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始皇帝記 ~DG6~  作者: 小泉るか
デモゲ6-1
35/106

DG6 033 将軍アリス

サトシ「伝心呪ナルミ」

ナルミ「な、サトシ殿ですか」

サトシ「そうだ。この世界でも繋がるんだな。今どのあたりだ?」

ナルミ「まもなくクオン軍キャンプ跡です」

サトシ「では制圧が終わったら警備兵を残してきたのミツマタ首都に向かってくれ。戦闘はしなくていい、首都を包囲するのが目的だ」

ナルミ「了解しました。この術は私でも使えるでしょうか?」

サトシ「多分な、魔導士なら術式の理解は容易いだろ。この戦争が終わったら教えるよ」

ナルミ「ありがとうございます」

サトシ「任せた」


アスカ「え、もう首都まで攻めるの?」

サトシ「8000来てるってことは防衛は2000だろ。制圧しなくても、町を押さえておけば行動を大幅に制限できるはずだ」

シバキ「確かに、募兵とかされると厄介になるもんね」

サトシ「そういうことだ」

アスカ「なるほどね」

サトシ「じゃ、出るか。8000を何とかしてから15000のことを考える」

アスカ・シバキ「OK」


アスカ「起きてサトシ!今日は勝負どころよ!」

サトシ「あと5分」

アスカ「いつもそれ!今日はダメ」

サトシ「んー?あー、ああ、そうか」

シバキ「朝食よ、軽食だけど」

サトシ「お、ハムサンド」

アスカ「シバキいつから料理できるようになったの?」

シバキ「少しだけね。おばーちゃんに教わったの」

サトシ「母さん料理できねーもんな(笑」

アスカ「魔界じゃおなかすかないからしょうがないでしょ」

サトシ「いや、母さんの場合は関係ないと思うぞ」

シバキ「今でも通称赤い悪魔で通ってるぐらいだもんね」

サトシ「そうそう。アオイおばさんのような、しとやかさが全くない」

(魔界) ミドリ「くしゃん!」


サトシ「じゃあ出るか。8000は目前だよな?」

アスカ「サーチ君に60km反応」

シバキ「OK」

サトシ「近くに砦や町は?」

アスカ「約20kmに町、25kmに砦」

サトシ「じゃ30kmまで飛ばすぞ。軍に入られたら厄介だからな」


プルプルプルー

アスカ「9kmに敵反応。約8000ね。将は攻撃4015魔力4690タフネス4255」

サトシ「お、今度は魔導士か。ナンバーツーはどうだ?」

アスカ「攻撃1235魔力1056タフネス982」

サトシ「普通か」

アスカ「作戦は?」

サトシ「今回はクオン隊が間に合わないからな、投降は促せないかもしれない。が、なるべく数は減らしておきたい。一撃離脱で行こう」

シバキ「こーゆー場合、敵将が降るのが一番なんだけど」

サトシ「8000を率いた将が降るかな? まあ、その作戦で行くか」

アスカ「できればね」

サトシ「もちろんだ。じゃ近くまでバイクでさくっと行こうぜ」

シバキ「OK」


プルプルプルー

サトシ「500mだ、クローズ。加速呪、強化呪、防魔呪」

アスカ「いつでも来い、ね」

サトシ「拡声呪 "ミツマタの将よ、我は北条サトシ。カナン軍の大将である。話がしたい。良ければ兵の前に出よ!"」

敵兵「ガヤガヤ」

将「大将自ら出向くとは天晴ながら、その首置いていけ!」

サトシ「ミツマタはもう終わりだ。4万の大軍が首都に向かい進軍中だ」

将「貴様が死ねばそれも終わろう!侵略者め!それに雑兵など烏合の衆、何万いようと物の数ではない!」

サトシ「4万の兵のうち1万はミツマタの兵士だった者達だ。制圧した町でも略奪や圧政は一切行っていない」

将「それが事実と証明できるのか!」

サトシ「戦う戦わないは別として、俺たちの転移魔法ですぐにでも町の状況を見に行かせることができる」

将「そうして私を捕える気か!」

サトシ「お前も魔導を心得る者なら読心呪ぐらい使えるだろう。こちらは3人しかいない。近くにきて術を試すといい」

将「…いいだろう!」

敵兵「将軍!?」

将「いい。私だけで行く。やすやすと捕らえられはしない」

