし、こんなプレッシャー、質は違えど外交の場でいくらでも味わってきたはずです。


 私は努めて冷笑を作ると、ゆっくりと言葉を選びながら口を開きます。



「だから、私をそこらの女として扱うと? ならなおのこと、考えが浅いと言わざるをえないわ。

 仮にあなたがここで私に危害を加えれば、それこそ王国が黙っちゃいないわ。自国の姫が純潔を奪われた、そんな相手を生かしておくはずもないわね。 

 そしてあなたが私たちのお願いを聞かなかったとしても、すでに対応策は打ってあるから問題はないの。そして王国に帰れば、何かしらの理由をつけてあなたを潰せる。それだけの情報収集能力、合法的なことだけでは済まないはず。叩けばいくらでも埃は出てきそうね。

 どのみち、あなたは私に協力するしかないのよ」


「……そこまで考えてんなら、なぜ俺に『協力』を求める? 命令して無理やり従わせればいいじゃねえか」


「私はね、自分で見たものしか信用しないようにしているの。その私が、あなたの『能力』を高く買ったの。それだけ能力のある人間を、権力なんてつまらないもので縛るのは主義に反するわ」



 年齢や人種、性別、身分なんてその人の本質を表すということに関しては何の役にも立たないのよ。そんなものはただの副産物でしかなくて、そんなものに囚われて能力のない人間が才のある人間を縛るなんてもったいなすぎます。


 そんな私の考えを、ベックは———



「ははっ! 面白え、面白えよ姫さん!」



 ガハハと笑いながら受け入れたのでした。






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