序章と新たな力の存在
真の力それは、誰もが持っているもの。だが、表に出せる者と出せない者がいる、それは機会がないと言う言葉で終わらせてしまう。選べれし者と選ばれない者、ここには二人の剣客が、二振りの刀に選ばれた。それは、これからの戦いが始まりしもの、黒鉄が選んだ、永木乙矢。そして、この俺の家の門の前に腰に白鉄を帯刀をしている者が。「なぁ、白鉄ここなのか、お前と同等の力を持ち。お前が前の主から縁を断ち切ったとされる名は・・・。」「永木乙矢」「そうそう、永木乙矢君、俺と同じ位の歳って聞いたな。そいつは、この家の中に居るな。この刀気、俺の真まで響く。」「我が主、貴方様ほどの使いがそうおしゃるのであれば、奴もまた真の力を会得したのでしょう。」「はははは、そうじゃないと僕がここに来た事が無駄になる。さぁ、ご対面と行きますか。」
白髮の少年が永木家の門を開くと、その刀気が屋敷中に広がった。その刀気は、道場にいる俺にも伝わってきた。「なぁ、この刀気。」「主よ、来たみたいじゃ。」俺は、道場を後にし屋敷に向かう。
「こんにちは。」と、玄関から響き渡る。「はい」と俺は玄関に行くと、白く長い髪の少年がそこに立っていた。「ほぉ、君が黒の使い手ですか。」「君は?」「これは、自己紹介が遅れましたね。僕の名は、白水悟と申します。そしてこれが、」と、悟は白鉄を手にした。「これが、何かわかりますか。」「白鉄。」「そうです。僕はこの者の案内でここまで来たまでです。けれども、君いや、乙矢さんの刀気が高鳴っていますが、僕は挨拶に来たまでですよ。それでは、あっ、」悟は、白く小さな箱を俺に渡した。「それは、今日のお礼と言うことで。差し上げます。僕が選んだとびっきりのケーキです。それでは、今度はその刀気を観させて下さい。」と悟は、俺の家から出ていった。「アレが、新たな、白鉄の使いにして真の使い手、俺と同じ力を持つものか・・・。」「主よ、あの者の姿は何か妙な感じがしたのじゃが。」「あぁ、道場で感じたあの刀気、その感じで出迎えたのだが。ちょっと拍子抜けしたよ。だが、あの笑顔の冷たい感じはあの時と同じだ。いや、あの時より何か芯まで冷やすそんな感じがした。」あの時というのは、そう以前に凛が白鉄の主だった頃、同じ笑顔をしていた。その表情は冷たいものを感じ冷酷な者だった。だが、あの白水悟は、身なりは気楽な感じを思わすが。俺が目を合わした時だ、鋭く鷹のような眼には冷徹さを感じさせるような深青な色だった。
そしてまた、新たな客が俺の家に「こんにちは、乙矢さん、いますか?」俺はその声を聞いたことがあった。いや、電話で昨日話したばかり、その声の持ち主は「凛ですか。で、要件は?」「乙矢さん、ここへ白鉄が来たと言うのは本当ですか?」「あぁ、来たよ。俺の顔を見たかったみたいだ。」「そうでしたか。私の情報網が役に立たずすまない。」「いいや。凛が悪いんじゃない。奴のあの身のこなしを見たら、並のスパイじゃすぐに巻かれるさ。」「そうでしたか。」「で、それだけじゃないだろ?」「そうです。あれから、その白鉄の使い手を調べたのですが。乙矢さんと同じ東の有名な剣客で、師範を務めていると。かなりの実力者です。」「やはりな、ワシを威嚇する刀気の持ち主な訳じゃ。」「俺と同じねぇ。」凛は、俺のことを少し誤解している。なぜなら、俺は師範代。まだ、俺は爺さんに勝てない。いや、我が身まだまだ精進が足りないことは、俺にもわかっている。爺さんはどう思っているかは、分からないが。けれども、凛の情報が正しければ、俺と互角かそれとも。「乙矢。」俺の後ろから、爺さんが呼んできた。「爺さん。急にどうしたんだ?」「乙矢、あの者の刀気、ただならぬものじゃな。」「あぁ、その話か、今日はこれで何度目だ。けど、爺さんがそこまで気づくとは、流石師範。」「乙矢、お前はまだ気づかないようじゃが。その白鉄の使い手の刀気、それは氷河の一角ではすぎん。」この爺さんの言葉に、俺は目を見開き驚きを隠せない位の、動揺が全身に表れた。「じ・・・爺さん、それは本当か?」爺さんの眼を見ると、ハッキリ嘘ではないと実感した。そして、凛の情報に納得した。かなりの使い手ではない、白水悟は自らの力で世界を手に入れようとしている。そして、邪魔者の俺と黒鉄の事を知り、見物に来たということだ。つまり、自分自身より強い存在が居ることに、剣客としての魂が、そう、この俺の中に深い所にその魂が思いがある。
