表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/10

終わりと新たな始まり

人々の欲望というものは、誰もが持っているもの。その欲望は、抑えの効くものだが、何かのキッカケでその欲望は暴走するもの。小さな欲望は、世界を揺るがすこと無くその者を満足させるだけで終わるのだが、大きな欲望世界を巻き込むほど大きな欲望は、俺が暮らしている世界が今一人の人間と刀に揺るがされている。戦いのない世界で優しさに満ち溢れている世界を俺は望んでいるのだが、俺は見てしまった。何もなくなってしまった。空白となった人々の心は、温かな色彩が無くそれは冬の海の風のよううな冷たさに、世界は寒くなっていた事を感じ古代の氷河期に世界は入っていく。

 「くくく、白鉄君のお陰で私の望んだ世界が完成しつつある。だが・・・。」「奴らの存在ですか。」

「そう、永木乙矢と黒鉄の存在です。あの者達の力は最初は警戒をしていなかったのですが。どうやら、修行をしていたらしく、この間会った時のあの表情を見て感じましたよ。この私の美学を揺るがす存在だと、それに貴方もでしょ。」「そうですね。数千年に渡る永き因縁そろそろ終わりにしたいものです。」「では、行きましょう。私達の真の美の世界を完成させるために。」

 真の美それは、紀藤家元来の願い。それを知った凛は、紀藤家の野望を叶えるためと、自分自身の美学を世界に知らしめるためにも、邪魔者を排除する。

 この日が来たのだ。俺はあの街で凛に出会い、今日のこの日を指定した。親父さんに俺はそのことを隅々に話す「という事です。」「やはりな、この二振りの争いは使い手の欲望が強ければ強いほど力を増幅させる。」「善悪関係ない。ワシも聞いたことがある。」「じいさんに親父さん・・・。」「乙矢よ、お前は黒鉄に選ばれた。お前の欲望は何じゃ。」「俺の欲望・・・。」じいさんの言葉を聞いた俺の頭は、山の中で静かに風に揺られて、読書をしている姿が脳裏をよぎった。「気付いたようじゃな。その思いを持って今日の決闘を戦ってこい、乙矢が望んでいた事が見えてくるはずじゃ。」「俺の望んでいる事か・・・。」

 望みという言葉は、俺に何を聞いているのか。凛との再開の時は勢いであんな事を言ってしまったが、今にして考えてみると「それが、お主の本心がそうさせたのじゃよ。」「黒鉄。」「主、乙矢よ。ワシもケリを付けようと思う。」黒鉄の決意もまた、俺に力を与えてくれた気がした。「それじゃ、俺の望みと黒鉄の決意をこの戦いみぶつけて来ようか。じいさん、親父さんそれにオトハ、行ってくる。」

 さて、二人は伝説に終止符を付けることができるのか、世界に本当の平和が訪れるのか、今日この日ぶつかる最強の剣士の対決・・・。数千年の時の中で、黒鉄と白鉄は争いを起こしていた。いや、それは人間の欲望がこの二振りの伝説を作ってしまったのかもしれない。だが、親父さんの眼には乙矢から出てきている刀気が、今まで見てきた剣士となにか違うように感じていたのだ。「明宣くん、我らもこの戦いを見届けようか。」「そうですね。貴方と出会った時、私の中で見えたのです。世界の崩壊を・・・。」「ほぅ、で今はどうだ。」「私の中には何か、温かいものが光っています。あの子乙矢君を見ています不思議と。」「そうだね。彼と出会って私も感じたよ。この戦いで何か新たな答えが見えてくるような気がしている。」親父さんと明宣もまた、乙矢に何かを期待している様子。親父さんの手で作られた二振りの刀、だが、明宣の腰にも何やら同じ刀気を纏っている刀。そう、あの時、滝から現れ乙矢に切りかかった刀は黒鉄と同等の強さを感じた。その刀は、何を見出すのかは、紀藤凛と永木乙矢の戦いの行く末に関わるとは・・・。

 俺と黒鉄は、凛と最初に出会ったあの公園についていた。ここでの出会いは、衝撃なものだった。見ず知らずの者に同士だのと言われ、今や世界をバックにしているのだから。かという俺は、静かな所を求めているうちに、こんなことになるとは想像していなかったのも事実。だが、今日で決着が付く全てに・・・。「待たせましたね。黒の使い手。」「やっときたか、白の使い手、紀藤凛。」「お名前を覚えていただきありがとうございます。」俺は、凛のいるところに振り向き「き・・・」言葉を発ししようとしたが、彼の姿に俺は驚きを隠せなかった。「どうしたのかな、永木乙矢君。私の姿を見て」そう聞かれた俺は、その答えを発せないまま頭の中で真っ白になっていた。「あぁ、この姿を見るの初めてでしたね。私は日常は女装しているのですが、今日この日はこの世界をかけた戦い、正々堂々と思いまして。」

