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少女は魔剣と共に楽園を目指す  作者: コーヒー微糖派
古代技術を守護せし豹と虎の拠点
405/503

◇ロード岩流島喧嘩祭りⅢ

奴の名はトラキロ。気合を入れると空回りする不幸な男さ。

「なんでそんな得体のしれない場所から出てきたんでゴンスか!? 危ないに決まってるでゴンスよね!?」

「う、うるせェ! こっちは味方のフレンドリファイアで散々遅れ――」



 バッコォォオンッ!!



「ブランコォオ!?」


 壁から出て来て追いついたまでは良かったのに、場所が悪くて鉄球振り子に吹き飛ばされるトラキロさん。おまけにそこから連鎖して、別の鉄球へ吹き飛ばされてしまう。

 こっちでバコバコ、あっちでバコバコ。気が付けば私じゃなくて、トラキロさんが盛大にこの部屋に引っかかってる。

 目で追ってるけど、ちょっと疲れてきた。運悪く、トラキロさんは中々振り子の連鎖から抜け出せない。結構な時間振り子連鎖してる。


「ダ……ハァ……! よ、ようやく抜け出せたが、結局落とし穴の先かよォ……」

「ト、トラキロ副船長!? 大丈夫でゴンスか!? ……お、おのれ、アホ毛剣客小娘! よくもトラキロ副船長をこんな目に遭わせてくれたでゴンスね!?」

「私、何もしてない。むしろ、やったのはあなた。振り子を動かしてたのはロードレオ」


 ようやく抜け出せたものの、行きついた先は硬い落とし穴の中。うつ伏せになって動きもドリルも止まり、愚痴りながらダウンしてる。

 濡れ衣を着せられそうだけど、少なくとも私が悪くないのだけは確定。断言できる。


【……なあ、ミラリア。もう先に進まないか?】

「……うん、そうする。振り子も止まったし」

「あっ!? し、しまったでゴンス!? せっかくの鉄球ハンマー振り子の間が……!?」


 なお、トラキロさんが巻き込まれることで振り子は完全に失速。今はもうロープから鉄球が垂れ下がってるし、足場が細いだけならヒョヒョイと渡れる。

 なんだか複雑な気分だけど、ツギル兄ちゃんの言うことがもっとも。これ以上は構ってられないし、先を進むのが一番の目的だ。


「ク、クソがァ……! これで終わったと思うなよォ……!」

「……凄い執念」


 なお、トラキロさんはまた出て来そうな予感。私だったらあそこまでダメージを受ければ、場合によっては死んじゃってる。

 それなのにまだ諦めないなんて、頑丈さと同時に根性も凄い。ちょっと尊敬。





「フゥ……だいぶ進んで来た。ロードレオの人数も減ってきてるし、向こうもバテてるのかな?」

【とはいえ、こっちにも言えた話か。結構な距離で連戦続きだし、下手な消耗は避けるべきだな】


 トラキロさんの残念空回りも後にして、再び通路を進む私とツギル兄ちゃん。

 また同じ方向に弧を描いてるみたいで、今の方角がどっちなのか分からなくなりそう。とはいえ、道は一本だから迷わないか。

 少し疲れも出てきたけど、ロードレオの攻撃頻度からかなり進めている気はする。進めていると分かれば大丈夫。どこまでだって進んでみせる。


「こ、これは予想外でアリンスね……。まさか、ほぼ無傷でここまで辿り着くでヤンスとは……」

「次の幹部が出てきた。……って、あなた一人?」


 攻勢が弱まってきたとはいえ、まだなくなったわけではない。事実、今度は眼前にヤンスな幹部が立ち塞がってくる。

 ただ、いるのはこの人だけ。さっきまでみたいに、下っ端を連れてるわけでもない。


「前半に戦力を集中させ過ぎて、こっちに回す戦力がいないんでアリンスよ……。ここまででだいぶ弱ると期待してたのに、まだまだ元気そうでアリンス……」

【……それって、戦力の配備を間違えてないか?】

「最初の気合は良かったのに、気合を入れ過ぎて空回りしてる感。……真面目なんだろうけど、もっと真面目にしてほしいって思う」


 理由はここに来てロードレオの攻勢が弱まってたのにも通じるものだ。気合を入れて最初の方ばっかり人を集めた反動か。

 おまけに所々噛み合ってなかったりで、気が付けばとても残念。最初はあんなに意気込んでたのに、今となってはどこか拍子抜けだ。


 ――こういうのって、もっとみんなで話してから決めるべきだろう。話す時間もなかったんだろうけど。


「とはいえ、こっちも臨時の戦力を用意しておいたでアリンス! 元々は冒険者でそこそこやってた連中だから、多少は削ることだってできるでアリンス!」

「ッ!? 奥から誰かが!? やっぱり、油断ならない……!」


 ただ、流石に『戦力がないから無理』で終わりとはならない。何やら、ロードレオの中でも別口で戦力を用意したみたい。

 内心、空回りが過ぎてちょっと歯応えがないとも思ってた。油断ならないとはいえ、気合を入れ直すことだってできる。

 面倒とは思わない。むしろ、向かってくるならドンと来い――




「久しぶりね、アホ毛の旅剣士ちゃん! ロードレオの一員として、私達が相手しちゃうよ!」

「今回は元リーダーも一緒だしー!」

「助けてもらった恩はあるが、それとこれとは話が別だ! レオパル様のため、元Aランクパーティーの力を見せてやるぜ!」


「……ちょっと待って。情報量が多い」

【あの三人って……ポートファイブのAランクパーティー……だよな?】




 ――って思ってたんだけど、色々と待ってほしいメンバーが出てきた。

 とりあえず、顔については知ってる。一番最初はポートファイブのギルドで難癖付けてきたAランクパーティーだ。

 そのうちの女性二人は現在レオパルさんのニャンニャンパラダイスに入ってるんだっけ。ここまでは私も知ってる。

 ただ、何故か今回は男性のリーダーさんまで加わってる。トトネちゃん救出の時にも会ったけど、なんやかんやでロードレオの一員になったのかな?


「……元気そうで何より。特にリーダーさん」

「今となっては元リーダーだがな。俺らは揃ってレオパル様の腹心さ」

「……その辺りの事情を先に突きたい。今のままだと集中できない」


 まあ、とりあえずなんやかんやあったってことでいいや。もう一つ気になるのは、この三人の服装だ。

 何やら短いスカートにリボン多めのヒラヒラ衣装で、見た目には可愛らしい。私も一度着てみたい。

 きっと、レオパルさんの趣味なのだろう。とてもよく似合ってる。


 似合ってはいるんだけど――




「さあ、行くぜ! 俺らもレオパル様の意志に従い、覚悟を決めて挑ませてもらうぞ!」

「……どうしてリーダーさんまで同じヒラヒラ衣装なの!?」

【しかも髪の毛まで伸ばして、パッと見は女性になってないか……?】

あー、もう。ロードレオが絡むとやっぱメチャクチャだよ。

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