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北野山の修行

凛の襲撃から数日、俺は黒鉄の力と俺自身の刀気のシンクロ率を高める為に爺さんの里である北野山に、山篭りをしていた。ここは、偉大な剣豪達しか修行できないと言われている聖域で、各地の剣客たちは、好んでこの場所を修行の場に選んで山篭りをするらしいのだが・・・。誰一人として、修行を収める事ができずに下山すると言う。その原因は、この北野山の磁場と森の深さ、そして、主の存在。「ここに来て三日、とても静かだ。」と俺は山小屋のベットで寛いでいた。「乙矢、そろそろ時間だぞ。」と黒鉄が俺に知らせた。「もうそんな時間か、それじゃ、散歩に行きますか。」俺は、ある時間だけこの山の森を散歩している。爺さんは、言った。「乙矢よ、あの山での修行は黒鉄を帯刀し何もしない事。そして、この時間だけ、森を散歩しなさい。これを七日続ければ、お前の刀気は名高く剣豪達に匹敵する。」と、爺さんは言ったものの、今日で三日何も起きないな。三日も山篭りをすれば、流石に慣れてきたのか、森の景色が変化しているのを感じていた。気のせいだと、俺は気にせずに散歩を続けた。

 この森の木は、とても大きく葉と葉の間からしか太陽の光は入ってこないが、今の季節は夏なのだがこの森は春のような心地よさと涼しさがありとても過ごしやすく俺は気に入っている。散歩はだいたい二時間するようにと言われ、しかも場所まで指定されている。ルートは、俺が住んでいる山小屋から大きな滝壺までが俺に課せられた散歩コース。「黒鉄気付いたか?」「乙矢、お前やっと気付いたのか。ワシはこの山に入ってから気付いてたんだが・・・。」「えっ・・・て。おいおい、俺もまだまだだな。」「三日目にして、お前が気付いたのは成長している証だ。どうやらこの森の深さは、人間の感性というものと精神の成長を促進するみたいだ。」「そうなのか。」「だが、この成長速度は並の人間なら1日で人格崩壊してしまうな。よほどの刀気を持っていないとこの森での修行は、習得できんな。」とまぁ、こんな感じで森をいつも散歩している。黒鉄と話しながら気付けば滝つぼについていた。この滝はナイヤガラの滝のように大きく圧倒されてしまった。ここに着くと俺はなぜか、滝を眺め続けてしまう。そう圧倒されてしまっているのかもしれないが、ここに来ると何かに優しく包み込まれるような、そう癒されていると言っていいような和みの時間。「ほんと、ここは良い所だ。この滝を眺めていると心地よくなるしな。」「そのくらいにしとけよ。乙矢よ。」「あぁ、爺さんが言っていたな。ここの主の事を・・・。」「まだ、お前には早い。時間だ戻ろう。」俺たちは、数分滝を眺め山小屋に戻った。この修行を、さらに三日続けそして、最終日が来た。「ふぅ~。今日で最後か、黒鉄いよいよだな。」「あぁ、いよいよじゃ。」俺たちは、確実に何かを手に入れた。それを今日証明するため、あの滝にいやここの主に会いに行く。俺たちはこの六日間ただ散歩をしていたわけじゃない。最初にも言っていたが、この森の不思議な感じ、精神の成長を促がす力のほかに俺たちはある者の気配を感じていた。最初は気にする事はないと思い無視をしていたが・・・。日に日にその気配は、俺達に刀気による威嚇をし始めてきたのだ。「あやつの刀気は、並じゃないが。お前の成長があの刀気の威嚇を跳ね返しているのじゃ。」「俺にも感じていた。あの威嚇は、並の刀気の持ち主ならすぐに死んでしまう。だから、散歩の際は、刀気を普段より広く隙は無いと言う意味を込めて散歩をしていたからな。そのおかげで、俺の刀気は六日前に比べて大きく力強く俺の体の中で感じている。お前もだろ黒鉄。」「・・・・ふっ。」そして、俺たちは滝に着いた。相変わらず、この滝の勇敢さには圧倒される。だが今回は違う。そうこの滝の裏から森で感じていた刀気が漂っていた。「よう、あんた何だろここの主は、その刀気が何よりの証拠だ。」「・・・。」「乙矢。」「あぁ、あいつの刀気はだんだん大きくなっているのうを感じる。」その時だ、主の刀気が大きくなっていくにつれ、滝の水がだんだん減っていき大きな岩壁と共に紅の刀を帯刀している青年が姿を現した。「・・・。」「お前がここの主だな。」「・・・。」「おい、何か言えよ。」「・・・ふっ。」と主が息を吐いた瞬間「お主が、黒鉄を・・・。」と言葉を発したと思えば、岩壁に居た主の姿が見当たらないのだった。「どこえ・・・。」俺は、当たりを見渡し主を探したが見当たらない。「ここだよ。」と主の声が俺の下から聞こえた。そこに振り向くと主が座り込み、腰に帯刀している黒鉄をじっと見ていた。俺は、驚き後ろに跳び下がった。「何なんだ。」「君は、この子を選んだのか、うん良いね。」「お前は、何者なんだ。この黒鉄を知っているみたいだが。」「乙矢・・・。怒鳴るな。」