030 -Aono-
結論から言うと、体力のある若者なので全部で三回した。何をとは言わない。
蒼乃はとても満足していた。服がはだけた腕の中で律を抱き締めてごろ寝をしている。とても幸せだった。
「律」
呼ぶと腕の中から「うーん」という声が返ってきた。さすがに疲れたらしい。律にばかり頑張ってもらったから仕方がないかもしれない。
「大好き」
少し間を置いてから「私も」と返ってきた。
「私のこと嫌いになってない?」
面倒くさい彼女のそれであった。
蒼乃の胸あたりに埋めていた顔を、蒼乃の顔が見える位置まで上げてきた。
「好きだよ」
「よかった……」
「でも、蒼ちゃんは性欲お化けって分かっちゃったからなぁ」
何度も感じられる律も、なかなかの性欲お化けだと蒼乃は思う。
「律はえっちなことは嫌?」
「……嫌じゃないけど」
頭がまた胸の方に戻っていった。説得力がない。律の生温かい息が肌に当たってこそばゆい。
あまりに彼女が可愛いので、綺麗な後頭部を撫でる。染めていない栗色の髪の毛はさらさらで、ついでにいい匂いがする。
「蒼ちゃん、本当に今日が初めてだったんだよね?」
「律が初めてよ」
「それにしては手慣れてた」
脇腹をつままれる。普通に痛いのでやめてほしい。
「予習したもの」
「なにで!?」
「本とか、ネットとかで……」
インターネットというのは、青少年の健全を阻止する要素がたくさんあった。中には十六歳の蒼乃が見てはいけないものもあったが、背に腹は代えられなかった。
「私も少しは勉強した方がいいのかな……」
「いえ、律はひとまずこのままでいて」
純真さは失われてからでは取り戻せない。初心なら初心でいてほしい。
「でも家に呼ぶつもりならもっと早く言ってほしかったな」
「早く言ったら、テストに手つかなくなるでしょ」
「そうだけどー」
もごもご言っているがよく聞こえない。
「……初めては一番可愛い下着がよかったな」
そんな可愛いこと言うのやめてほしい。蒼乃の中でまた欲が出てこようとする。
「今日の下着だって似合っているわよ」
「ほとんど下着見てないくせに」
そんなことはない。それはもちろん肌色の方が見ている時間は長かったかもしれないが、下着だってきちんと頭の中にインプットしてある。
「じゃあ今度する時は、一番可愛い下着をつけてきてちょうだい」
律と下着も買いに行きたいなと、頭の片隅で蒼乃は考えていた。自分で着させておいて、自分で脱がす矛盾。とてもそそる。
「蒼ちゃん」
「なぁに」
「愛してる」
真っ直ぐな愛の告白に、邪なことばかり考えている自分が恥ずかしくなる。
「私も愛してる」
この温もりを、ずっと感じていたい。
夕方までまだ少し時間がある。