 凛の姿は、綺麗な女性という印象が俺の中で在ったのだが、それが黒髪の長髪でポニーテール姿まるでモデル並みのそのスタイルに、驚いたのだった。「お前、そんなにカッコ良かったのか。までも、女装があんなに綺麗なのも納得。」「褒め言葉として受け取っておきましょう。」その時「お前たち、ここに何をしに来たのじゃ。」黒鉄は大きな声を上げた。「ははは、黒鉄よ。そう焦るな。我が主はこういう性格なのだ。けれども、お前の焦りは我が主からの刀気が原因ではないのですかね。」「クッ。」白鉄の言う通りだった。凛から溢れ出ている刀気は、以前よりも凄さを俺も感じた。だが、俺もこの数ヶ月何もしていないわけではない。「黒き使い手、貴方もなかなかいい刀気を身に着けていますね。私のところに入った修行をしていたという情報は、嘘でわなかったということですね。」凛は、俺のことを見て薄笑いを浮かべた。「イイヨイイヨ。私は、あの時ここで君を見た時、大きな原石を見つけた気分だった。そこで、弟に話したのだ。」「次の日に、俺を襲ったのはその事か」「だって、力試しをしたいと言って聞かなくてね。いい機会だと思い見物をしていたのだよ。そこで確信をした。」その時、凛の刀気が大きく膨れ上がり、温かい昼間にもかかわらず、俺の居る所は極寒の中に居るかのようなそう、殺気を放ち始めた。「そう、そして君は私の前に立ちはだかった。私の野望を阻止せんとばかりに。さぁ始めようか黒の使い、世界を賭けた戦いを。」いよいよ始まる、白と黒の戦いが・・・。「来るぞ、乙矢。」「あぁ、わかっている。凛、お前の野望は今日で終わりだ。」「そんなことができるのなら、私を倒してから言いなさい。」

お互いの刀気がブツカリ、白鉄黒鉄はぶつかりて火花をチラシその都度、爆風が木々をなぎ倒す。俺と凛の剣術は互角だが、「いいよ。黒の使い、その刀気が私を強くするのだから、さぁ見せなさい貴方の本性を、その心の底に眠っている黒い心の姿を。」「こいつの話を聞くな、乙矢。刀気が乱れてしまう。」

 だが、時すでに遅し。俺は凛と戦いの途中で凛の話をまともに聞いてしまった。その時に、俺の心の奥から、声が聞こえてきた。「さぁ、僕を開放して、そうしたら君にこの戦いを勝利に導こう。」「君は誰だ。俺に勝利を導く?」「そうさ、今の君には彼には勝てない。」「勝てないだと・・・。何故だ。」謎の彼と話しながら、周りを見渡す。そこは、暗闇しかない。俺は彼に問う「ここはどこなんだ。」すると彼は、こちらを振り向きその姿は「ここかい、ここは君の心のなかだよ。表は穏やかな所を求める清い青年だが、裏の僕は争いを好む。そう、僕は君なんだよ。」「俺だと・・・。」その時だ、彼の姿を見た俺は、どこからともかく鎖が出てきて俺を縛り上げた。「君はここで、待っていてください。この戦いを終わらせてきます。」「待って」俺は暗闇の中に一人になった。「どうしたのですか。刀気が弱まって・・・。」凛は、何かに気がついたかのように後ろに下がった。

「君が、この大切なものに傷つけるんものかい。」「出てきたみたいですね。我が主。」「ふふふ、待っていましたよ。黒の真の使い。」俺の姿は、真っ黒な刀気に包み込まてていた。「さぁ、終わりにしましょう。この決闘と面白くもないこの世界を、僕は君を消すものなり。行きますよ黒鉄。」闇の俺は凛の攻撃を簡単に避けては受け、なぎ払う。「さすが、やりますね。この私に一撃を食らわすとわ。白鉄私も本気で行きましょう。」白と黒の刀気が激しくぶつかり合い、戦いはまた激しく動き、凛は汗を大量にかき、息も上がっている。だが、闇の俺は、汗一つかかずに凛を見下ろしている。「はぁはぁ、白鉄。」「これが、貴方の本気だとわ。これまでですね。」「何・・・。」「貴方のその姿は、私が求めている美しいものではないのです。汚れた貴方の姿心は、私に合わない。」「貴様、この私が封印を解いたというものを、裏切るのか。」「裏切る。違いますね。貴方が私を裏切ったのですよ。でわ。」そう言うと白鉄は姿を消した。「おやおや、白鉄に見捨てられては貴方も終わりですね。ではここで死んでもらいます。貴方の野望とともに。」と、黒鉄を凛に振り下ろした。「なんの真似です。親父さん。」闇の俺が凛に斬りかかろうとした瞬間、紙一重で黒鉄を親父さんが止めたと同時に薙ぎ払った。「こうなるとは、黒鉄貴女がいてこのザマですか。白鉄には逃げられましたが、貴方を私が壊しましょう。この赤鉄あかがねで。」親父さんの刀気が俺の心の奥底まで伝わってきた。それは温かい優しさに満ちた刀気だった。「この僕を倒すですか。親父さん、良いでしょう相手をします。」「では、いきます。」

