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序章
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「私と一緒に、お父様の死の真相を調べませんか?」
父の友人だと名乗る初老の男が、目深に被っていた帽子を脱いで、私にお辞儀をする。
重い暗い話をしているはずなのに、意中の女性を食事に誘うような軽快さと紳士さがそこにはあった。
だから、男の姿を見つめたまま、私はその場から一歩も動けずにいた。
凍り付いた私の顔を見た初老の男が、穏やかな笑みを浮かべて言葉を続ける。
「一緒に、調べて欲しいのです。私のために」
まるで告白にも似たその一言に、私の心臓が大きく跳ねる。
父の死に、大した理由などない。そこにあったのは、ごく普通でありふれた突然の死。
そう思っていたはずなのに。
その男の言葉を、私は何故か、聞かなかったことにはできなかった。
知りたいとも、思っていない。
それでも、断る理由も見つからない。
その時初めて、父の死が面倒なものになる予感だけが、私の中に静かに残ったのだった。
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次回投稿は2/14(土)
を予定しております。




