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少女は魔剣と共に楽園を目指す  作者: コーヒー微糖派
古代技術を守護せし豹と虎の拠点
414/503

最後の試練に挑む少女は、味方と共に控室へ

ロード岩流島最後の相手はもちろんレオパル。

船長も本気の大マジで準備を整えている。

「頑張って来たと思ったのに、とんだ拍子抜け。損した気分」

【そう何度も言うなよ……。俺も同感だが、愚痴ってても仕方ないだろ?】

「それにまだ最後の試練も残っておろう? 我も案内はされたようだが、手を出せぬのは変わらぬようだ。気を切り替えよ」


 壁一枚隔てた入口付近にいたゼロラージャさんと合流すると、ドーム内中央へと案内された。

 ベンチが用意されたお部屋で、ちょっとここで待っててほしいとのこと。休憩はできるんだけど、やっぱりムカムカ気味。


「むう……とりあえず、この後にはレオパルさんとの勝負もある。頑張って切り替える。美味しいご飯も用意してくれたし、今のうちにチャージも必要」

「てやんでい! オッレとネモト料理長の料理で、気合入れて挑んでくれい!」

「ロード岩流島近辺で採れる魚介満載のラーメンですねい。モツ煮は仕込んでる最中なんで、今はこちらをお食べくださいねい」

【……で、なんでこの二人がいるんだ?】


 とはいえ、いつまでもムカムカとはいかない。ヤカタさんとネモトさんも応援してくれてるし。

 この二人なんだけど、トラキロさんいわく『セコンドとしてそっちに入ってもらう』とのこと。でも『セコンド』って何だろ? 『セメント』とは違うのかな?

 まあ、細かいことはいっか。何より、用意してくれたラーメンというものは実に美味。ウドンと似た料理だけど、この細いチュルチュルに独特なスープが絡み合ってまた一味違う。それに合わせた具材も一押しだ。

 スープまで美味しくコクコク。濃厚で雑味のないお魚の味わいが体中に染みわたる。


「てやんでい! お連れの大男さんも一杯いかがでい?」

「我にもか? だが、我は魔――」

「アッシらも料理人として、一人でも多くの人に味わってもらいたくてねい。遠慮はいらないんで、どうぞズズッと召し上がりくだせい」

「……まあ、そこまで勧められたら断る方が無礼か。では失敬。……うむ。美味であるぞ」


 一緒にいるゼロラージャさんもヤカタさんとネモトさんに勧められ、仮面を上げてラーメンをチュルチュル。味も気に入ってくれたみたい。

 流石は私も認めた二大料理人だ。相手が魔王でも納得させる手腕は見事としか言いようがない。


 ――もっとも、二人はゼロラージャさんが魔王だって知らないっぽいけど。


【どうして魔王がこんな場所で平然と一緒に飯食ってるんだか……】

「別にいいんじゃない? 魔王とか関係なく、美味しいものはみんなにだって食べてほしい。むしろ、これを機にゼロラージャさんが魔界でさらなるご飯を広めてくれたら面白いかも」

【……ミラリアのそういった分け隔てない性格は相変わらずか。いや、俺も無粋なことを尋ねた】


 残ったラーメンのスープをコクコクしつつ、ツギル兄ちゃんともちょっとお喋り。ただの空想だけど、叶ったら素敵だと思う。

 魔界は闇瘴によってまともな食材も育たない。でも、闇瘴の発生源であるエステナを倒せば改善されるかもしれない。

 そうなれば、魔界にだって立派な畑や農場だって作れるかも。そして行く行くは新たなご飯の誕生だ。

 ご飯とは世界の縮図。今のうちにご飯の知識を得ておけば役に立つ。


「ヤカタ料理長とネモト料理長のラーメンに舌鼓とは、呑気なものでヤンスね」

「準備が整ったでゴンス。奥の扉へ向かうでゴンス」

「連れや料理長コンビはこっちでアリンス」

「コキュコキュ……ようやく出番。待ちわびた」


 ラーメンのスープを飲み干したタイミングで、都合よく幹部トリオが案内に来てくれた。器を置き、二刀の魔剣も腰に携えて準備万端。

 いよいよ最後の箱舟の番人であるレオパルさんと相対する時だ。


「詳細は知らぬが、ミラリアにとってレオパルなる者は我を超える難敵とのことだな? そのような相手であれ、後れを取るでないぞ」

「大丈夫。あの人も今回は真面目にやるっぽい。だったら、これまでみたいに変な後れは取らない」

「ふむ、意気込みからくる佇まいは確かぞ。なれば、我も期待させてもらおう。武運を祈っておるぞ」


 ゼロラージャさんにヤカタさんやネモトさんは別方向へ案内され、私とツギル兄ちゃんだけで指定された扉の奥へ進む。

 長い通路になってて、奥から光が漏れてくる。なんだか、最後の戦いって雰囲気がビンビンだ。


【あそこを抜ければ、そこはもうレオパルの領域か……。ミラリア、準備はいいな?】

「言われるまでもない。もう気持ちは切り替えてる」


 ラーメンも食べてお腹いっぱい。疲労もある程度抜けたし、コンディションはすこぶるいい。

 ここからのことを考えれば、気持ちで身を引き締めずにはいられない。いきなりレオパルさんが襲ってきても返り討ちにする覚悟だってある。

 アホ毛も過去最高にピンと背筋を伸ばし、内なる闘志を滾らせて――




「レディィス、エェェンド、ジェントルメェェン! いよいよこのロード岩流島中央闘技場で、過去最高のファイトが始まるぜェェエエ!!」

「ワァァァアアア!!」


「……何……これ?」

【こ、これって……観客が入ってるのか?】




 ――出てきたのは大勢の観客に囲まれたリングの上。トラキロさんの声に合わせて歓声も聞こえる。

 タタラエッジよりも凄まじい熱気が辺りを覆い、初手からまたしても出鼻をくじかれた気分。




 ――とりあえず、何これ?

まあ、気合の入れ方がミラリアとは全然違うんですけど。

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