サトシ「シバキ、アスカは待っていてくれ」

シバキ「OK」


将「名乗るのが遅れたな。ミツマタ第3の将アリスだ」

サトシ「女魔導士とはな、腰の剣も飾りじゃあるまい」

アリス「そちらこそ、大将としては若すぎるな。まあいい。では読心呪を使うぞ」

サトシ「ああ。なんでも聞け」

アリス「読心呪!」

サトシ「うちの将にならないか?お前じゃ俺には勝てない」

アリス「…本心らしいな。この状況で何を考えているんだお前は」

サトシ「最初は戦術的に8000の兵を奪えたらいいなと思ったに過ぎない。だが今は違う。お前を前にして兵などどうでもよくなった。その力を借りたい」

アリス「貴様…くそ、本心とはな」

サトシ「4万の兵が向かっているというのは嘘だ。向かっているのは1万の精鋭と先日までミツマタにいたクオンの軍勢だ。残り3万は準備が整い次第、向かう予定でいた」

アリス「すべて本心とはな。我が8000を3人で潰し、防衛隊が2000のうちに別動隊に強襲させる気だとはな」

サトシ「大まかに言えばそうだが、襲うって表現は好ましくないな。都市での戦闘は避けたい。面倒なだけではなく、一般人も巻き込んで遺恨が残るからな」

アリス「なるほど…な。では何故ミツマタに攻め入った?」

サトシ「世界統一の第一段階だ」

アリス「本気か!?そんな、バカな事ができると思っているのか?」

サトシ「俺は異世界から来た。俺がいた世界に比べれば、この世界は狭く文明も魔術も劣っている。容易にとは言わないが可能だ」

アリス「まさか、そんなことが…くそ、本当なのか」

サトシ「読心呪を使っても疑いたくなる気持ちはわかる。が、見ている世界が違うんだよ」

アリス「くっ、そうか。クオン達が裏切ったのにも納得がいった。なるほどな」


サトシ「無駄な死人は出すべきではないだろう。それにアリスが気に入った」

アリス「私を好くというのか?オバサンだぞ私は」

サトシ「時空魔法がある。抵抗しなければ少女にでも戻してやれるが、どうする?」

アリス「これでも私は将だ。なめるな」

サトシ「その気になったらいつでも言えばいい。戦争が一息つけば、若返っても問題はでないだろ」

アリス「もう言うな。…カナンはどうする気だ?ミツマタの存在を許しはしまい」

サトシ「なるべく平和的に解体する。腐敗した大臣共は一掃するがな。ま、今のところは国王一人が手に余る。光の剣と鎧とやらが桁違いだからな。何事もなければwin-winの関係が続くだろう。少しの間な」

アリス「…本心か」

サトシ「嘘は意味を持たないだろ?」

アリス「ふはは、カナンもとんだ虫を飼ったものだな」

サトシ「別にいいぞ、このことをカナンに直訴したってな」

アリス「嘘だ。バラされると困るだろう?」

サトシ「あー、今すぐだとマズいな。まだ勝てる手段が限られる。何とかなるっちゃ、なるんだが」

アリス「わが身可愛さにカナンに寝返るほど落ちぶれてはいない。だが、お前の本心は興味深い。連れの2人にも聞いておきたい」

サトシ「わかった。おーいシバキアスカ!こっち来てくれ!」


シバキ「話はまとまったの?」

アリス「2人はこの男と同じ考えなのか?」

シバキ「何の話?」

アスカ「征服のこと?」

アリス「そうか…、私はこの2人にも敵わないのだな」

サトシ「まあ術や装備の違いもあるけどな。ここに単純な強さを数値化する道具がある。強化解呪!」

カチカチカチ


アリス 攻撃4015魔力4690タフネス4255

サトシ 攻撃4361魔力4859タフネス4621

シバキ 攻撃4707魔力6316タフネス3913

アスカ 攻撃5076魔力6099タフネス3935


サトシ「シバキとアスカは強化呪で攻撃と魔力が約1.3倍になっている。俺も解呪しなれければ、この数値から1.3倍だ。ちなみにカナン王は攻撃26340魔力3860タフネス18646と記録がある通りだ。バケモノの武装だな。だが俺たちは、元居た魔界に帰れば魔素の関係で数値は10万オールを超える。2万がどれだけの強さかは理解できるわけだ」

