挿頭草(かざしぐさ) (卒業①)【春の詩企画】【ほころび、解ける春】
お時間いただけましたら、お目通しお願いいたします。
落としたコインの行方を追って
一緒にかがみこんだ自販機の下
忘れないよ 初めて会った日の君の事
何かを成し遂げたかじゃなくて
一緒にいられることがすごいことだと
その奇跡をくれた 君の事
二人で逃げ込んだ用具置き場
日が落ちるのを待ち 眠り込んだ夜更け
教えてくれた君の夢 叶うことを心から願う
今別れ行くときとなりて
足の震えが止まらないのは
未来とか不安とか恐れとともに
別れ行く君のこと どうか 幸あれ
ふくらんだ桜のつぼみがほころぶ頃に
僕らは違う道を歩み始める
僕はきっと忘れないよ
あの日の自販機の下
交差点ではす向かいに出会えば
回り込んで会いに来てくれた
交わす言葉は「元気?」それだけなのに
赤信号で止まる僕 青信号で渡る君
歩くスピードや 行く先が違っても
君の事を思うよ きっとこれからも
鳴らされたクラクション ふりかえりもせず
進んでいく君の背をただ見送りながら思う
君の夢がきっと叶いますようにと
今別れ行くときとなりて
僕の涙が止まらないのは
未来とか不安とか恐れとともに
別れ行く君のこと どうか 幸あれ
衝動的に沸き起こる春の風の中
君が零れ桜ごしにかすんで見えた
今さら伝えられなくて
飲み込んだ言葉 消せないこの想い
君が幸せなら忘れていいよ
あの日の自販機の下
僕が覚えているから
あの日の自販機の下
この詩、作者の中のイメージは、よわっちい男子と強い女子の組み合わせです。
タイトルの挿頭草は桜の事です。
お読みいただきありがとうございました。<(_ _)>