おじいさんと新しい飴の味
小さな星に着いた、小さな飴屋さん。
おじいさんが着いた惑星は真っ白な星で、そのには水がありました。
おじいさんは今日、新しい飴の味を考えていました。
「綺麗な水を使った飴…どんな“気持ち”を溶かして作ろうか。」
「おじいさん、飴屋さんやってる?」
考えていると、男の子がやってきました。
おじいさんは、「やっているよ」と答えました。
「よかった。じゃあ、このまんまるな飴をちょうだい。おいしそうだね!」
「ありがとう。その飴には“大好き”の気持ちが入っているんだよ。」
「“大好きの気持ち”?」
不思議そうに尋ねる少年に、おじいさんはこう答えました。
「そうさ。私達が持っている“優しい気持ち”をこの飴に溶かすのさ。」
「“優しい気持ち”…それなら、何も考えない“静かな気持ち”もおいしくなりそうだね!」
「何も考えない静かな気持ち、か…君はその静かな気持ちが好きかい?」
「うん、僕は静かな気持ちになっているのが好きなんだ。色んな声が聞こえてくるでしょう?」
「そうか…ありがとう、いい事だと思うよ。」
おじいさんがそう言うと、少年はとても嬉しそうな顔をしました。
少年は「ありがとう!」と言いながら走って行きました。
「静かな気持ち…この惑星の水で作ってみよう。」
おじいさんはとっておいた欠片と水を一緒にコトコト煮込みました。
「静かになぁれ。おいしくなぁれ、あまーくなぁれ。」
すると、透明でキラキラ輝く、不思議な形の星屑が出来ました。
おじいさんは、出来た“静かな飴”をお店に出すことにしました。




