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少女は魔剣と共に楽園を目指す  作者: コーヒー微糖派
始まりの村と追及の王国
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その王子、未知の少女に接触する

突然やって来てしまった未知の王国。そこの王子様とご対面。

「安心して僕についてきたまえ。こちらから危害を加えることはない」

「う、うん……」


 エスカぺ村の聖域であるお社にいたと思ったら、突如襲い掛かってきた岩石巨人。その時に巻き込まれた転移魔法で辿り着いたのは、ディストール王国と呼ばれる場所。

 とりあえずはレパス王子という人に連れられ、私は大きな建物の廊下を歩いていく。度々振り向いて私の顔色を伺ってくるけど、敵意がないのは本当っぽい。


 それにしても、こんな場所は初めて見る。でも『王国』というのは村の書物でも読んだことがある。外の世界にある大きな集落のことだ。

 ならば、ここは外の世界ってこと? 私、外の世界に出ちゃったってこと?


「えっと……レパス王子? ここって……外の世界?」

「君の名前はミラリアだったね。君の概念で言う『外の世界』がどういうものかは知らないが、どうにもこちらの不手際で巻き込んでしまったようだ」

「不手際? 巻き込んだ? あの岩石巨人も関係ある?」

「デプトロイドのことか。あれはディストール王国で辺境調査のために使っていて、遠方への転移魔法機能も搭載している。ただ誤作動なのか帰還する時、その場に居合わせた君まで転移魔法で連れてきてしまったようだ。……今は僕の部屋で少し落ち着くといい。今後のことは追って話そう」


 私には何が何だか分からない。知らないことだらけで従うしかないのも怖い。

 でも、これだけは分かる。私は今、エスカぺ村から外の世界へとやって来れた。


 ――ずっと夢見た世界の中に私はいる。


「さあ、ここが僕の部屋だ。遠慮なくくつろいでくれたまえ」

「な、何……ここ? 凄くお洒落? こんなにキラキラした部屋、初めて見た……!」


 しばらく案内されて辿り着いたのはレパス王子の部屋。ドアも大きくて頑丈そうだったけど、中に入ると驚いて言葉を失いそうになる。

 ここに来るまでに通った通路に見合う広さ。ひと目で豪華さが伝わってくる置物や装飾。

 ここって、人が住む部屋なんだよね? こんな部屋、エスカぺ村では見たことなんてない。壁も固い石でできてるし、木でできたエスカぺ村の建物とは大違い。

 まるで別世界。外の世界って、部屋まで広かったんだ。


「そこのソファーに腰かけるといい。飲み物はミルクでも構わないかな? 君の年齢では、お酒も厳しいだろう?」

「お酒は無理。ミルク大好き。……うおぉ。この椅子、フカフカしてる……!」

「ハハハ。たかがソファーにそこまで驚くなんて、平民でもいないかもね。どうやら、君は本当にこの国どころか世界のことを知らないようだ」


 部屋に入ってからも、ちょっとしたことですぐ驚いてしまう。ソファーという椅子はフカフカだし、飲み物を頼むと白黒ドレスに被り物をした女の人が、素早く眼前のテーブルに用意してくれる。

 これが外の世界の常識ってこと? レパス王子が偉いから特別ってこと? 正直、基準も何も分かんない。


「さて……まずはさっきの話の続きをしようか。君を転移魔法に巻き込んだのはデプトロイドと言われるゴーレムだ」

「デプトロイド……ゴーレム……? 何それ?」

「ああ、そこも分からないんだね。構わないさ。僕も少しずつ説明しよう」


 ソファーに座ってレパス王子と向き合いながら、今回の事態について少しずつ説明を受ける。

 なんでも、私が戦った岩石巨人は『デプトロイド』と呼ばれるここディストール王国の所有物だったらしい。『ゴーレム』という種族の魔物……というより、人間が操作する人形とのこと。

 勝手に壊しちゃったけど、そこまで怒られはしなかった。


「あのデプトロイドは王国から離れた場所にある未開の地へと転移魔法で移動し、そこを調査する目的で作ったものだ。つまり、君はこの国にとって『まだ見ぬ未開の地の住人』ということになる。エスカぺ村というのも、僕は聞いたことがないな」

「そうなの? 私、エスカぺ村しか知らなかった。エスカぺ村、デプトロイドみたいな動く人形はない。このディストール王国って場所、凄い」


 話を聞いていけば、ある程度は理解できる。でも、チンプンカンプンなところも多い。

 デプトロイドって、どうやって動いてるのかな? この建物って、どれぐらい大きいのかな? エスカぺ村って、そんなに知られてなかったのかな?

 まあ、知名度に関しては分からなくもない。エスカぺ村、周囲を結界で覆ってたから。


「まだまだこちらのことで聞きたいことも君にはあるだろう。だが、僕の方からも質問させてもらえないかな?」

「レパス王子が私に質問? 構わない。だけど、答えられる自信がない」

「そんなに気負わなくて大丈夫さ。答えられる範囲で全然構わない」


 差し出されたミルクを口にしながら話を聞いてると、今度はレパス王子の方から質問を持ち出したいらしい。

 まあ、私も説明を受けてばかりってのは失礼かもしれない。こういうのは『お互いが平等に受け答えすることが大事』って、スペリアス様も言ってた。

 とはいえ、私から話せることってない気がする。ここの技術、エスカぺ村の何倍も凄いもん。

 それなのに聞きたいことって、いったい何だろうか?




「ミラリア。君は古代エデン文明というものを知らないかい? 僕がデプトロイドを使って未開の地を調べるのは、エデン文明を調べるためなんだ」

「古代……エデン文明……?」

それはつまり、ミラリアは王子が探す文明との関りが――

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