表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アイザワ夫婦は全校生徒から祝福されている  作者: 妖精卿
相澤蒼乃は嫉妬をする
23/56

023 -Aono-

 その日は少し夜更(よふ)かしだった。十月七日。蒼乃(あおの)(りつ)と付き合い始めて一ヶ月だった。まだ浮かれ気分の抜けない蒼乃(あおの)は意識的に夜更(よふ)かしをした。


 六日の二十三時五十分を過ぎたあたりからずっとスマホで時刻を確認していた。

 我ながら幼稚(ようち)だなと蒼乃(あおの)も思う。たった一ヶ月しか経っていないのだ。どんなカップルだってそのくらいは頑張れば続けられるだろう。


 それでも蒼乃(あおの)にとっては特別な記念日であった。(だれ)に祝われなくてもいい。自分で小さなお祝いをできればよかった。


 十分(じゅっぷん)なんて(りつ)の写真を眺めていればあっという間だった。日付が変わった瞬間、写真相手に「好き」と伝える。


 目を一瞬(つぶ)っての「好き」だったので、その通知がきた瞬間を見逃してしまった。メッセージアプリの通知が二件。二件目がスタンプだったので用件は通知欄から判別(はんべつ)できなかったが、送り主は(りつ)だった。


 暗い部屋の中でガバッと体を起こす。(りつ)から。何で。どうして? 寝ている時間なのではとか考えながら、何も考えずに通知をタップした。


『まだ起きてる?』


 既読をつけるとすぐに新しい文が送られてきた。


『ちょっとだけ電話してもいい?』


 断る理由なんぞどこにもあらず『もちろん』と秒で返す。電話が鳴った。紛れもなく(りつ)からの電話だった。


『ごめんね、(あお)ちゃん。起こしちゃった?』

「いいえ、私も起きてたから。どうしたの、こんな時間に」

『えーっと。ほら。今日で一ヶ月じゃん? 私たちが付き合って』


 (りつ)は言葉を(きざ)みながら言う。顔は見えないけど照れているのが分かった。


(あお)ちゃんの声を聞いてから寝たいなぁって。思ったの』

「私も(りつ)の声聞きたいって思ってた」


 自分だけが重いのだと思っていたから、すごくすごく嬉しかった。

 電話先で二人で笑い合う。親に聞こえたら怒られてしまうから小声でだ。


「嬉しい……。大好き。(りつ)

『私も大好きだよ。(あお)ちゃん』


 このまま話していたい。電話を切りたくない。


「ありがとう」


 嬉しくて仕方がない。この気持ちを(りつ)に上手く伝える言葉を蒼乃(あおの)は持っていない。


『私からかけといてなんだけど、時間が時間だから切るよ。また明日……というか今日たくさんお話しようね』

「えぇ。またね」


 通話が切れる。ロック画面にキスをした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