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始皇帝記 ~DG6~  作者: 小泉るか
デモゲ6-1
63/106

DG6 061 カレン女王

カレン首都 中央議会


サトシ「統治主は女王だったっけか」

シバキ「そう。政治は議会が仕切ってるけど、決定権は女王って国ね。あらかじめ調べたけど、政治家に目立った人物はいなかったから女王にだけ会えばいいんじゃない」

サトシ「大国でもないし、それでいいか。どんなヤツかな」

シバキ「若くて聡明らしいけど、まさかサトシ、俺の女になれとか言いださない?」

サトシ「いや、会ってみないとわからんなー」

シバキ「無節操な」

サトシ「いやいや(笑」


兵士「ようこそカナン新王様。すぐに女王様のお屋敷までお送りいたします」

サトシ「その必要はない。飛んでいくから場所を教えてくれ。どこにいるんだ?」

兵士「女王様はお屋敷におります。首都を見渡せる山岳のふもとにございます。ここからも見えまして、あちらに見えるお屋敷です」

サトシ「あの青い屋根のか。ごくろう」

兵士「はっ!」


サトシ「ここか。たのもー。カナン王の北条だ。女王に会いに来た!」

小物「今すぐお通しいたします!女王様!女王様!」

カレン「これ、もう王ではないと何度言ったらわかるの」

小物「女王様はいつまでも女王様でごさいます」

カレン「あら、来客?」

サトシ「カレン女王か、初めましてだな。この度は大義だ。カナン新王の北条サトシ。降伏の報を受けて間もないため、妹だけ連れてきた」

カレン「噂通りの大魔導士ですのね。議会決定は昨日だというのに。申し遅れました。私が元カレン国王のカレン8世です。どうなりともしてください、覚悟はできております」

サトシ「どういうことだ?」

カレン「新王は旧カナン王を実力で廃し、覇道を行く方と聞き及んでおります。国の降伏は許しても、元統治者は斬首するのが歴史の通例ですから」

サトシ「そんな気で来てはいない。単純に礼をしようと思ってな」

カレン「それはそれは。失礼をいたしました」


シバキ「失礼ですが女王の戦闘力は一般人と同じですね。よくその強さで王国を維持できる。凄いことだと思います」

カレン「もともとこの一帯は貧しい田舎の山地です。資本家であった祖先の代から、世襲により受け継いただけです。何も偉くはございません。今回の降伏も、戦うほどの力を持った諸侯がおりませんので当然の結果でした」

シバキ「報告では2万の防衛兵がいると聞いていたけど?」

カレン「それは民の数を数えたにすぎません。各地方に5000の兵と言えば聞こえは良いですが、実態は全く戦ったことのない民兵ばかりなのです」

サトシ「土地に価値がないから攻められることがなく、国をなしていたというわけか」

カレン「はい。カナン国とも表向きは同盟という立場でしたが、実態は庇護下に置かれた一地方です。そのため代々カレン国は存在を許されていました。新王は就任と同時に無税を約束なさりました。それはこの地に平和をもたらすもの、そのものだったわけです。降伏はすぐに決定させました」

シバキ「なるほどね。ここにも無税政策の影響が及んだってこと」

サトシ「おいおい、自分は殺されると思っていて、それでも降伏して、逃げもしないでいたわけか」

カレン「統治者が逃げ出しては国民に被害が及びます。人々のことを思えば当然だと思いますが」

サトシ「さすが女王だな。国が上手く回っていたことにも納得できるわ」

シバキ「カナンにいた大臣なんて、保身とワイロにしか興味のない俗物だったもんね(笑」

サトシ「あれはひどかったなー。カレンにはいないのか?そういった腹黒の粛清すべき大臣や政務官や諸侯は」

カレン「粛清など。先ほど申しました通り、カレンは貧しい土地柄の国。そのような輩がのさばるほどの豊かさはないのです」

シバキ「わかりました。では、こちらの兵の一部を入れ、調査という名目で施しを確約しましょう」

カレン「ありがとうございます。平和と安定が続きますよう、心からお祈りいたします」


サトシ「じゃあどうするか。一応、国家統一ってことで国名は地方名にして女王の立場からも退いてもらうが、地方責任者ってことで残ってもらってもいいのかな?」

シバキ「そうね。残ってもらうのがいいんじゃない。中央集権方式だから、兵として使える数がいれば出して欲しいってぐらいかな。いればでいいけど」

カレン「わかりました。私でお役に立つのであれば、喜んで」

サトシ「よろしく。じゃ、またいずれな」

カレン「ご訪問と寛大な処置に、心より感謝いたします」

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