プロローグ
背が低く、スタイルがいいとも言えず美人だとも言えない。どちらかと言えば可愛い系だろう。
勉強も中の中…かろうじて中の上?位の出来。
何処にでもいる、十人中十人が「普通」と言うだろう少女。
だが。
「(とたとたとたとた、とたとたぱたぱたたた)」←注:足音
そいつは見事なまでに小動物だった。
しまいにはついたあだ名が「はむ」。
人間が入れる大きさの回し車があればさぞかし似合うだろうと思う。
「はむー、お菓子あるよ、食べるー?」
「たべるーvvv」
正直愛玩動物扱いだったと思う。
だがはむはクラスの全員を通り越して、上級生や先生方にも非常に可愛がられていた。
校長にまで餌付けされる奴なんざきっとはむ位だと思う。
「はむー、お前が好きだって言ってた林檎のチップスだぞー」
「わーい!」
高校生になってまで「お菓子くれるからって知らないひとについてっちゃいけません」と本気で注意されるようなはむ。
だが。
「だいじょぶ、だいじょぶ、ね?」
「はむちゃあああ(号泣)」
流石小動物と言うべきか、いやそこは本人の人徳だろう、と言うべきか。
凹んでる時や泣きたい時、苦しい時、愚痴りたい時。
何故か皆、はむの所に相談に来ていた。
「はむちゃんにだいじょぶって言われると、なんだかほんとに大丈夫な気がするのよね」
「だってだいじょぶだもん」
「いやんもうはむちゃん愛い愛い愛い(ぎゅう)」
「にょわおΣ」
はむに救われた奴は本当に多い。…俺も、そのうちの一人だ。