#2 盗賊少年と盗賊少女と姫と暗殺少女と腕輪と [シーン1]/ THIEF BOY,THIEF GIRL,PRINCESS,ASSASSIN GIRL AND RING [scene.1]
第2話シーン1
2020年4月3日:微調整
2020年4月12日:微調整
2020年5月11日:加筆&微調整
2020年5月20日:修正
世界を巡る歴史は愚かな人類史でもあった。
たった一つの小さな発見、そこから醜い人類の本質を浮き彫りにしていった……。
西暦2020年、名古屋の某研究機関に所属する科学者が未知の粒子を発見した。
その粒子は配列や流動の制御によってあらゆる物理現象を発現させることが出来た。
この発見は枯渇の一途をたどるエネルギー問題の解決に一筋の光明を射した。
西暦2025年、発見された未知の粒子は、研究が極秘裏に進み、その特性から『魔素』と名づけられた。
西暦2030年、魔素の研究が進むにつれ、既存のエネルギー技術を遙かに上回るエネルギー量の確保が可能となり、『魔素工学技術』通称『MET』が確立。日本は唯一のMET大国となった。後の歴史家は一連の出来事を『魔素革命』と名づけた。
西暦2031年、スパイ防止法を成立していなかったため、某超大国の諜報活動および工作活動によってMET基礎理論が各国に流出、日本は技術的優位性を失った。
西暦2032年、METを巡り第三次世界大戦が勃発。軍事技術、兵器開発にMETが転用された。人類は愚かな歴史を再び綴ってしまった。
西暦2033年、名古屋の某研究機関は高濃度の魔素による生物への汚染のメカニズムを発見。汚染による被害のシミュレーション結果は核兵器による放射能汚染よりも甚大と算出される。
西暦2035年、アメリカ国防高等研究計画局が魔素濃縮技術の確立、それと平行して活用した新型爆弾が完成。同年ロシア首都モスクワへ投下された。
西暦2036年、モスクワにて高濃度魔素による汚染で生物の変質現象を観測、この現象は後に魔人化と命名される。魔素汚染体となった生物は世界中に拡散、新たなる驚異の誕生により第三次世界大戦は否応なく終結し、第一次人魔戦争へと移行した。
西暦2040年、名古屋の某研究機関、対魔素汚染体兵器の開発が完了、後の歴史で魔銃と呼ばれる。
西暦2050年、第一次人魔戦争は文明社会の衰退により終結した。歴史は否応なしに中世へと文明が巻き戻された、かつての歴史の名残を残しながら……。たった三十年の間のことだった。
そして……ある時を境に西暦は聖歴に移り変わった。
◇
<聖歴2490年10月5日(木)[午後 5:27]/H.A.2490/10/5(Thu) [PM 5:27]>
廃墟の都市、燃えさかる炎と灰色の空、降りしきる雨の中に無数の死が転がる地で、幼い少年は泣きじゃくれていた。たった数分で、平穏だった都市は地獄絵図の瓦礫の山となった。
「坊主……お前、一人だけか?」
そこへ黒い外套を身に纏った男が少年に声を掛ける。少年は何も言わない。
「……行く場所がないなら来るか?」
それが少年と盗賊組合『夜烏』の頭領ゲンゴロウとの出会いだった。
◇
アイチ王国は、西暦時代の日本国は愛知県に建国された王権制の国家。
建国の父とされるショウマ・アイチは魔素研究の第一人者。
当初は魔素汚染体から生き残った民を護るため国家という形が全て消失してしまった世界の中で王権制の国家の建国を宣言。
幾月、幾年の時間が流れ、第九十代アイチ王国国王ゼック・アイチが暗殺され、そしてあの夜、少年とレミ、そしてアイチ王国皇女シェリア・アイチは運命を交差した。
世界は、望まずとも動き続ける。
運命は、望まずとも廻り始める。
◇
雨の音が部屋に飛び込む中、少年はうっすらと目を覚ます。
「……ここは……」
少年の目に飛び込んだのは古ぼけた部屋の天井。
「あ、起きたわね」
そしてレミの顔だった。
それから少年は時計に目を見やる。
<聖歴2500年3月6日(土)[午前 7時45分]/H.A.2500/3/6(Sat)[AM 7:45]>
◇
「レミ……お前……」
「え? あ、あぁ。私なら平気、あのサエキって大臣、容赦ないね」
レミはおどけたように微笑み、だが顔や身体中にはサエキの暴行による打撲痕が生々しく残っていた。
「うぐっ!」
少年は激痛に呻く。
「あ、バカッ。まだ傷口、完全に塞がってはいないんだから」
「……傷口……」
少年は己の腹部に目をやる。包帯で巻かれた自らの腹部と包帯に染み出る血。そして飛翔広場での出来事。
「……」
少年は腹部に走る痛みを食いしばって耐えながら傷口をジッと見る。
◇
<聖歴2500年3月5日(金)[午後 11:59]/H.A.2500/3/5(Fri) [PM 11:59]>
少年は意識を失ったまま、引き金を引く。
手にした銃の口から青白い光が集束し、全てが集った時、光は亜音速でサエキに向かって放たれた。
「まずいっ!」
サエキは己の翼で上空へと飛ぶ。すんでの所で光が横切った。
「……まさか魔銃士が現代に現れるとは……」
一転して人を食ったような様子はなりを潜め、サエキは少年を見やる。
「〈目標の生体反応あり〉」
少年の声に女性の声が再び重なる。再び銃口に大気が収縮されていく。
「これは分が悪い……ひとまずはっ!」
サエキが翼で突風を巻き起こす。
――魔銃士の里は数年前に滅ぼしたはず……まさか……生き残りかっ!?
思案し、サエキは姿形を消す。
「〈……目標消失。代理使役終了、自動モードを解除します〉」
少年はその場に崩れ落ちるように倒れる。銃は再び発光し、元の腕輪に戻っていた。
「一体……何が……」
一人呆然としていたシェリアは、ポツリと呟く。その問いに答える者はいなかった。
◇
>ユーザー登録:再開
>新規ユーザーDNA:記録完了
>システム適合率:87%
>システム使用許諾:適正
>ニューロリンク:完了
>シナプスリンク:完了
>サテライトリンク:エラー
>ユーザー登録:完了【A.D.2500/3/6】
>承認:待機中
◇
<現在/PRESENT TIME>
「わけ、わかんねー」
少年は開口一番にボヤく。
「私もよ」
レミは少年のボヤきに同意する。
たった一晩の間に起きた数々の出来事と、いくつかの謎。
――……とりあえず現状の疑問点を整理しないとな……。
少年は傍らに置いてあった紙を手に取り、羽根筆の先に黒色の墨汁を付け、疑問を書き出し整理し始める。
【疑問:なぜシェリア・アイチ姫殿下は命を狙われていたのか】
【疑問:サエキの目的とは】
【疑問:暗殺者の正体とは】
【疑問:どうやってあの窮地から脱せたのか】
「現状、俺の中での疑問は四つか……」
少年は書き出した疑問を見直し、羽根筆の先を指先で拭き取り机においた。同時にガチャリと扉が開く。
「……あんた……」
そこにはシェリアが毅然とした出で立ちで現れた。
#2の始まり始まり
ここを作り上げるだけでも時間がかかるがもっと時間かかるのがこのあとのシーン2と3。
ポンポン書ければいいけど、いかんせん文才の無さは自覚してるんでorz