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星屑飴屋  作者: もっち
2/13

おじいさんと男の子

小さな惑星の小さな飴屋さん。

今日もたくさんの飴を売っています。


ある日、おじいさんがいつものようにキラキラとした欠片をとっていると、男の子が話しかけてきました。


「おじいさん、何をしているの?」


おじいさんは笑いながら答えました。


「みんなが食べている飴の素をとっているのさ。この小さな欠片があの飴になるんだよ。」

「すごい!どうやったら、あんな甘くておいしくなるの?」

「着いてきてごらん。君には最初から教えてあげよう。」


おじいさんは男の子と一緒にお店に戻ります。


「君は飴の材料を知っているかい?」

「うん、女の子に教えてもらったよ!優しい気持ちだよね!」

「そうだよ。覚えていてくれて嬉しいなぁ。」


そういうとおじいさんは男の子の頭を撫でました。

男の子は嬉しそうに笑顔を見せたあと、こう尋ねました。


「それで、飴はどうやって作るの?」

「そうだったね。まずは、“ありがとう”の飴を作ろうか。」

「ありがとうの飴?どの飴のこと?」

「まんまるでいろんな色の飴があるだろう?それのことさ。…さて、ありがとうの飴は、ミルクとこの欠片を一緒にコトコト煮込むんだ。」

「何か気をつけなくちゃいけないことはある?」

「そうだなぁ…。焦がしてしまわないようにかき混ぜつづけること、あとは呪文を唱えるのさ。おいしくできるようにする、呪文。」

「それってどんな呪文?」


男の子は目を輝かせて聞きました。

おじいさんは、また男の子の頭を撫でて言いました。


「決まった言葉は無いんだよ。でも、何味の飴を作りたいか、ちゃんと言いながら混ぜるんだ。こんな風に。」


そう言うと、おじいさんはミルクと欠片を鍋に入れて、歌い始めました。


「ありがとう、ありがとう。おいしくなぁれ、あまーくなぁれ。」

「…おいしくなぁれ、あまーくなぁれ。」


男の子も一緒に歌い始めました。

おじいさんは少し笑って、歌い続けました。


「「ありがとう、ありがとう。おいしくなぁれ、あまーくなぁれ。」」


しばらくすると、鍋の底にまんまるでいろんな色をした、いつも並んでいる飴が出来上がっていました。


「おじいさん、出来たよ!」

「うん、上手に出来たね。さぁ、ひとつ食べてみるかい?」

「うん!食べる!」


男の子が嬉しそうに飴を食べているのを見て、おじいさんはとてもよろこんでいました。


「他の飴の作り方も教えてあげよう。」

「うん、たくさん教えて!」


男の子とおじいさんは、夜になるまでたくさんの飴を作っていました。




おじいさんが男の子に飴の作り方を教えてからしばらくした朝、おじいさんはお店を畳んでいました。

惑星に住んでいる子供達はみんなさみしがって、「行かないで」と言いました。

おじいさんは、


「いつかまた来るから、それまで待っていておくれ。飴の作り方を知っている子に教えてもらいなさい。みんなの作った飴を楽しみにしているよ。」


そう言って、おじいさんはお店と一緒に次の小さな惑星に行ってしまいました。

おじいさんが行ってしまった後、男の子が言いました。


「みんなでおじいさんの飴を作ろう。僕、作り方を知っているから。おいしい飴を作ろう。」


小さな惑星の小さな飴屋さん。

おじいさんがいなくなった後も、お店には楽しそうな歌声が響いています。

「「「おいしくなぁれ、あまーくなぁれ!」」」

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