0-3 エピローグ〈下〉
2人で並んで歩いていたのだが突然雲行きが怪しくなってきたことに春樹が先に気づいた
「どんどん暗くなってきてるな」
「確かにまだ暗くなるには早い時間だよね」
梓も少しだけ気になったようで空を見ながら応えてくる
そういいながらもどんどん暗くなっていき夕焼けの太陽が隠れて周りが暗くなっていった。その中の空気は日常ではあまり見ない不穏としか思えないような寒さに台風の時のような強風だった
「風まで強くなってきたな」
「そうだね早く家に帰った方が良さそう……あれ?」
早く家に帰ろうと思い歩く速度を速めた時、梓が何かを見つけたようで足を止めたので春樹も振り返ってみるとそこには猫らしきものがいた
なんで「らしき」なのかというとまず姿が普通の猫とは違う
耳は普通なのだが目の色がまず揃っていない片目が茶色でもう片目が藍色なのである
そして何より尻尾が三又になっている
そんな猫みたいな生き物がこちらを見ている
そして、こちらをしばらく見ると少しだけ鳴いてから近くの神社に入っていった。まるで呼んでいるかのように
その存在に俺と梓は吸い寄せられるかのように神社の社をくぐった
そこの神社には簡素な作りの境内と鳥居とそして不思議なことにそれを挟んでいるのは狛犬ではなく猫の石像というあまり見かけない神社なのである
2人で追いかけるとさきほどの猫は春樹たちとの距離を一定に保ちながら境内に向かっている
「どこに向かってるんだろう」
「さぁ、分かんないな……でも、ん?」
急に2人で会話していたら春樹の耳にとても小さな声が聞こえた
『………みつ…ま……た。…さ……こち……へ』
声と言ってもなんと言っているのか分からないような言葉が耳に届いた
「誰かいるのか?どこにいるんだ?」
「春くん?どうかしたの?」
どうやら、梓には聞こえていないようで急に様子がおかしくなった春樹を心配そうに見ている
それが幻聴だったというだけで済めばよかった
雲行きが怪しくなったのも
猫の姿が不思議だったのも
全てが夢のようなものとして済んでいるのならよかった
春樹と梓に何も起きなければよかった
しかし、無情にも不可思議なことは続いてしまった。急に足元が黒いモヤのようなもので包まれ始めたのだ
咄嗟に俺は梓をここから逃がそうと動いた
どうして逃がそうとしたか正直分からない。それでもこれが危険だという確信が心のどこかにあった。
梓は俺が近づいてくるのに気づいて手を伸ばしてくる
その手が届きそうになった瞬間
周りがまっ白になった
投稿が遅れてしまって申し訳ございません。ようやく時間が作れるようになりましてまた少しずつですが投稿していこうと思いますのでよろしくお願い致します。