DG6 002 初めての食事
サトシ「さて、どこから始めるか」
シバキ「まずマッピングの確認。そして町と拠点の確保が第一条件」
アスカ「シャワーあるかなぁ」
サトシ「コテージの水源とれればな」
シバキ「まぁカードは使えるし、物質界に近いといっても何とかなるでしょ」
サトシ「じゃ町行くか、情報は?」
シバキ「南20Km」
サトシ「飛べないのは痛いなー」
アスカ「バイクならすぐじゃない?」
サトシ「まーな、じゃあ行くか。オープン」
バシュン!
アスカ「マウンテンにしたんだ?」
サトシ「当然だろ、悪路が基本だろうし、そういうアスカは?」
アスカ「あたしはいつもの。オープン」
バシュン!
サトシ「おいおい大丈夫かよ、そんな原付で」
シバキ「なんとかなるんじゃない? オープン」
バシュン!
ブルルルルオン!
シバキ「じゃ、ゆっくり行きましょ」
サトシ「おう」
ブオーン
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サトシ「報告よりへんぴなところだな。これならコテージの方がマシだ」
シバキ「無一文だから、どっちにしても同じでしょ。何とか稼ぎ先を探さないと」
サトシ「冒険者一択だろ。そのための世界を選んだんだし」
アスカ「会話はできるのかな?」
サトシ「レベル1でも伝心の魔法ぐらい使えるだろ?」
アスカ「ならいいけどね」
シバキ「まず小銭でいいから稼いで地図を買うところからかな」
サトシ「物々交換でいいんじゃね? 地図ぐらいなら剣一本でおつりが来るだろ」
シバキ「ならいいけどね」
アスカ「ホント」
サトシ「すんませーん」
村人「ん?」
サトシ「旅の者なんすけど、この辺の地図を売ってる店がどこにあるか教えてもらえません?」
村人「道具屋ならその先を右に曲がって200mぐらいであるよ。にしても、変わったもんに乗ってるな」
サトシ「ありがとう。じゃあ」
アスカ「報告通り話が通じて良かったね」
サトシ「ああ。この世界に来たハンターはえらい少ないって言うしな。半信半疑だったけど」
シバキ「出たとこ勝負よね」
サトシ「勝負なんてそんなもんだろ」
シバキ「あれかな道具屋って」
サトシ「そうみたいだな」
カランカラン
サトシ「お、いいねぇ風情あるじゃん」
シバキ「オープン」
パシュン!
アスカ「私達冒険者で、この辺の地図が欲しいんですけど、持ち合わせがなくて何か売ってから買いたいんですけど」
サトシ「武器、レアメタル、宝石、何でもあるぜ」
店主「ほう。凄いじゃないか」
サトシ「売るのは一部だ。この剣なんてどうかな?」
店主「よく見せてくれ。珍しい型だ」
サトシ「作りは一流だぜ。いい値をつけてくれよ」
店主「ふむ。いいだろう。1500ルピアで買い取ろう。地図はこの国のが60ルピアで、世界地図が400ルピアだ」
サトシ「いいね。両方ともくれ」
店主「まいど」
シバキ「クローズ」
パシュン!
