Phase.4-4
忙しいと書く時間が割けないですね。
自分はタイピングが遅いので書くには結構な時間が掛かってしまうので…
どうしてここにいるの?
走り出した栞の視界の端に映ったのは、気不味そうな面持ちで自分を見ている御影の姿。
自分の口から打ち明けた上で相談を持ち掛けようと考えていたのだが、こんな形で聞かれるとは思わず、彼女に気付いていないフリをして真横を通り過ぎる。
◇
「盗み聞きなんて人が悪いな」
「たまたま、よ」
始めから気付いていたと思える態度でいる為に、御影は物陰から姿を現す。
人が悪い、なんてそっくりそのまま返してあげたいと思うが口には出さない。
自分の言葉で彼の機嫌を損ね、聞きたい事を話してもらえなくなるのは勘弁だ。
「で、お前はどういう用件だ? 俺達の後を付けてまで」
最初から分かっていたなら、栞に教えてあげなさいと付け加えるが彼はどうでもいいことだと切り捨てる。
「CTを使わなくても魔導を使う方法が知りたい」
鏡介は顎に指を触れていかにも考えていますというポーズをしているが、どうも言葉に出来ないらしい。
「そんなもの、感覚に近いから、俺が言っても出来るとは限らない。
一応俺のを教えておくと、歯車を自分で回すイメージだ」
そしてそのイメージは、自分の魔導特性に依存すると思う。
そう締めくくり彼は口を閉ざす。
魔導特性という単語を聞いた事はない。
渋い顔をしていたのを見て、彼はただ呆れたように溜め息を漏らした。
「魔導特性ってのは簡単に言えば、その人が持つ自分に最も適した魔導の形だ」
魔導の形? 魔導に形があるのか?
「別に分かる必要はないぞ、普通に暮らして行く分には」
「最後に一つ、見ている世界が違うってどういう事?」
言葉を放った瞬間、自然と背筋に悪寒が走った。
それだけで、彼の言う見ている世界の違いが理解出来たような気がしてくる。
怖い。
頭に浮かぶのはその二文字。
浮かんでいた時にはその圧倒的な存在を前に身体の方が動けなくなっていた。
そして、これが才能の差という彼女の視点からの考えに落ち着く。
「思い違いをするなよ。
今のは決して才能の差なんかじゃない。
それに俺の才能なんてたかが知れてる」
ではそれを何というのか、彼は何も言わず、感情のない瞳で自分を見ている。
見透かされているのか、それとも見下されているのか、もしくはその両方か。
動け、動け、動け。
頭の中で、口の中でその言葉を繰り返す。
固まった身体を無理矢理動かすように、自分の思った通りに動くように、底の知れない男から離れたい一心でただ、己の身体に動けと命じる。
願いが届いたのか、身体の硬直が抜け、御影はみっともなく敵前逃亡する軍人のように掛け出す。
実際は彼が元の状態に自分を切り替えただけなのだが、それに彼女が気付く事はない。
「今は逃げるのが流行っているのか?」
必死に逃げる彼女の背中を眺めながら、そんなどうでも良い感想を呟いていた。
◇
教室前。
二人の女子生徒が激突した。
偶然と言えば偶然。
たまたま、教室前で激突するルートを二人が選び、それが実際に起こっただけのこと。
二人が共に前方を確認せずに走っていた為に起こった事故。
頭を鈍器で殴ったかのような鈍い音が廊下中に響き、何事かと教室で次の授業の準備をしていた生徒が野次馬となって廊下に顔を覗かせる。
二人は双方の衝撃を受け流しきれずにリノリウムの床に転がる。
床が冷たい。
身体は走った所為で熱い。
だが、それが今は心地よい。
頭を模造刀で殴られた時に氷嚢で冷やした時と同じような感覚。
あれは未熟な頭で考えた結果、自分の身をおろそかにした結果だった。
思わず笑みがこぼれる。
難しく考えても意味がない。
ならば、考えずに突貫すればいい。
既に勢いで気持ちは伝えてしまっている。
彼が自分と付き合ってくれるかまでは分からないが、自分の気持ちが変わらない限りアタックをしてみようと思う。
希望的観測で諦めて付き合ってくれるかもしれない、それを狙えばいい。
膝を折り曲げ、両手の親指が耳元に来るようなイメージで地面に掌で触れ、勢いよく身体を跳ね上げる。
制服のスカートを短くしていないものの、今の動きで中身が見えたと思うと面倒がらずに普通に起きればよかったかなとも思うが、そんな事を些細なことだと思える程栞の心は晴れていた。
誤字脱字がありましたらご連絡下さい。
読んで下さり有難うございます。