黒鉄の声は、いつもと違う何か驚きを感じた。「久しぶりです。親父殿。」「あぁ、久しぶりだね、黒鉄。」俺の頭の中は混乱していた。親父殿って何なんだ。この主は、俺と年齢はほぼ同じに見えるが、だが黒鉄が誕生して何千年と時は経っているはず・・・。と、考えるほど訳が分からなくなっていた。「君が、黒鉄の主だね。」「そうだけど、あんたは何者だ。」「いや、すまない。自己紹介がまだだったね。私は君が帯刀している刀の親父です。」「親父って、あんたがこの黒鉄を創ったって事か。」「はい、そうです。」「けれども、もう何千年と時は経っているのに、貴方は生きているのですか?」「まぁ、落ち着いてください。そんなに多く質問されても、答えられませんから。」と親父の言う通りに、深呼吸をして落ち着きをとりもどした。「さっきの質問を答えましょうか。」「あぁ。」「では、抜刀してください。私と戦って勝てたら、貴方の質問をお答えしますよ。ですが、貴方が負ければそれは死ですから、本気で来てくださいね。」と、親父は紅の刀を抜刀しだした。そこからは、赤く黒い光が刀身から周りを一瞬照らし、光の中から真紅の刀身が姿を現した。「本気ですか?」「はい、本気です。」と、親父は、にこりと余裕の笑みを見せた。俺には、余裕は無いと言うのを知っているかのようにだ。「わかったよ。俺も全力であんたに勝つ。」俺は、黒鉄を抜刀し、これでお互いが戦いの準備は整った。 二人は睨みあい、お互いの刀気がだんだんと大きくなっていき、動物達はその強大な力に怯え逃げ出し森はざわめいた。そして、お互いの刀気が重なる時、戦いが始まった。「いくぞぉ。」「来なさい。」とお互いの刀気は激しくぶつかり、その中で二人は戦っている。刀と刀はぶつかり合い火花が散る。乙矢と親父の力は互角に見えていたが、じりじりと乙矢が攻められていた。「どうしたんだね。君は、黒鉄に選ばれたんだよね。けれども君は全力で私に勝つといった。それが君の全力かい?」「はぁはぁはぁ。」「そんなに息を切らせて、もう終わりですか?なら、私の本気と言うものを見せてあげますよ。」親父は、自分の刀気を刀に集中させ、まるで俺と黒鉄の技と似ていた。「ほぉ、その顔は知っているんだね。じゃ、君も出来るよね。相気斬刀あいきざんとう」「はぁはぁはぁ。いいぜぇ、やるぞ黒鉄。」乙矢も黒鉄に刀気を送り込む、しかし俺の刀気はこの六日間の修行の成果もあり想像以上の刀気があふれ出ていた。俺自身、刀気の量に驚きもしたが今は真剣勝負、集中をし刀気を黒鉄に注ぎ込む。「いいぞ、乙矢よ。お前のその刀気、ワシの力を存分に使えるぞ。」「本当か、じゃいくぜ。」「やっと気付いたようですね。行きますよ。」二人の刀気はお互いの刀に送られ、そして臨界点に到達「相気斬刀」二人は技の名を叫び、二振りの刀は刀気により大きな刃と化した。そして、二振りの刀は振り下ろされぶつかると、地面は沈みまるで大きな隕石が落ちたかのようなクレーターが出来た。それでも、二人は刀をぶつけたまま微動に動かない。「流石、黒鉄が選んだ者だ。このままでは、私も貴方も刀気を使いきり死んでしまいます。ですから、一気にけりをつけます。」親父は、残りの刀気を出し俺の刀気を凌駕した。「くっそぅー。」俺は叫んだ。その叫びと共に力は解放された。「何だ。この刀気の量は、君のどこに力があるというのだ。これなら・・・・。」俺の力は、親父の刀気を凌駕し一掃した。そして、この戦いと修行は終わったのだ。あれから何分が経ったのだろうか、戦いが終わって俺は気を失ったようだった。眼を開けると、俺の傍に親父が座っていた。「気がついたか。」俺は親父を睨み警戒をした。「そんな顔をするなよ。もう、戦わない。貴方の勝ちです。」俺は、その言葉を聞きほっとしまた、眠った。眠っているときに、声が聞こえてきた。その声は親父だった。「やぁ、君が寝てしまったからね。君の夢に入ってきました。」「なんで?って、本当にあんたは何者なんだ。」「君が聞きたかっていた事を伝えに来たのさ。」親父は目が真剣になっていた。「私は、その黒鉄を創った刀鍛冶そして剣客でもある。私は何故何千年も生きていると聞いていたね。君はどう思う。私が生きているのかそれとも、死んでいるかと。」「普通なら死んでいると俺は思うけど・・・。でも実際あんたは、俺の目の前にいる。それを死んでいると言えるのか。」「はははは、そうの通りだ。実際、私はここにいるだが、それは魂だ。この姿は、近くの村の青年に事情を説明し体を借りている。私はすでに死んでいるのが正解だ。次に何故、ここにいるのか。それは、白鉄を破壊する者と会うため。君を待っていたんだ、何千年もも・・・・。」親父の話を聞いていたら、また眠っていたようで、眼を覚ますと自分の部屋に居たのだった。こうして無事修行をおえたのだった。

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