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少女は魔剣と共に楽園を目指す  作者: コーヒー微糖派
古代技術を守護せし豹と虎の拠点
410/503

◆海番虎トラキロ

VS 海番虎かいばんこトラキロ


今度こそ真面目にフルパワー!

箱舟の番人一番手、ロードレオ海賊団副船長! 三度目の対峙!

 ギュイィィイ!



「試すと言っても、オレも容赦はできねェ! 呆気なくスクラップになってくれるなよォ! ミラリアちゃん!」


 右腕をギュイギュイと回転させ、ついにトラキロさんも本格的に動き始める。

 動きの速さで見れば私の方が上。でも、攻撃面に関してはトラキロさんに軍配が上がる。

 総じてみれば拮抗といったところか。むしろ、ブラスタークロウという新武装による一発逆転だって起こりうる。


【ミラリア。何なら今からでも魔王との戦いのように、合体して挑むか?】

「それも考えたけど、流石にやめた方がいい。あれは消耗が激しすぎる。もっと出方を伺ってからやるべき」

【ああ、そうだな。この後にはレオパルだって控えてる。ここで全部出し切るのは流石に愚策か】


 今のトラキロさん相手に手札を出し惜しむのはマズい気もするけど、慣れてない上にリスクの大きい戦法は考え物。ここは基本を守り、私と魔剣本来の力と技でまずは挑む。

 こうした選択の難しさも自我を持った人間故か。今はこの選択が正解となってくれることを祈るしかない。


「ブラスタークロウ……発射ァァア!!」



 ビュゴォォォオン!!



「ッ! 見えた! このタイミング!」


 合体せずとも攻め入る隙はある。ブラスタークロウから放たれる雷大砲は強烈だけど、流石に負担が大きくてトラキロさんでもわずかによろけてる。

 戦いはある意味で世の摂理の凝縮。大きな力には相応のリスクが伴い、それこそが攻め入る起点となる。

 後のことを考えれば、下手に時間をかけるのも得策ではない。トラキロさんには悪いけど、その忠誠心もここまでで――


「甘いなァ! 焦ったなァ! オレの武器が他にもあるのを忘れたかァ!? オメメガビーム!!」



 ビビュゥウン!



「し、しまった!? 目からも攻撃できるんだった!?」


 ――終わりにしようとしたら、どうにも本当に焦ってしまったみたい。

 ブラスタークロウの反動で軽く怯みながらも、グラサンを外してのオメメガビーム。駆け寄ってきた私の足元目がけて放ち、今度は逆にこっちの体勢を崩してくる。

 なんとか回避はするものの、こういった油断は大きな命とり。それを見逃すトラキロさんでもない。



 ガシィッ!!



「あぐぅ!? そ、その右腕……雷大砲だけじゃないの……!?」

「この巨大な爪が飾りにでも見えたかァ!? 回してブラスターだけじゃねェ! 本来の手と同じようにだって使えんだよォォオ!!」


 今度は右腕の回転を止め、二本の爪で私の体を掴み取ってくる。かなり大きいから、私の腕と胴体ごと挟まれて動けない。

 これじゃ本当にスペリアス様がリンゴの収穫をしてた道具だ。私自身がリンゴになったみたいに軽々と掲げられてしまう。

 抜け出そうと両足をジタバタさせても無駄。魔剣ごと腕も拘束されてるから、蹴波理閃による反撃さえ叶わない。


「シャァァラァァア!!」



 ブオンッ!! ――ガンッ!!



「ひぐぅ!? あ、相変わらずのパワーも健在……!? い、痛い……!」

【ミ、ミラリア!? くっそ! やはり、合体で挑むのが一番か……!?】


 そこから投げ飛ばされ、金属の壁へと叩きつけられ大ダメージ。全身にまで衝撃が走り、倒れ込んだ床でわずかに身悶えすることしかできない。

 油断が命取りになることは理解してたはず。なのにこれでは格好がつかない。箱舟まであと一歩のところまで来たのに、このままでは負けてしまう。


「チィ! こいつの本格稼働も初めてだからか、軽くオーバーホール起こしてやがらァ。だが、その様子を見るに勝負あったかァ? 次の一撃で決めてやるぜェ!」

【が、合体するぞ! ミラリア! 今ならまだ逆転できる! トラキロだってこの奥の手には気付いてない!】


 トラキロさん自身も攻撃の反動でもたついてるから、まだわずかに糸口は残ってる。

 ツギル兄ちゃんの言う通り合体すれば、ここから逆転だって可能だ。下手に後のことを考えてる余裕もない。




「……ちょっとだけ待ってほしい。私、もう一つ糸口が見えたかも」

【え……? な、何をする気だ?】




 ただ、この場を合体せずに突破できるならそれがベスト。出し惜しみは考え物だけど、それ以外の可能性が残ってるなら賭けてみたい。

 確かに今の一撃は堪えたけど、同時に一つの可能性も見出せた。


 トラキロさんだって無敵じゃない。ブラスタークロウにオメメガビームという攻撃力はあるし、防御力だってアテハルコンボディーで凄まじい。

 それでも、次の一撃を凌げればチャンスはある。こっちにだってまだ見せれてない力が一つ残ってる。


 ――まだ体が痛むし、やることだって初めて。でも、この力は信じられる。


「健闘虚しく散りなァ! ブラスタークロウ……発射ァァア!!」


 再び右腕を高速回転させ、倒れた私の方へ向けてくるトラキロさん。雷大砲も発射され、このままだと直撃の黒焦げだ。

 回避するには動くのが遅く、合体なしではツギル兄ちゃんの魔剣で斬り裂くのも厳しい。

 威力が大きすぎて、何度も刀身を翻さないとかき消せない。それこそ、抜刀状態維持のリスクがある。

 だったら、思いついた作戦をやるしかない。あの人が託してくれた『もう一刀』を今は信じる。




「お願い……もう一本の魔剣! スペリアス様の意志と共に……雷の砲弾を斬り裂いて!」

今こそ、もう一本の魔剣も振るう時。

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