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アイザワ夫婦は全校生徒から祝福されている  作者: 妖精卿
相澤蒼乃は交友を深める
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39/97

039 -Ritsu-

 相沢律(あいざわりつ)、相澤蒼乃(あいざわあおの)、小谷瀬遥(こやせはるか)、才川日向(さいかわひなた)の四人はクラスにいる間よく一緒にいるが、あまり四人で出かけたことはない。それは遥(はるか)の部活の日程があったり、日向(ひなた)の家の事情があったりするからだ。


 十一月のとある日曜日。珍しく四人の日程があったため、久しぶりの親睦会(しんぼくかい)だった。お目当てはボウリングだった。運動が苦手な日向(ひなた)が嫌がっていたが、強制的に連れ出した。


「ボウリングも久しぶりに来るかも」


 律(りつ)はドリンクバーにあったメロンソーダを飲みながら言う。隣(となり)で密着(密着)している蒼乃(あおの)はソワソワした様子でレーンを眺(なが)めている。


「私は小学生の時、家族で来たきりかもしれないわ」

「あたしはバスケ部で夏にきたかなー! 日向(ひなた)は?」

「わたしは中学の時に家族で来たきりです」


 四人でいるというのに、蒼乃(あおの)の手が律(りつ)の右手を掴(つか)んでいる。遥(はるか)と日向(ひなた)は見慣れているからか、もう囃(はや)し立てることもしない。


「投げる順番どうする?」


 遥(はるか)がタッチパネルを操作しながら呼びかける。


「出席番号順でいいんじゃない?」


 律(りつ)が提案した。じゃんけんでもいいけど、分かりづらいから名前の順番でいいと思った。他の三人も了承したので、一番では蒼乃(あおの)、二番手が律(りつ)になる。


「ねぇねぇねぇ、せっかくだからなにか賭(か)ける?」


 テンション高く遥(はるか)が提案をするが、日向(ひなた)が冷えた声で反対をした。


「嫌ですよ。御三方(おさんかた)は運動神経がいいじゃないですか」


 文学少女は眼鏡をおさえ、冷静に言う。


「ボウリングってそんなに運動神経関係なくない?」


 一番運動神経がいい遥(はるか)が言っても説得力はなかった。


「それじゃあ、一番になった人にだけ特典をつけよう! そうだなー、一週間英語のノート見せてもらうとか」

「それはいいね」


 遥(はるか)の馬鹿げた案に乗ったのは、もちろん律(りつ)だ。蒼乃(あおの)と日向(ひなた)は冷ややかな目を二人に送っていた。


「えーっと、それなら……勝者はみんなに良いところを一つずつ言ってもらうとか!」

「ただの罰(ばつ)ゲームじゃない」


 しかし、他に提案が出なかったので、遥(はるか)の言った良いところを一つ言うが採用されてしまった。


「二ゲームでいいよね。四人だし。よーし、蒼乃(あおの)いってみよう!」


 蒼乃(あおの)の手が律(りつ)から離(はな)れる。律(りつ)は「頑張(がんば)って」と離(はな)された手を振った。


 ボウリングに運動神経が関係あるかは分からないが、間違いなくセンスは必要だなと律(りつ)は思う。そういったセンスを持ち合わせているのが蒼乃(あおの)だ。初回からスペアを獲得していた。遥(はるはな)のハイタッチに、蒼乃(あおの)は少し照れながら返していた。


「蒼(あお)ちゃん、すごいね」


 律(りつ)も両手を上げてハイタッチをねだる。ハイタッチのはずが、両手を掴(つか)まれてしまった。


「いちゃいちゃしてるところ申し訳ないんですけど、次はりっちゃんの番だよ」


「はい」


 蒼乃(あおの)を引き剥(は)がしボールを持つ。蒼乃(あおの)が使っていたものより一つ軽いやつにした。腕力には自信がない。


「あっ……」


 ボウリングのセンスが律(りつ)にはないのかもしれなかった。一投目は見事ガターとなった。日向(ひなた)がほっとした顔をしている。


 でも二投目でピンを八本倒した。上々と言えるだろう。

 全部倒したわけじゃないのに、蒼乃(あおの)が両手を差し出してくる。


「いやいや」


 友達がいる前でハグは……たまにしているけれど、今は気恥(きは)ずかしさがあった。


「どうして恥(は)ずかしがるの?」


 有無を言わせずに抱かれてしまった。


「ちょっと! いちゃいちゃしてないで、あたしの素晴らしい投球フォームを見て」


 遥(はるか)に怒られる。しかし、よそ見をした遥(はるか)は律(りつ)と同じくガーターとなった。


「どうしたー、現役運動部!」


 律(りつ)はいちゃついた上に野次(やじ)を飛ばす嫌(いや)な奴(やつ)だった。しかし、運動部の意地があったのか律(りつ)をわずかに上回る九本を倒す。


「どんなもんよ」

「私はスペアだけれど」


 蒼乃(あおの)に言われては、遥(はるか)も返す言葉がない。遥(はるか)は次に投げる日向(ひなた)に声援(せいえん)を送る。


 律(りつ)は蒼乃(あおの)に抱(だ)きかかえられる形で座っていた。そんな姿を遥(はるか)は笑って見ていた。良い友達だと思う。


「お! 日向(ひなた)もスペアじゃん!」


 日向(ひなた)の投げたボールはスピードがとても遅かったが、狙いは正確でいい調子だった。


「ハイターッチ」


 また遥(はるか)が日向(ひなた)にハイタッチを求める。今度は恥(は)ずかしがって応じていた。律(りつ)も両手を差し出してみたが応じてもらえなかった。


「律(りつ)に触(さわ)ると怒られそうなので」

「怒らないわよ」


 蒼乃(あおの)にも説得力はなかった。


「ちょっとさ、君たち、いちゃついてもいいから、順番になったら投げてよね」


 蒼乃(あおの)が「はいはい」と言いながら、律(りつ)を膝(ひざ)の上から降ろす。


「りっちゃんたちって外でデートしている時もこんな感じなの?」

「こんなとは?」

「べったりしてるの」


 直近のデートを思い返してみる。


「してるねぇ」


 いつも手を繋(つな)いでいるし、密着している。人がいなければキスもする。


「どう思う? 日向(ひなた)」

「胸焼けがしそうです」


 話し込んでいると投げ終えた蒼乃(あおの)が戻ってきた。惜しくもスペアは取れずといった感じ。


「律(りつ)の番よ」


 軽くハグをされる。これ、交代する度にやるつもりなのかな。日向(ひなた)が胸をさすっていた。

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