 親父さんの攻撃は、見たこともない艶やかな剣舞で闇の俺を惑わし攻撃の隙を与えない。「クッ、何なんですか、その剣舞は。僕は貴方に勝てないとでも言うのですか。」親父さんの刀気は、容赦なく闇の俺を切り裂いてゆく。心の底にいるこの俺は、戦いのことはわからない。ここには、外の感情が伝わるだけで、何も見えない。その時だ、親父さんの声が聞こえてきた。「負けるな。君が永木乙矢自身が負けてしまうと、君の願いは永久に叶わない。」俺の願い。そうだ、俺は穏やかで温かい日々を望んでいる。そのことを、思い出した俺の中から、光と力が満ち溢れ、俺を縛っていた鎖は次々と朽ちていった。「親父さんありがとう。ようやく吹っ切れたよ。さぁ、闇の俺、もいいだろここまでだ。俺はそこまでは望んでいない。人を殺めることも。」俺は、大きく叫ぶ、その声は表に出ている闇の俺は、動けなく苦しみだした。「よし、いいぞ。戻って来い。」親父さんは刀気を更に上げ、闇の俺の動きを封じ込めた。「やっと表に出れたのに、弱い君に勝利を捧げたのに何故また戻らなければならないのだ。」と闇の俺は空を見上げ泣き叫ぶ。「闇の俺も光の俺も、一つ。だが、そのバランスが崩れれば、凛と同じ事になる。俺はそれが嫌いなんだ。中立の立場で居たい。それが、俺の願いであるがために、俺と一緒に見ようじゃないかこの世界の行く末を。」俺は闇の俺に、手を差し伸べる。それを掴み闇の俺は「いいだろう。だが、またこのようなことや、君が揺れ動いた時また現れるよ。」そう言うと、姿を消し表には「戻ってきたみたいだな。」「親父さん、すみませんでした。俺は、まだまだ弱かったです。」「いや、君がいたから世界を守れた。」「親父さん・・・。闇の俺と約束をしたんです。世界の行く末を一緒に見ようと。」「それでいい、私はただ切っ掛けを与えただけ。黒鉄が君を守ったのですよ。」「黒鉄・・・。ありがとうな。」「お主が、成長しないと白鉄には勝てんよ。今回は闇の力を借りたまで、だが、白鉄は必ず現れる。」「あぁ、必ずこの因縁を、断ち切ってやる。お前とな黒鉄。」

 闇があれば光がある、白があれば黒がある。名も無き世界にしないためのこの戦いは、闇の俺のお陰で勝利を収めた。その後の凛は、世界に謝罪し、お詫びに俺とともにゆるやかな世界を作ろうと言ってきた。けど俺は、断った。「いいのか、我が主よ。」「いいんだよ。こうして、凛から静かな土地を貰えたから、これが俺の望みだから。」「けど、主よ。山一つとは・・・。」「いいじゃないか。」そう、凛は、俺が凛の指名を断った時「君の望みを一緒に叶えようというのに。」「ははは、俺には柄じゃないいんだ。」「けれども、私は気がすみません。貴方に救われたこの恩は、返しきれない。何か望みがあるのなら、それに答えます。」「それじゃ、静かな土地がほしいな。ゆっくりと本を読むところ。」「良いでしょう。」とまぁ、言ってみたら次の日には「乙矢さん、貴方の望みをお渡しします。」と凛が俺達に案内した所は、近所の山一つだったのだ。「まぁ、奴の気が済むのならいいじゃないか。この世界に平和が続くには、いいんだよ。」「主がそういうのなら。」

 そこには、暖かで緩やかな風が吹き抜けて、心地良い一時を大事に生きるこの実感を大切に、生きていけるこそが、俺の平和なとき。だが、これで終わりではあるが、俺の知らない所では新たな企みが始まっていた。

 この、一時が一時であるがゆえに、世界の混沌がまだ静まっていないこと俺は、気づかないまま読書していた。 

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