全力で走らないと願いを叶えてくれない魔法の自転車
ある日、幼馴染みと二人で困った老婆を助けたら、古臭い自転車をくれた。
「これはどんな願いでも叶えてくれる、魔法の自転車じゃ」
そして老婆はタクシーで帰っていった。
「大智君! 乗ってみて!」
「お、おう?」
よく分からぬままに跨ると、自転車のベルから煙が噴き出し、青い肌の魔人が姿を現した。
「我の封印を解いたのは貴様等か?」
「はわわっ……!」
「スゴーイ! ホンモノ!? 大智君、この前ベイブ◯ードの新しいのが欲しいって言ってたよね!?」
魔人は顎に手をあて、俺を見下ろしている。ベルから魔人へ伸びる煙を手で払うも、魔人はびくともしない。
「良かろう。願いを一つ言うがいい。ただし、我が出す問いかけに答えることができたらの話だ」
魔人が白い歯を見せて笑った。
京香はノリノリで「いつでもいいよ!」と腕まくり。
「ハハハ! 威勢の良い小娘だ。よし! 問いに答えるのは小娘、貴様だ。そして!」
魔人はビッっと人差し指を俺に向け、手を触れずに自転車を僅かに宙に浮かせた。
「おわわっ!」
「この小僧が全力でペダルをこいでいる時だけ答える事が出来るものとしよう。ハムスターの如く全力で回すがいい」
「大智君! 頑張って!!」
「えっ、ちょ、ごめん、気持ちの整理が──」
俺の気持ちとは一切関係なく、魔人が問いかけを始めた。
俺は仕方なく考えるのを止めて自転車を全力でこぎ始めた。
「問題! 朝は四本、昼は二本、夜は三本。さて、これは何?」
うおぉぉぉぉ!!!!
めっちゃ簡単ななぞなぞキターーーーッッ!!!!
もろたで!!
「京香! 早く答えるんだ! 既に足が辛い!」
「えっと、えっと……バナナ!!」
「ブブーッ」
「んなわけあるか! てかバナナ食いすぎ!!」
「小僧は黙ってこいどれ。本当にハムスターに変えてしまうぞ」
「はいすみません!!」
凄まれ黙って自転車をこぐ俺。
太ももが過労死寸前だ。
「フィリピンバナナ!!」
「ブブーッ」
「えーっ! もういいよ。スマホで調べる」
そう言って、京香はスマホですぐに答えを調べ始めた。
「ああー。ヒューマンね、ヒューマン」
「ふむ、正解だ! では願いを叶えてやろう」
「大智君にベ◯ブレードの新しいやつを!」
「ええーっ!?」
こうして俺は、ベイ◯レードの新商品を手に入れた。
「良かったね大智君!」
「お、おぅ?」
凄い勿体ない事をした気がしたが、京香が嬉しそうなので良しとした。
代わりと言ってはなんだけど、京香には近くのスーパーでバナナを一房買ってあげた。