俺が、こんなことを考えている頃に、白水悟は何やら街を散策していた。「かなりいい街じゃないか。なぁ、白鉄。」「そうですね。だが、その・・・。」「なんだ。こんなに格好良い僕が、ケーキショップでお茶を飲んで何が悪い。」「主・・・。悪くわないですが・・・。ちと量が・・・。」と白鉄が引くほどに悟のテーブルの上に、店中のケーキが並んでいる。「けど、まぁなんだ。今日の挨拶で、奴らはどう出るかな。この僕の刀気のこと、奥に居た永木家の師範は気づいていたみたいだが、乙矢君はまるで気づいいないみたいだった。あれじゃ、まだまだ、僕の足元にも及ばない。そうだ、白鉄。」「何ですか?」悟は、薄っすらと笑みを浮かべた。「乙矢君を、僕が鍛えてあげようじゃないか。」「鍛える?また、とんでもないこと。ですが、主そんなことをしてしまえば、貴方の身が。」その時、店中のガラスが突如割れた。そして、悟の眼には深い青いキラメキ、怒り。「なぁ、この僕がなんだって。」「嫌なんでも。ない。」白鉄は思う。このかたを選んで良かった。この力があれば、我が夢が叶うと。
悟は店を出て、また街を歩き始めた。冷たい笑みを浮かべながら。悟は歩みを止めた。
「主ここは。」悟は門を見つめるそこには、白水流高柴道場と書かれていた。「この街にも、僕の道場があることは、お父さんがなくなった時だ。この街には何やら、お父さんと繋がりのある者が居るらしい。それを調べていると。」「それが、永木乙矢だったと。」「そうさ。正確には、乙矢君の祖父と僕の祖父が繋がっていたのさ。そしてここが、祖父の最初の道場でもあるのさ。まぁ、入りましょうか。」二人が、屋敷に入るとそこには、只ならぬ刀気が満ち溢れていた。「この刀気、主よ。」「言っただろ。乙矢君に修行をつけると。僕がこの街でなんの連絡をせずにここに来るわけ無いだろ。屋敷に入ればわかるさ。」二人が屋敷に入ると、使用人が客間に案内をされ、そこには四人の剣客が悟を待っていた。
「よく集まってくれたね。僕が鍛え上げた弟子たちよ。君たちに僕から、腕試しに最適な人物を紹介しようと思う。僕が認めるにふさわしい者かを見極める為に。」と、テーブルの上に一枚の写真を置く。
「その写真の者がお前たちの相手だ。名を永木乙矢君、永木家師範代だ。そして、私と同じ黒鉄を帯刀している。どうだ、お前たちに充分な相手だろ。」そう、悟が言うと、四人は不敵な笑いを浮かべた。「納得してくれたな。指示は後日、それまでお前たちは腕でも磨いておけ以上だ。」そう告げた。四人は部屋を後にした。悟は、外の月を見上げ。大きな声で笑い叫ぶ「さぁ、僕の所まで来て下さい。そして、底に見えるものが僕にとって、最高の時となる。」その時の月は、何かを思わすかのように赤く光り輝く。それもまた、俺、永木乙矢も見ていた。
アレから数日が経とうとしていた。白鉄の新たな主、白水悟が俺の家に来た。それからは、俺は爺さんと親父さんの元で、刀気の修行と剣技の修行を行なっていた。そう、俺は爺さんに「今のお前には、あの刀気に抵抗はできん。」「何故だ。俺は黒鉄の真の力を使えるようになった。これで対抗できると。」俺は、爺さんに叶わないと言われ、思わず大きな声を上げてしまった。「落ち着きなさい。あの時はそう言ったが、私もあの刀気を感じてしまった。あの者の力は、今の乙矢君の刀気の質では彼の刀気に呑み込まれ、廃人となる。」親父さんの言葉に俺は、何か焦りを感じ始めた。すると爺さんが、俺に刀気を放つ。その刀気は、俺の身体を束縛し闇の中に深く閉じ込められた不快感を抱いた。「どうじゃ、これがお前の足りない力。彼もまた、ワシより数倍の力を持っている。しかしじゃ、お前もじゃ。」「俺にも、爺さん。俺にまた修行を付けてくれ。そして、親父さんには、黒鉄の剣術を教えてほしんです。」俺は、二人にその願いを言い頭を下げた。「お前から久しく聞いていなかった。その言葉を待っていたんじゃ。」と、俺の頭を撫でる。その時だ、俺の中で小さき頃の思い出が蘇る。俺が真剣に純粋に剣と向き合っていた時に、爺さんに撫でられた。それがいつも嬉しかった。「乙矢よ、昔の眼に戻ったな。それなら会得できよう。我が永木流奥義をな。」「私も、貴方の眼を見て腹をくくりました。貴方に、その黒鉄の剣技を伝授しましょう。」「二人共、よろしくお願いします。」こうして、俺は日夜修行の日々へと入っていった。俺が修行に明け暮れている間に、白水悟が送り出した一人の刺客が、刀を研いでいた。