#0 伝説の終焉/EPILOGUE OF LEGEND
本編開始は次回からです
2020年4月19日:空白行追加
2020年5月9日:1行追加
――現在とは異なる現代の遥か未来にて――
<聖歴2200年3月5日(水)[午前 9:30]/H.A.2200/3/5(Wed) [AM 9:30]>
荒涼とした大地にて、純白の魔銃を手にした男は魔王と呼ばれる異形の怪物と相対していた。
「ったく……冗談キツいぜ」
身体中の傷口からは、男の血液が止めどなく流れ出していた。息が切れそうになりつつも、それでもなお眼前の怪物に立ち向かうために、力を振り絞って大地に立つ。
「はぁ……はぁ……」
男は呼吸を荒く、魔銃を持つ手は震えが止まらない。
「もって……後一発……か……」
魔銃の回転式弾倉に残された弾丸は一発のみ。肩の傷口から指先を伝って、魔銃に男の血液が付着する。その刹那、魔銃は大きく胎動した。
「へっ……こいつと一緒に戦うのもこれが最後か……」
男は目を閉じる。そして全神経を、意識を、魔銃に集中する。銃口を魔王に向ける。
「奴がくたばるか……俺がくたばって人類が滅びるか……まったく……神はふざけた運命を用意するぜ」
魔銃が、強く、青白く、光り輝く。男は、銃口を、眼前の、怪物に、向ける。
「最後の一発だ、味わえよ……魔王」
引き金が引かれた。その瞬間、銃口に光が収束し、一本の光り輝く槍となって、轟音と共に解き放たれた。
「ぐあっ!」
その反動で男は後方にのけぞり、地面に叩きつけられる。
「ぐっ……うっ……」
倒れた際の痛みに男は呻く。
「はぁ……はぁ……へっ……決着だ、バケモン」
槍は真っ直ぐ魔王に目がけて飛ぶ。青白い光を纏い、紫電を走らせ、大地をえぐりながら飛ぶ。そして、魔王を穿つ。魔王の身体は槍によって空けられた穴から漆黒の体液を流し、やがて塵となって消え去った。
「……終わった……か」
それを見届けた男は、倒れたまま空を見つめる。
「神は……不公平だ……」
呟き、そして悟る、己の死期を。
「疲……れ……た……な……」
目を閉じ、男は静かに息を引き取った……。握られた魔銃は白い光の粒子となって消え去った。
こうして人類の存続をかけた戦いは終わった……だが、物語は、まだ、始まっていない……。
◇
西暦2020年、日本の科学者が大気中から未知の粒子を発見した。その粒子は架空の存在であったはずの魔法を実現させることが出来るものだった。その性質から、粒子は「魔素」と名づけられ、枯渇の危機に直面していたエネルギー問題の解決の救世主と期待されていた。だが、新たな技術を愚かな行為に扱うのは人間の性、魔素濃縮技術とそれに伴う新兵器の開発。そして技術を巡る第三次世界大戦の勃発、だがその結末は高濃度魔素による生物の突然変異、通称「魔人化」により人類同士の争いは一転して人類対魔人の様相となった。後の歴史家は「人魔事変」と名付け、ある時を境に暦は西暦から聖歴へと変わり、世界は、それまでの有様から変わらざるを得なかった……。
◇
そして聖歴2500年……。
新たなる魔銃士の誕生から、物語は産声を上げて始まる……。
駄文なファンタジーはじめました。
魔銃士物語がタイトルで、後ろの長いのはペッツのオマケです。
趣味全開でいいじゃないか、人間だもの。