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少女は魔剣と共に楽園を目指す  作者: コーヒー微糖派
古代技術を守護せし豹と虎の拠点
421/503

試練と決闘は、先にある目的のために

ついに決着、ロードレオ総大将レオパル戦。

「こ、これは……!? レオパル船長、ダウゥゥン! 勝者ァ! チャレンジャー……ミィィラァァリィィアァァア!!」

「レ、レオパル様が……!?」

「し、信じられないしー!?」

「お、俺らの愛が足りなかったか……!?」


 刃界理閃をまともに食らったレオパルさんは、うつ伏せに倒れたまま動かない。実況のトラキロさんも確認し、決闘の終焉も告げられた。

 観客席では元Aランクパーティーを始めとしたロードレオ海賊団が、揃って『信じられない』といった絶叫を上げている。


「て、てやんでい……!? ま、まさか、本気のレオパル船長を倒すとは……!?」

「アッシらはミラリアちゃんが実際に戦うのは、初めて見ましたねい……! しかし、これほどとは……!?」

「ウヌらを束ねし者も大した気骨ではあったな。されど、ミラリアとツギルが上を往くか。見事な決闘であったぞ。我も催しとして楽しめた」


 一応は私サイドのみんなも驚きの声に染まってる。ゼロラージャさんは凄く余裕な態度だけど。

 ともかく、これで与えられた試練は全て踏破。箱舟の約束も果たしてもらえる。



 クラ――ドサッ



「ふ、ふえ……? あっ、そうだった……疲れた……」

【集中してると、消耗さえも忘れるな……】


 ただ、私とツギル兄ちゃんも限界。一気に襲い掛かる疲労で動けなくなる。

 おまけに今回は凄く眠い。ここから箱舟のお話なんてできそうにない。


「あれほどの激闘ぞ。消耗して当然よ。誰か、かの者どもの介抱を頼む」

「てやんでい! オッレが行くでい!」

「トラキロ副船長も頼めますかねい?」

「オレはレオパル船長の面倒で入り用だァ。そっちは任せたぜいィ」


 薄れゆく意識の中で、みんながてんやわんやしてる声だけは聞こえた。

 介抱してくれるみたいだけど、後で箱舟のことを話してくれるのを祈るばかりか。





「むう……だいぶ楽になった。おはよう」

【目が覚めたか。俺も今起きたが、かなり眠ってたみたいだな】

「魔界から始まり、この地に至るまでの連戦ぞ。急いだ方が良いとはいえ、休息も重要ぞ。この場も貸し与えてくれたようだし、しばし休め」


 次に目が覚めたのは、ロード岩流島内にあるらしきお部屋の中。周囲の壁が金属製なのが分かりやすい。

 魔剣へ戻ったツギル兄ちゃんとゼロラージャさんも一緒にいるし、束の間の休息もできるみたい。



 クキュルル~



「オネンネはできたけど、ご飯が足りない……」

「てやんでい! そう言うと思って、オッレとネモト料理長で飯の用意も万全でい!」

「ミラリアちゃんも気に入ってくれたモツ煮ですねい。しっかり作っておきましたんで、どうぞ食べてくださいねい」

【準備がいいし、まだいるし……】


 なお、ヤカタさんとネモトさんは相変わらず一緒してくれる。私が気に入ったモツ煮も器にてんこ盛りで持ってきてくれて、お腹も満たせる大盤振る舞い。

 結局『セメント』とやらが何かは分かんなかったけど、こうしてご飯を用意してくれるだけでも十分すぎる。モツ煮を摘まめばアホ毛まで元気が戻ってくる。


「ほォう? ミラリアちゃんも目が覚めたかァ」

「あっ、トラキロさん。レオパルさんは?」

「あァ……そのことかァ。ちょっとミラリアちゃんには説明しづれェなァ」

「ふ、ふえ? 何かあったの?」


 そうこうしてると、タイミングを計ったようにトラキロさんが部屋へ入ってくる。確かあの後、レオパルさんの介抱をしてたんだっけ。

 こっちも休めたし、レオパルさんとは箱舟のお話だってしたい。そう思って今どうしてるか尋ねてみると、どうにも反応がよろしくない。

 確かに私も決闘でかなりボコボコにした。敬意もあったとはいえ、最後の合体してからトドメはやりすぎと言えなくもない。

 もしかすると、今もダメージで苦しんで――




「いやー! やっぱ全力で動いた後のニャンニャンパラダイスは最高やで! 手厚く介抱してもろて、傷も疲れも吹っ飛ぶわ! お? ミラリアちゃんも目ぇ覚めたんか?」

「この通り、ビックリするほど元気だァ」

「……そう。ならいい」




 ――るのかと心配したけど、とんだ杞憂だった。トラキロさんから少し遅れて部屋に入るのは、元気そうでツヤツヤ笑顔なレオパルさん。

 刃に変えてた両手両足も元に戻り、思いっきりブンブンさせてる。ちょっとでも心配したことを凄く後悔したくなる。


 ――なお、ニャンニャンパラダイス絡みについては聞かないでおく。また穢れそうになる。


「なんや、なんや? ミラリアちゃんの方がお疲れモードかいな? せやったら、特別にウチのニャンニャンパラダイスをミラリアちゃんのため――」

「いらない。お断りする。逆に疲れる。私はあなたとは違う」

「……断るにしても辛辣すぎひんか?」

「こっちとしては、もっと大事なことが他にある。動けるぐらいには回復してるから、早速案内してほしい」


 私との決闘で見せた真面目な姿もどこ吹く風。完全にいつもの調子へ戻ってしまった。

 とんでもないスイッチの切り替え。私には到底真似できない。する気もないけど。

 ただ、元に戻って約束を忘れたとかは勘弁してほしい。


 ――試練も決闘もここへ至るまでの過程に過ぎない。本当の目的はその先にある。




「もちろん、ウチもそのために来たんやからな。……案内したるわ。古代の人間が秘匿させとった究極のカラクリ――箱舟になあ」

キャラは戻っても目的は忘れてない。

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