余談-百ノ怒リノ理由-
「ところで、ヒャク。お前なんでシンに怒ってたんだ?」
皐は服の所々についた土のような汚れを手で払い落としながら言った。
どこかで転んだのかな?
百が皐の姿を見て、まずはじめに思ったことだ。
皐の後ろに立っていた真は、気になるといった顔で百の方を見る。
「う…だって……シンちゃんが人間の女子連れて帰ってきたから、僕との約束忘れたんだと思ったんだもん…」
「…それで怒ってたのか?」
「うん……」
約束というのは、あの事だろう。
昨日、百が空を眺めていた時の事だった。
***
「わたあめが食べたい」
足をばたつかさせながら空に浮かぶもこもことした雲に瞳を捉え、百は呟いた。
いかにも子供らしくて可愛らしい願望に、真はまるで、孫を見ているかのような気分になった。
ほかほかと暖かい気持ちのまま、真はある案を切り出した。
「一緒にわたあめ作るか?そうだな…明日にでも」
その言葉を聞き、瞬時に明るくなる顔。
この顔をさせることが出来るのなら、なんでもしてやりたいと思った。
俺は…親ばかなのかもしれない。
***
…そうか。
「……よしよし。可愛いなぁ、お前は」
真は百に近寄ると、小さくなってぷるぷると震えているその身体を優しく抱き寄せ頭を撫でた。
「…ごめんね、シンちゃん」
むくっと顔を上げ、雫に濡れた目で俺に謝りの言葉を入れるヒャクは、やはり可愛いっ
「いいんだ。俺も悪かった」
懐に顔を埋め、目の前の相手の服をきゅっと掴む。
あたたかい。
真の暖かさが心地よかった。
「シンちゃん大好きー!」
「やれやれ」
二人から離れた所で皐は息を吐きながら呟いた。
順番おかしいかもですけど、次回は登場人物の設定を載せたいと思います!