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星屑飴屋  作者: もっち
1/13

おじいさんと女の子

ある小さな惑星に、小さな飴屋さんがありました。そのお店で売っているのは夜空に浮かぶ星屑で作られた、色とりどりの飴でした。

赤、青、黄色。透明なものから虹色に輝くものまでたくさんある飴は子供達に大人気でした。



ある日、1人の女の子がお店のおじいさんに問いかけました。


「おじいさん。おじいさんの売っている飴はどうやって作っているの?」


おじいさんは静かに笑ってこう答えました。


「この飴はね、お空から降ってくるたくさんの星屑を網ですくって、綺麗な気持ちをたくさん込めて作るのさ。」


「綺麗な気持ちって、どんな気持ち?」


「それはね、感謝の気持ちや喜びの気持ち、誰かを好きになったときの気持ちさ。1番美味しくなるのは感謝の気持ち。たくさん食べてくれてありがとう、おいしくなってくれてありがとう、って思いながら作ると、とびっきり甘く綺麗な飴になるんだよ。」


「おじいさんが作っている飴、私も作れるかな?」


「きっと作れるさ。そのためにはたくさんの“ありがとう”と、たくさんの“だいすき”を経験しなきゃいけない。だけど、お嬢さんならできるだろう。誰かを好きになって、たくさんのありがとうを言ったら、美味しくて綺麗な飴がたくさん作れるようになる。」


「うん、わかった。“ありがとう”と“だいすき”をいっぱいして、美味しくて綺麗な飴を作れるように頑張る!」


女の子はにっこり笑って走っていきました。

おじいさんもにっこり笑って手を振っていました。



女の子が行ってしまったあと、おじいさんはお店を閉めました。

飴を作る時間です。

置いてあった網を持って、惑星で1番高い丘に立ち、ふわっ と網を振りました。

すると、網の中にはキラキラとした小さな欠片がたくさん入っていました。

ふわっ、ふわっ。

たくさん網を振ったあと、おじいさんは大きな袋に小さな欠片を入れて、お店に戻ります。


大きな鍋にキラキラとした欠片をたくさん入れて、ミルクと一緒にコトコト混ぜます。


「ありがとう、ありがとう。おいしくなぁれ、あまーくなぁれ。」


おじいさんは歌を歌うように鍋をかき混ぜます。すると、鍋の底にまんまるでいろんな色の星屑が落ちていました。

満足そうな表情を浮かべて鍋の底から星屑を拾い、今度はさくらんぼのジュースと欠片を入れます。


「すき すき だいすき。おいしくなぁれ、あまーくなぁれ。」


かき混ぜていると、また鍋の底に星屑が落ちていました。落ちていたのは、いろんな形でいろんな色に輝く星屑が落ちていました。


おじいさんは他にも、嬉しい気持ちややわらかい気持ちを込めて作った飴をたくさん作りました。その飴を、今度は袋に入れます。


その時にも、おじいさんは

「ありがとう、ありがとう。」

と言っていました。



おじいさんが飴を作っている時、女の子がお店の近くを通りました。おじいさんの声が聞こえた気がしたので、女の子はお店の中に入って行きました。


「うれしいな、楽しいな。」


そんな声が聞こえます。女の子も楽しくなって、「楽しいな。」と口ずさみました。


「そこにいるのはお昼の女の子かな?」

「うん、そう!おじいさん、飴を作っているのね。私にも見せて!」

「いいよ、こっちへおいで。」


椅子に座って袋に入れていたおじいさんは、にこにこしながら手招きしてくれました。

おじいさんは「おいしくなぁれ♪」と歌い、女の子も一緒に「おいしくなぁれ!」と歌い。袋に入れ終わった飴は、とても綺麗でキラキラしていました。


「おじいさん、ひとつちょうだい?」

「いいよ、どれがいいかな?」

「ありがとう!じゃあ、ピンク色の飴がいいな。」

「それは“だいすき”の飴だね。どうぞ、おいしく食べておくれ。」


小さな袋をひとつ持って、女の子は笑顔で手を振りました。

おじいさんも笑って手を振りました。


小さな惑星の小さな飴屋さん。

今日も美味しそうな匂いとおじいさんの歌声が聞こえてきます。

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