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少女は魔剣と共に楽園を目指す  作者: コーヒー微糖派
古代技術を守護せし豹と虎の拠点
419/503

◆海護豹レオパルⅢ

本気のレオパルの真髄! 今ここに!

「おォっとォ!? レオパル船長、天井へめり込みながらも、まだその眼光に衰えはなしィ! 闘志を漲らせ、セカンドモードの宣言だァア!」

「キャァァア! レオパル様、流石ぁぁあ!」

「まだまだ行けるしー!」

「俺らの愛と声援を受け取って、立ち上がってくださぁあい!」


 なんとレオパルさんは大の字で天井にめり込んで動けないまま、私を睨みながら言葉を発してくる。

 それを聞いて実況も観客も大興奮。私は逆に寒気で血の気が引いてくる。

 まさか、あの状態でまだ戦うつもりなの? かなりの手ごたえはあったのに、まだ動けるの?


 ――今回は変態的執念とかじゃない。箱舟の番人という役割を最後まで務めるがための根性だ。


「光栄に思うがええわ! ウチがこの形態を使うのは、ミラリアちゃんが初めてやでぇええ!!」



 カシャシャン! カシャシャン!



「ふえ!? 両手両足が外れた!?」

【天井から抜け出すため――だけじゃない!? 外れた手足から、新しい手足が!?】


 大声で宣言しながら、カシャカシャとした音と共に下りてくるレオパルさん。かなりの高さからだけど、しっかり構えもとってる。

 ただ『第二形態』とも称したその姿は意外なもの。天井から抜け出すために、ポン刀を握ってた手も含めて足まで取り外してる。


 ――そして、外された個所から生えた新たな四本の手足。なんと全部が刀のような刃となってる。


「トランスフォーム豹四刃(ひょうしじん)! いつもの手足やなくなった分、箸もフォークも持たれへんって欠点はある! せやけど、最強のナイフでどないな敵やろうが穿いたるわぁぁああ!!」

「まさに四刀流……!?」


 両腕となった刃を交差させつつ、ブースターも使っての急降下。手足がそのまま武器となったのは確かに危険だ。

 レオパルさんは体術についてもレベルが高い。スピード重視のスタイルに鋭利な武器が加われば、純粋な強化へ繋がる。



 ヒュパァァアンッ!



「これは回避が正解……! この切れ味を前に――ッ!?」

「何を逃げ腰になっとるんやぁあ!? さっきのゴッツイ一撃はどないしたぁあ!?」


 下手に反撃を考えず、初手を躱したところまでは良かった。交差した両腕から放たれた斬撃は、硬いリングに綺麗な斬れ跡を残している。鞘でのガードも耐えきれるかどうか。

 ただ、その後の動きは失敗だ。バックステップで下がった私に対し、全身凶器となったレオパルさんが踏み込んで襲い掛かって来る。

 両足まで刃になったことなど関係ない。間隔を開けることなく、パンチやキックで苛烈に攻め立ててくる。

 おまけに全部の攻撃が刃となって強化されてる。速さに鋭さと手数が上乗せされ、ポン刀の時よりも恐ろしい。


「よくそんな足で動ける……! でも、こっちだって!」



 パシンッ――キィインッ!



「フン! また守りの魔剣かいな! せやけど、こんだけ手数が増えても対処しきれるんかいな!? ニャッハァァア!!」


 鋭さで鞘ガードも厳しく、抜刀状態で刃をぶつけないと守り切れない。リングに刺さったスペリアス様の魔剣を再度手に取り、刀身を負けじと振るってレオパルさんの両手足を防ぎにかかる。

 魔剣と四刀による剣劇。数もスピードも劣るこちらでは、守るのが精一杯。どんどんと後逸を強いられ、リングの隅にまで追いやられる。


「これがレオパル船長ォ! これぞロードレオ海賊団の真髄ィ! これまでとは比較にならねェ猛攻を前に、ミラリアちゃんも形無しかァ!?」

「余裕も時間も何も与えへん! そろそろフィニッシュさせてもらうでぇええ! ニャシャラァアア!!」


 トラキロさんの実況を合図とするように、レオパルさんもさらなる一手。怯んだ私の隙を突き、一瞬その場で軽く力を込めてくる。

 一瞬だったし、こっちの反撃が来ないタイミングを狙って最良の選択。トドメの攻撃を許してしまう。



 キュイィィィィイン!!



「ふえっ!? コ、コマ!?」

「レオパルちゃん式カラクリ独楽(ゴマ)やぁぁああ!! これでみじん切りの場外やぁぁああ!!」

【あの状況でも見えてるのか!? こ、こっちに迫ってくる!?】


 これまでのように遠距離攻撃は使ってこないけど、代わりとばかりに放たれる大技は見ただけで驚異的。

 レオパルさん自身が高速で回転し、全身を旋回する刃へ変えてくる。トラキロさんのドリルが人型サイズになったとでも言えばいい。

 おまけに目を回すことなくこっちへ反応し、旋回したまま突っ込んでくる。あんな攻撃に巻き込まれれば、ズタズタの挽肉なんてレベルじゃない。

 仮にガードできても、それで生じる反発力で大きく弾かれる。場外の溶岩へ飛ばされておしまいだ。


 ――殺意そのものとなったレオパルさんを止める術が見当たらない。




【そうだ! ミラリア、下だ! 下を狙えぇぇえ!!】

「えっ!? 下!? そ、そうか! 分かった!」




 ただ、見当たらないのは『私には』って話。ツギル兄ちゃんは即座に打開策を見出し、簡潔に作戦を述べてくれた。

 正確な言葉でなくとも、意図することは私にも見える。頼れる兄の言葉を前に、怖気てばかりもいられない。



 タンッ!



「なんや!? 玉砕覚悟で突っ込んできおったか!?」

「回転しながらそこまで見えてるのには感服する! でも、狙いは玉砕じゃない!」


 レオパルさんとの距離はそこまで来てる。後方は場外。方向転換する暇すらない。

 ならば、進むべきを前へ作るのみ。レオパルさんも見えてはいるらしいけど、さっきまでみたいに『目で見て動きを読む』ことまではできてないっぽい。


 ――それだけ分かれば十分。起死回生を狙う気持ちの後押しにもなる。



 バギィィインッッ!! ――グラ



「あぐぅ!? ちょ、ちょっと掠った!? でも……!」

「お、おんどれぇぇえ!? ウチの足元狙いおったかぁぁあ!?」

人間辞めた動きの相手に、人間となった少女が挑む!

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