0-1 エピローグ〈上〉
いつもと変わらない空、
いつもと変わらない街の風景、
いつもと変わらない学校のクラスメイト、
全てがいつもと変わりのない日常だった。
「……ということになりこの数式が成り立つのです。質問があれば……」
……あぁ、何一つ変わりない日常だ。
数学の教師が授業をしているのを意識半ばに聞いているのは高校2年生 柏木 春樹 である。
日本という国は本当に平和だと十数年生きているが本当なんだなと痛感する。
朝起きて朝ご飯を食べて学校へ行き授業を受け友達と喋りながら家へ帰り1日を終える。
何も大きな問題もなく生活ができるだけでも幸せなことなんだと常々思う。
……この生活がもっと……
「ちょっと、春くん。ボケっとしてないで」
…隣から自分に話す声が聞こえてくる。
俺は目だけ横に向けて隣の生徒を見る。
そう、俺のことを春くんとフレンドリーに話してくる女子なんて1人しか知らない。
幼馴染である 神崎 梓 である。
この幼馴染は授業中の先生からバレないように小さな声で前の席の生徒で先生の視界から隠れるようにしながらこっそりと喋っている。
「授業中なんだからしっかり受けないと怒られるよ」
「わかってるよ。少しだけボケっとしてただけだから」
俺は素っ気なくそれだけ答えた。
「そっか。それならいいんだけど」
そう言うと安心したように自分の机に向き直り授業を聞こうとしている。
……本当にお節介なやつである。
この幼馴染と一緒にいるのは生まれて数ヶ月かららしいのだが、なんてったってそんな時の記憶なんて覚えてるはずがないから親がそうなのだと言うのでそういうことなのだろう。
昔から俺に事あるごとに話しかけてくるとは思っていたが本当にとても良く話すのである。それは俺だけじゃなくなりクラスや学年も関係なく発揮されこの高校の人気ナンバーワンにすらなるほどだ。このご時世ファンクラブが出来るほどである。しかも高校に。わけがわからん。
容姿端麗、成績優秀、運動神経は人並みだったはずだがそれを差し引いてもプラスになるだろう性格である。どんな人とでもすぐに仲良くなる明るくて笑顔の絶えない女子なのだ。それはもう高校の人気者にならないはずがない。その結果男子だけでなく、女子にも人気になり誰もが幼馴染のことを好きになっている。
そうこう考えているとチャイムがなった。
「……ではこのへんでキリがいいので終わりましょう」
教師のその声で授業は幕を閉じた。
初めまして
今回初小説を投稿することになりました。
水原ここのくと申します。
初めての小説投稿となりますのでおかしな点があると思いますが温かい目で見ていただけると幸いです。
この小説はしばらくは不定期投稿となりますがもし面白いと思ってくださいましたら感想やブックマークをよろしくお願いします。