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少女は魔剣と共に楽園を目指す  作者: コーヒー微糖派
古代技術を守護せし豹と虎の拠点
413/503

箱舟を求めし少女は、試練の最終段階へ

お互いに粘るも、軍配はミラリアとツギルへ。

「ダッ……ハァ……!? ダ、ダメージで出力の維持がァ……!? こ、ここまでかァ……!?」


 着地しながら残心を取る頃には、トラキロさんも力なく声を零すばかり。そのまま仰向けに倒れ込み完全にダウン。

 かなり緊張した戦いだったけど、これで私の勝ちだ。呼吸を整えて残心も解く。


「フゥ……よかった。スペリアス様の魔剣も無事」

【かなり攻撃を受けたのに、刃こぼれ一つしてないな。まるで使い手の気持ちに応えたようだ】

「使い手の意図を汲み取ってくれるのは名刀。ツギル兄ちゃんもだけど、スペリアス様にも感謝したい」


 床に突き刺してた魔剣も抜き取り、ツギル兄ちゃん同様に納刀。この刀があったからこその勝利でもある。

 まるで本当にスペリアス様が私を守ってくれたみたい。こういう時こそもう一人のスペリアス様とも話したいけど、そう都合よくも行かない模様。

 残念だけど、ありがとうの気持ちだけ胸に秘めておこう。あの人だって、私にとって重要な道を示してくれた人だ。




【ニャーハハハ! 聞いとる感じ、トラキロは負けてもうたか? フルパワー出してそれかいな?】

「ダハハハ……すいませんねェ……レオパル船長ォ。……だが、あんたも本気でやらねェと、足元斬り刻まれまさァ……」

【んなことは理解しとるわ。別にウチも今回ばっかしはお前を責めへん。最初はグダっとったが、ご苦労さんやったで】




 この場での決着が着いたことは、どこかで聞き耳を立ててるレオパルさんも承知の様子。軽口混じりながらも、トラキロさんのことを労ってるみたい。

 元々はレオパルさんが提案した箱舟への試練。そのために尽力してくれたトラキロさんへ、思うところもあるのだろう。

 今回はこれまでと事情が違う。変態も鳴りを潜めてる。


【さーて……まあ、ここまではある意味準備運動や。ウチかて試練として、ミラリアちゃんの前に立ち塞がらせてもらう。それに勝てたら箱舟へ導いたるわ。……それぐらいせな納得できひんからなぁ?】

「くどい。何度も言わせないで。私は箱舟のために今ここにいる。……首を洗って待っててほしい。最後として立ち塞がるなら容赦しない」

【ニャハハハ……! 凛々しさ満点。タイミングが違えば、興奮して駆け付けたいところやわ……! ほんなら、ウチも待っとるで。トラキロ、後の手筈は任せるからな】


 ここまでも長く険しかったけど、まだ最後の一人が残ってる。ロードレオ海賊団船長のレオパルさんこそ、この箱舟の試練最後の相手だ。

 これまでとは違う声色で語り終えるのがまた緊張。トラキロさんへも指示を出すと、そのまま聞こえなくなっちゃった。


 ――これまで口を開けば変態発言ばかりだったから、落差で余計に身が引き締まる。


「さァてとォ……負けちまったとはいえ、オレも与えられた役目を果たすかねェ……」

「あれだけのダメージで、そんなすぐに立ち上がれるんだ……」

「タフさが売りなもんでなァ。まァ、戦えねェにしてもやれることはあらァ。ここから先のため、ミラリアちゃんの連れも案内しねェとなァ」

「ゼロラージャさんのこと? 案内するにしても、かなり時間がかかりそう。私達、かなり奥にいるよね?」


 そんな一応真面目なレオパルさんとの対決も近いんだけど、ゼロラージャさんもその場へ案内してくれるらしい。

 ただ、頑張って起き上がったトラキロさんは何やら壁をいじり始めてる。

 そんなことをして、どうやって遠方にいるゼロラージャさんを案内するの? 転移魔法だって使えないよね?


「えっとォ……確かこの辺りだったなァ……」



 ガコンッ ゴゴゴゴ



「何ぞ? 壁が開いたか? ミラリアにツギルもいるではないか?」

「ふえ!? ゼ、ゼロラージャさん!?」

【ど、どうしてここに!?】


 あれこれ気になってると、突然壁がドアみたいに開かれる。トラキロさんがまた何かカラクリを作動させたみたい。

 そして驚くことに、そこに立ってたのはゼロラージャさん。入口で別れたはずなのに、普通に目の前に立ってる。


「どうしても何も、我はずっとここでウヌらを待っていただけぞ?」

「ま、待ってた……だけ? なら、どうしてこんな近くに――」

【いや待て、ミラリア。俺も思い返してみたんだが、ここに至るまでのルートって確か……?】

「ここまでのルート――あっ」


 どうしてか気になってたけど、ツギル兄ちゃんの言葉でハッとする。確認のため開いた壁の向こうを覗いてみれば、ドームに入る前の外の光景が広がってる。

 そして、私達はこのドーム内で弧を描くように進行してた。外の景色が見えなかったから気付かなかっただけで、まさか――




「喧嘩祭りに使ったルートは、この建物の外周部分だァ。要するに、ミラリアちゃんはグルッと回って戻って来たってことだなァ。壁一枚隔てれば最初の場所だァ」

「……なんだか、損した気分」

座標的にはほぼ元の位置という。

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