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少女は魔剣と共に楽園を目指す  作者: コーヒー微糖派
古代技術を守護せし豹と虎の拠点
423/503

海駆ける海賊は、大空で少女と共に

だって世界が終わったら……ニャンニャンパラダイスも作れないから……!

「ふ、ふふぇ!? わ、私に従う!? そ、それはなんだか……困る」

「この者達もミラリアとは深い縁にあり、此度の試練で見極めた者達ぞ。気持ちは分からなくもないか。ドラララ」


 ゼロラージャさんは笑いながら納得してるけど、私としてはどうしても動揺。いきなりのことにアホ毛もピンと張り詰める。

 だって、ロードレオ海賊団が私に従うって言うんだよ? これまでを考えるとありえない。


「まあ、上下関係なんざどうでもええ。せやけど、ミラリアちゃんの意志について行きたいってのは本心や。なんせ、世界の命運もかかっとるんやろ?」

「そ、そうだけど……そこまでしてくれるの?」

「当たり前やろが。世界が終わったら、ニャンニャンパラダイスも作られへん」

【そこの信念は変わらないのか……。らしいと言えばらしいな……】

「ダハハハ。レオパル船長はこう言ってるが、悪い話じゃねェだろォ? オレらだって戦力になるし、好きにアテにしてくれればいいさァ」


 動機についてはちょっと不純だけど、気持ちとしては理解できる。

 もしも世界が終わっちゃったら、レオパルさんの欲望もそこまで。ニャンニャンパラダイスどころか、ロードレオ海賊団の未来だってない。

 世界という大きな括りがあることは、レオパルさんやトラキロさんもすでに理解してる。微妙な思想の違いはあっても、この人達の力は体感して信頼してる。


「……これから私がやることは、これまでの戦いとは比較にならない。それでもついてきてくれる?」

「ロードレオ海賊団に二言はあらへん! 箱舟まで動かしたんやから、地獄の底の魔界やろうがついてったるわ!」

「安心しなァ。迫る戦いに対して、文句は言わねェよォ」

「……ありがとう。なら、こっちからお願いする。どうか一緒に戦ってほしい」


 楽園を――エステナを止めるのが私の役目。でも、一人だけでは限度がある。

 今だってツギル兄ちゃんに浮島のスペリアス様、ゼロラージャさんを始めとした魔王軍が味方してくれてる。相手は神様。どれだけの力を用意しても足りない。

 だから、手を差し出してくれるなら受け取りたい。これまでの話を抜きにして、純粋に味方してくれるのが嬉しい。


 ――自我を手にした神様に挑めるは、こういった『繋がる人々』という力でもあるのだろう。


「よっしゃ! 方針は決まったで! ほんなら早速、箱舟の試運転と行こか! 浮上ブースター点火! ハッチ開放!」

「了解でヤンス!」

「俺らもお供するでゴンス!」

「システムオールグリーン! 箱舟起動でアリンス!」


 新たな仲間も増えた。それに伴うように箱舟もついに動き始める。

 少しずつ浮上を始め、天井部分も開いていく。その先に見えるは広がる大空。本当に箱舟は空を目指してる。

 海ではなく空。これまでの常識を打ち破る力がここにある。


 ――その目的はかつて世界の常識をひっくり返した神様の打倒だ。


「ええ感じやな。メーターには気を配っとけよ。ウチもメンテとデモは繰り返したが、実際にどないなるかはまた別や」

「例の切り札についても、どこかで試し撃ちした方がいいと思うんですがァ?」

「それはそうなんやが、使いどころに悩むな。まあ、練習航海ついでに都合がええのが見つかればやるって感じでな。下手に試し撃ちもできひんし」


 大空という未開の海へと動き出した箱舟。だけどゼロラージャさんの背中に乗るのと違い、感覚は船で海を渡ってる時に近い。

 ロードレオ海賊団も予測はできてたのか、しっかりした動きで箱舟を制御してる。かなり安定してるのも実感できるし、任せて問題なさそう。

 何やら別の機能もあるみたいだけど、そっちも信頼して任せておこう。箱舟に関しては新たな仲間の方が詳しい。


「箱舟は無事に動いたようだな。ここからしばし練習となるならば、我も少し暇をもらおう」

「ふえ? ゼロラージャさん、どこか行くの?」

「魔界へ戻り、魔王軍の様子を伺わせてもらう。事態が動きつつある今、報告と確認も怠るべきではない」

【確かにな。思えば、あんたにも相当世話になってる。ユーメイトさん達にもよろしく言っておいてくれ】

「ドラララ、よかろう。また駆け付ける故、今は箱舟と共に空を漫遊しておれ。……ヌンッ!」


 箱舟が安定して動くのを見ると、ゼロラージャさんはドラゴンに変身して飛び立っていった。

 あの人も魔物の王様なわけだし、みんなのことが心配なのだろう。それなのにここまで私達に付き合ってくれたことには感謝したい。

 箱舟とは別方向へ飛んでいくゼロラージャさんを見送りながらお辞儀をペコリ。人間、よくしてくれたら感謝しないとダメだ。




「……なあ、ミラリアちゃん。めっさ今更なことなんやが、一つだけ先に聞いてもええか?」

「あァ……多分、オレも同じことを思ってたでさァ」

「ふえ? 何か質問?」




 そうやってゼロラージャさんを見送ってると、何やらレオパルさんとトラキロさんが無表情で尋ねてくる。よく見ると、同乗してるロードレオもどこか緊張した様子。

 何を聞きたいのかな? 箱舟の目的地について? 動かした目的?

 ここまでは『後で構わない』みたいな空気だったけど、やっぱり気になるのかな?




「さっきドラゴンになって飛んでったデカい仮面のオッサンやが……」

「そもそも、何者だァ……?」

魔王です。

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