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その聖女、秘密の場所を伝える

アグレッシブ洞窟ルート秘密の場所。

「少し狭いですが、我慢してください。私もコッソリ聖堂を抜け出したい時用に一人でコツコツ作ったため、あまり通りやすくは――あたっ!?」

「私は大丈夫。フューティ様の方が大きいし、しっかり前を見て進んでほしい」


 フューティ様の私室にあった秘密の地下通路を突き進むも、お世辞にも通りやすいとは言えない。かなりボコボコだし、フューティ様が頑張って掘った様子が伺える。

 それにしても、フューティ様って意外とアグレッシブだ。コッソリ聖堂を抜け出したいがために、こんな抜け道まで作っちゃうなんて。


「聖女の仕事って、そんなに嫌なの?」

「嫌ではないのですが、たまに気分転換したくもなります。リースト司祭の笑顔は不気味ですし、ペイパー警部は口うるさいですし」

【まあ、大変なんでしょうね。あっ、光が見えてきましたよ。……結構長かったですね】


 聖女という立場も大変なようだ。こんな長い洞窟を掘ってまで抜け出したくなるぐらいなのだろう。

 そういえば私もエスカぺ村で脱出作戦をしてた頃、地下に穴を掘ってどうにかしようとしたことがあったっけ。

 あの時は途中で川にぶつかり、掘ってた洞窟が水浸し。脱出どころか、逆にツギル兄ちゃんに助けてもらう羽目となった。


 ――後、結界は地面の下にも続いていたらしく、洞窟を掘ったのは徒労だった。




「さて、ここならミラリアちゃんの修練にも使えるでしょう。場所的には聖堂の裏手にある森の奥地ですね」

「おおぉ……! 行き方はビックリだけど、なんだかフューティ様が秘密の場所に選んだのも分かる気がする。自然豊かで落ち着くところ」

【本当だな。近くに川も流れてるし、息抜きするにはピッタリの場所か】

「お二方も気に入ってくれたようですね。私も何よりです」




 なんだかんだで洞窟を抜けると、そこに広がるのは川のせせらぎと小鳥の鳴き声が聞こえる開けた森の広場。スペースも十分だし、ここなら剣術の修練には丁度いい。

 魔物の寄ってくる気配もなく、何か神聖な力で守られてる気がする。


「むぅ? この石像、誰の? 触角が生えた女の人?」

「こちらはエステナ教団が崇める女神エステナの像です。この像があるおかげで、ここには魔物が近寄ることもありません」


 その神聖な力の正体とは、この広場に置かれた女神様の石像にあるらしい。話に聞いてたけど、実際に姿を見るのは初めてだ。

 色は分からないけど、長い髪にローブを着た綺麗な女性の姿。額からは伸びる二本の触角が特徴的。後、耳も長い。


「……この触覚、なんだか私自慢のアホ毛みたい。私と対抗してる」

「い、いえ……この姿は伝承によるものですし、本当は翼が生えてるとも言われています。触角は言い伝えによると『天から下界の気配を探るため』のものだそうです。別にミラリアちゃんのアホ毛と対抗はしてません」

【結構変わった姿ですね。それにしても、この長い耳はまさか……?】


 少し触角が私のアホ毛と被って見えて、妙な対抗意識を燃やしてしまう。

 でも、これが『神様っぽい』ということだろう。プラスに考えれば、私も『神様っぽい』ということだ。そういうことにしておこう。

 ツギル兄ちゃんも像を眺めながら、何かに気付いたようだけど――




【なあ、この長い耳、エスカぺ村の巫女さんや鍛冶屋さんと同じじゃないか?】

「……あっ、そういえば。あの二人も同じように耳が長かった」




 ――その理由を聞いて、私もハッと思い出す。確かに巫女さんや鍛冶屋さんの耳も長かった。

 エステナ教団も楽園に関わっていて、女神エステナ様は楽園の守り神って言われてたんだっけ? そして、エスカぺ村にも耳の長い人がいた。

 これってやっぱり、楽園やエデン文明との関りがあるってこと? 剣術の修練前にそっちが気になっちゃう。


「……まさかとは思いましたが、エステナ様の像でもミラリアちゃんの故郷との繋がりがあったのですね」

「それってどういうこと? フューティ様、何か知ってるの?」

「ええ。ミラリアちゃんやレパス王子と社の地下にあったエデン文明の資料を見た時、私も気になるものを目にしましたので」

【その資料とエステナ様やエスカぺ村の人達がどう関係してるんですか?】


 フューティ様の方も何か知ってるらしく、何か含みがある話し方をしてくる。表情もどこか神妙だ。

 ツギル兄ちゃんも気になったのか、私と一緒になって話を伺おうとする。




「エステナ様のように耳が長いのは、楽園で過ごしていると言われる古代民族――『イルフ人』の象徴だそうです」

出くわすは女神エステナの姿と、とある共通点。

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