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サトシ「お」
アスカ「どうしたの?」
サトシ「腹が痛い」
シバキ「それ、おなかがすいたんじゃない?」
サトシ「これが腹が減るってことか?」
アスカ「バーでも行きましょうか。1040ルピアでどれだけもつかわからないけど」
サトシ「不便だな」
シバキ「母さん達はずっと食べてきたのよ」
サトシ「そりゃそうだ。あー、すぐ肉とか食うと"胃"に悪いって言ってたな。野菜やスープから胃をならしておけって」
シバキ「そうそう」
アスカ「あそこバーっぽい」
サトシ「おー、入るか」
ギィー
ワイワイ ワイワイ ガヤガヤ
サトシ「おー、人いんじゃん、居るところにはちゃんと」
アスカ「ちょうどそんな時間帯なんじゃない?」
サトシ「1日6食ぐらい食うんだっけ?」
シバキ「それ魔界時間でね。ここでは約42時間が1日らしいから、4食ぐらいかも」
サトシ「ふーん。まあいいけど」
店員「いらっしゃい。好きな席に座ってくんな。はいメニュー!」
サトシ「冒険者でさ、ここの字読めないんだわ。悪いけど、どんなものが人気で何ルピアか教えてくれないかい?」
店員「あら冒険者? 珍しい。人気なのはココナッツスープで、パスタなんかも良く出るね。品は2ルピアから高いのでも12ルピアだよ」
サトシ「サンキュー。じゃあ、そのスープとパスタ、それに"胃"に悪くない野菜系の何かを3人前適当に頼むよ」
店員「はいよ! 飲み物は水と酒とビールとあるけど?」
サトシ「水でいいや、とりあえず」
アスカ「酒とかビールってアレだよね?」
シバキ「飲むと人格変わったりするやつでしょ? 麻薬みたいに」
アスカ「ちょっと飲んでみる? 試しに」
サトシ「じゃ、酒も3人分」
店員「まいど!」
シバキ「地球じゃ"アルコール"は二十歳になってからじゃないといけなかったって話聞いた?」
サトシ「しらねーよ、そんなんどうでもいいだろ」
シバキ「まあ死ぬわけじゃないだろうし、いいけどね」
アスカ「どんなんだろうと、そもそも味ってのがわかんない」
サトシ「とにかく腹がイテェってのと、魔法で回復できねーってのが問題だろ。で、解決策はもうすぐやってくるわけで」
シバキ「そうね」
店員「はいよ。うちの特産酒とうまい水、3人前お先に!」
サトシ「水は飲んだことあるけどな」
アスカ「こういうとき、たしか乾杯って言うんだよね」
サトシ「あー、聞いたかも」
3人「カンパーイ」
ゴキュゴキュ
サトシ「うげっ」
シバキ「ん」
アスカ「まずっ」
シバキ「私はイケるかも」
サトシ「よくこんなの飲めるな」
シバキ「水よりいいかも」
アスカ「私の分あげる」
サトシ「俺のも」
ゴクゴクゴク
シバキ「ぷぅ! なんだか変な味がする。体が熱い」
サトシ「"酔う"とかいう症状か? あばれんなよ」
シバキ「大丈夫らよ」
アスカ「らよ?」
シバキ「ハラホロ」
サトシ「おいおい、ダメじゃねーか。解毒呪効くのかな?」
アスカ「いいんじゃない? 本人楽しそうだし」
シバキ「んー、いい感じ」
店員「おまちーどう! スープにパスタにオススメの山菜3人前でーす」
アスカ「食べるときは頂きますって言うんだよね?」
サトシ「どういう意味だ?」
アスカ「命を頂くとか、作った人への感謝になるんだって」
3人「頂きます」
パク パク パク
サトシ「んー、いまいち味ってのがわかんねえ」
アスカ「口に合うなら美味しい、合わなきゃ不味いって言うんだよ」
シバキ「美味しいれふ」
ゴクゴク ゴクゴク パクパク
サトシ「おいおい、急に食うと腹痛起こすらしいぞ。ゆっくり食え」
シバキ「ほーい」
アスカ「アルコールって本当に人格変わるんだね。一時的なものらしいけど」
サトシ「一時的じゃないと困るだろ」
パク パク パク
サトシ「ふう」
アスカ「どう? 空腹おさまった?」
サトシ「そうだな。毎日こんな無駄な時間をくうのは望ましくないが、仕方ないか」
シバキ「お酒美味しいれふ」
サトシ「シバキもこんなんなっちまうし、アホらしい」
アスカ「まあ父さん母さんの時代は普通のことだったらしいし、普通に肉とかも食べてたっていうし」
サトシ「そうだな」
シバキ「おなか一杯れふ」
サトシ「会計を」
店員「まいど! 35ルピアです」
サトシ「安いのか高いのか」
シバキ「ふー」
アスカ「酔ったときは運転しちゃいけないんだって」
サトシ「じゃ、解毒呪の出番か。解毒呪」
シバキ「!!」
シバキ「やばい。アタシ人が変わったようになってた?」
サトシ「やっぱ毒だったんじゃねーか」
アスカ「気持ちよさそうだったよ?」
シバキ「うん。アレはクセになるかも。ヤバイね」