アスカ「なに?全部話しちゃったの?」

シバキ「あー、これだからサトシは…」

アリス「よくわかった。戦闘は止めだ。降ろう。だが兵には自由に決をとってもらう。それで構わないか?」

サトシ「ありがたい。そうしてくれ」

アリス「では伝えてくる」


シバキ「どこまで話したの?」

サトシ「カナン王を裏切るってぐらいかな」

アスカ「それぐらいなら大丈夫よね。って、他に何かあるの?」

サトシ「いや、特にないよ」

シバキ「色目使ったでしょ」

サトシ「欲しいとは言った」

シバキ「それが色目って言うのよ。若返りさせるつもりなんでしょ」

サトシ「将にするんだ。それぐらいボーナスがあってもいいだろ」

シバキ「悪いとは言ってないけどさ、こりないわね」

サトシ「誉め言葉と受け取っておこう」


サトシ「あ、そーだ。拡声呪 "降伏しても捕虜扱いはしないからなー。ミツマタを平定するまでは民兵として後方活動、平定後は北条軍正規兵だ!"」

敵兵「ザワザワ」


アリス「決が出た。400名ほどが首都へ帰ることになった。残り7600は降る」

サトシ「スゲーな。じゃあ全軍で近くの町入りして、クオン本隊を待って合流だ。シバキ、先に転移呪でクオンと合流して受け入れ準備を進めておいてくれるか」

シバキ「OK」

アスカ「ナルミ隊へは?」

サトシ「伝心呪が使えたから問題ない。距離的にも首都まで4日以上かかるだろうし、別に変更はないよ。首都でも戦闘はするなと伝えてあるしな」

アスカ「じゃあ、あとの問題は北から来ている15000よね」

アリス「首都に攻め入るのには何日かかりそうか?」

サトシ「んー、半月以内には決まると思うけどな」

アリス「ではその15000の軍は私が足止めしよう。ミツマタ将軍の名を使って早馬を飛ばせば1ヵ月は足止めできるだろう」

サトシ「お、助かるな。じゃあなるべく早くミツマタと決着がつけられるか」

アリス「その戦いは私も参戦させてくれ。ミツマタ将軍を説得したい」

サトシ「お、なんだ。話ができる奴なのか?」

アリス「世間では国賊やら山賊王などと呼ばれているが、実際はカナンの圧政から国民を救った英雄だ。だからこそ私達は従った。カナンの目から逃れられるなら、理解できる材料だと思う。今のミツマタは度重なる災害で疲弊していて、戦争どころではないというのが本音なのだ」

サトシ「そうだったのか。5万って兵も、傭兵隊への冷遇も、そういう理由があったわけだな」

アリス「もともとアサギリもミツマタも、カナン本土と比べて豊かな土壌ではないんだ」

サトシ「食糧問題か。1年後には魔界の移民隊を向かい入れて解決するな」

シバキ「そのためには残存政府の半数以上を制圧しないとダメなんだけど」

サトシ「1年あればいけるんじゃね?ベルグって狭いだろ。なにより魔界の1年は690日だし、時差もあるし」

シバキ「そうね。結構長いけど、あとはどれだけ早く強くなれるか、かも。」

アリス「解決できるなら、ぜひ頼みたい」

サトシ「任せとけ。俺は政治についてさっぱりだが、シバキは一流だ。アスカも頭いいしな」

アスカ「サトシ、それを言ったら…」

シバキ「いいのよ。本当のことだから(笑」

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