DG6 005 重要なことを忘れてた
サトシ「着いた着いた。やっとだな」
アスカ「ずいぶんかかったね」
サトシ「10kmどころじゃない大回りしたからな」
シバキ「女はおろしたよ。服を買うのと移動費ぐらいのルピアは持たせた」
サトシ「あいよ」
シバキ「じゃあ皆さんお疲れさまー。解散です」
女1「あの…もう行く場所がないんです。どうしたらいいでしょうか?」
シバキ「身内とか頼れる人はいないの?」
女1「はい。私たちは旅商人でした。襲われて男は皆殺しにされ、残ったのは私たち女手8人になってしまったんです。それにこの子は山小屋で家族を皆殺しにされ、身寄りがないんです」
サトシ「女9人か。好みでもないしな。どうするシバキ?」
シバキ「アタシ? んー。村でも作る?」
サトシ「村?」
シバキ「タカさんが昔、ニートを集めて村を起こして、それが成功して町になったって話を聞いたことがあるの」
アスカ「その話なら私も詳しく知ってる」
サトシ「でもよ、9人じゃ村になんないだろ?」
シバキ「最初は宿を貸切るぐらいでいいのよ。どんどん人を呼んで、いずれ町にするの。どう?」
サトシ「じゃ、立地はどうする? まず川が必要だな。あと道か。温泉とか欲しいな」
アスカ「それより仕事をどうするかじゃない? 9人しかいないし」
シバキ「そうねえ。9人は何かできることや、やりたい事はないの?」
女1「私は料理ぐらいです」
女2「私も…」
女3「特技はありませんが、与えられた仕事はやります」
女4「裁縫なら、何とか…」
女5「…すいません」
女6.7.8「…」
少女「なーに?」
シバキ「うーん」
サトシ「こんなへんぴな宿場町じゃ、宿屋でも9人はキツイんじゃねーの?」
アスカ「いっそトラックで王都目指す?」
サトシ「それも手だけどな。人が増えると思うとな、守るのも辛いし」
シバキ「派遣会社は?」
サトシ「は?」
シバキ「村じゃなくても、派遣で仕事を作ってあげれば良いんじゃない?」
サトシ「会社でも興すってのか? ってもよ、こんなところじゃ無理だろ」
アスカ「やっぱりトラックの旅ね」
シバキ「人を救うなら中途半端はダメだって、タカさん言ってたよね」
サトシ「うーむ。あー、そういや私設軍隊作らなきゃいけないんだった」
シバキ「何それ聞いてないんだけど?」
サトシ「国を興す必要がこの旅にはあるんだよ」
アスカ「え、冒険するんじゃないの?」
サトシ「クククッ」
アスカ「まさか、征服?」
シバキ「村どころじゃないわね」
サトシ「そうそう。帝国を作るのがこの世界に来た最終目的だ」
アスカ「ついていけないわ」
シバキ「まあ、やるってんなら止めないけどね。それで、何からやるの?」
サトシ「まず俺たち3人はこの世界の誰よりも強くなるか、権力を持つ」
アスカ「そこからしてついていけない」
シバキ「タカさんの二番煎じにしか聞こえないけどね」
サトシ「まあ、これからはもっと人の人生を買うぐらいのことをしなきゃいけねーってこった」
シバキ「その前に、この9人のことを考えてあげたら?」
サトシ「養うよ。守るよ。もう腹くくったぞ俺は」
シバキ「で、どうするの?」
サトシ「9人にはメイドになってもらう」
シバキ「メイドねえ」
アスカ「うーん、コテージには予備があるから平気だけどね」
サトシ「よし。問題ない!」
シバキ「じゃあ一緒に旅をするってこと?」
サトシ「王都まではそうなる。拠点は王都に作る。灯台下暗しだな」
シバキ「とりあえず食事でもして考えましょ」
サトシ「賛成だ」
サトシ「さー好きなだけ食べて、好きな服を買ってくれ」
女1「ありがとうございます」
シバキ「もう、飲んでやる!」
アスカ「まあまあシバキ」
シバキ「あんたも飲んでみろー! サトシィー!」
アスカ「できあがるの早っ!!」
サトシ「おはよう」
シバキ「んー、解毒呪!」
アスカ「おはよう。9人の女性どうするの?」
サトシ「あー、あったな、そんなの」
シバキ「養うって言ってたよね、たしか」
サトシ「まーな」
シバキ「名案でもあるの?」
サトシ「とにかく王都へ行く。トラックの改装に布団や毛布を買っといてくれ」
シバキ「で?」
サトシ「王都近くに土地を買って、でかい家を建てる」
シバキ「ふーん」
サトシ「土地では食料も生産する。軍隊も作る。そこを拠点にする」
シバキ「うーん、あとは上が許可するだけか」
サトシ「嫌でもうなずかせるさ」
シバキ「覚悟があるなら、いいわ」
サトシ「今日は300kmを一気に移動するぞ。まずはそこからだ」
アスカ「じゃ9人呼んでくる」
サトシ「よし出るぞ」
シバキ「じゃーみんな、王都まで行くよー」
女1「え? 300kmもあるんじゃ? 私たち馬には乗れません」
シバキ「移動魔法みたいなものよ。1日もかからないから」
女2「昨日泊めて頂いた家も見たことがないほどキレイでしたし、本当に何者なんですか?」
シバキ「ただの冒険者よ。ちょっと変わってるだけ」
サトシ「行くぞ。飛ばすぞー」
アスカ「事故らないでね」
ブオー