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少女は魔剣と共に楽園を目指す  作者: コーヒー微糖派
古代技術を守護せし豹と虎の拠点
403/503

◇ロード岩流島喧嘩祭り

箱舟へ辿り着くために用意したロードレオ海賊団の試練!

ロード岩流島喧嘩祭り、開幕!

今回のロードレオは本気の大真面目だ!

「第一陣! 突撃しろォ! 喧嘩祭りの狼煙上げだァ!」

「アイアイサー!」

「合点承知の助!」


 トラキロさんの号令により、一斉にこちらへ襲い掛かるロードレオ海賊団。喧嘩祭りという名の試練が、今ここに幕を開けた。

 ドーム内で準備に入った人数はかなりのものだったのに、残ってる人数だけでも最低10人。しかも気迫はこれまでと段違い。


「ツギル兄ちゃん、こっちも始める! まずはここを突破する!」

【これも第一陣に過ぎない! トラキロもいるんだ! 下手に加減なんて考えるな!】


 そんな軍勢に対しても、怯まずこっちから縮地で突撃。向かうべき道が先へ伸びてるなら、こっちから挑むのみ。

 魔剣の構えも踏み込みも良好。新たな理刀流の技術は身につかなかったけど、気持ちはこれまで以上に前へ出せる。


雷閃付与(エレキアサイン)! 斬り捨て御免!」



 キンッ――ズバシュンッ!!



「あぎひぃ!? し、痺れる斬撃……!?」

「分かっちゃいたけど、このアホ毛……強い……!?」


 迫りくるロードレオに対し、縮地を挟んで居合の連撃。相手の動きもしっかり視えてるし、次の動きにも繋げられる。

 ゼロラージャさんと戦った時みたいに、ツギル兄ちゃんと合体せずとも問題ない。気迫が上乗せされても、この程度ならまだ序の口だ。


「プラズマフィールド……オープン!」



 バチバチィィインッ!



「やっぱり、あなたも黙って見てるだけじゃない! 予測はできてた!」


 無論、それはロードレオにも同じこと。下っ端が倒されてく中でも、奥に控えるトラキロさんはまだ健在。

 こっちの様子を伺い、右手を地面に押し当ててのプラズマフィールド。私の足止めを狙ってくるけど、一度経験した技をそう何度も食らいはしない。

 飛び上がりつつ揚力魔法で足場を展開。そのまま下っ端を飛び越え、トラキロさんへと斬りかかる。



 ガキィィインッ!



「ウングゥウ……!? や、やるじゃねェかァ……!? ミラリアちゃんのレベルでさえ、もうオレには推し測れねェ……! ガードした腕も痺れそうだァ……!」

「それでも耐えるのは流石の一言……! 守りだけならあなたは過去最強の難敵……!」

「オレを称賛してくれるのはありがてェが、これで終わりにはできねェよォ……! シャラァァアア!!」

「あぐぅ!? パ、パワーもやっぱり凄い……!」


 どうにか届きはしたものの、両腕のガードから投げ飛ばされてしまう。ドームからはそこまで離れずに済んだけど、トラキロさんの存在が一番ネックであることは如実となった。

 ここで倒すことができれば後が楽なんだけど、そうもいかないみたい。私を吹き飛ばして距離を置いたのもトラキロさんの作戦だ。


「テメェらァ! 引き続き相手してろォ! オレは次の戦線へ一度下がるから、時間を稼ぐんだァ!」

「了解ッス! トラキロ副船長!」

「喧嘩祭りはまだまだ始まったばかりだァ! 気合入れろよォ!」


 ここでは私を倒しきれないと踏んだのか、トラキロさんはドーム内へと一時退避。残った下っ端も命令に従い、トラキロさんの退路を守るように道を塞いでくる。

 統率の取れた動きを見ても、これまでとの違いは明白。これこそが箱舟を守護するロードレオ海賊団の本気か。


「この様子ならば、屋内までは問題なさそうぞ。もっとも、我には最初から手出しができぬがな」

「ゼロラージャさんはここで待ってて。全部終わったら戻ってくる」

「その時、ミラリアの勝利で終わることを願うとしよう。ただ、向こうの気概は本物。油断するでないぞ」

「分かってる。……いってきます」


 屋外に残ったロードレオ海賊団はわずか。ゼロラージャさんとも一度この場でお別れして、中へ入れば私とツギル兄ちゃんだけ。

 一度は下がったトラキロさんも待ち構えてるし、箱舟に辿り着くための試練なだけはある。これまでよりはるかに厳しい。


 ――でも、必ず最奥へ辿り着いてみせる。レオパルさんまで突破すれば、楽園への道もできる。





「フゥ……中々の猛攻。とりあえず、中には入れた」

【これは今までと同じと侮れないな。トラキロやレオパルもまだ控えてるし、気を引き締めていくぞ】


 入口のロードレオは無事突破。島の中央にあるドームの中へと入り、息を整えつつ先へ進む。

 中の構造は金属の壁で覆われてて、雪山地下と似た雰囲気。ここも古代のカラクリとロードレオが深く繋がってる証拠と言えよう。

 流石は箱舟を隠し持ってるだけのことはある。


「おっ!? 来たでヤンスね!? 外の連中はやられたみたいでヤンスが、屋内こそロードレオ海賊団のカラクリパラダイス! ライフルといった手持ち火器に留まらず、大口径キャノンまで用意してるでヤンス!」

「ふえっ!? こんな屋内で大砲!? それ、危なくないの!?」

「それに耐えうる構造こそ、このアジトの本領でもあるでヤンス!」


 何より、より強力なカラクリの兵器だって出てくる。まずは屋内一番手とばかりに待ち受けるのは、ヤンスな幹部を筆頭とした一団。

 全員がライフルを構え、幹部に至っては大きな大砲まで向けてくる。あんなのに当たればひとたまりもない。

 思わずこの場所の心配もしちゃうけど、それについても計算の範疇らしい。そういえば、船で戦った時もトラキロさんがお構いなしに砲弾を投げつけてたっけ。


 ――恐るべし。肉を切らせて骨を断つのカラクリバージョン。


「者ども! 遠慮はなしでヤンスよ! 照準合わせるでヤンス!」

【い、いったん回避だ! 物陰に隠れろ!】

「う、うん!」


 個々の戦闘力は大したことなくても補えるのがカラクリの恐ろしさか。こんなに大量の攻撃が直撃すれば、ミラリアのアツアツソテーが出来上がっちゃう。

 そんな料理は絶対美味しくないし、事態としてはマズい。幸い、隠れる手段はある。

 あれだけのカラクリパワーに耐えられるってことは、物陰に潜んでれば大丈夫ってことでもある。この先もまだあるんだし、やり過ごして――




「ミラリアちゃんよォオ! 待たせたなァア! オレも装備を入れ替えて戻って来たぜェエ!」

「ふえっ!? ト、トラキロさん!?」

【クソ!? 挟み撃ちか!? しかもあいつの右手にあるのは……ガトリングガン!?】




 ――タイミングを見計ろうとしてたら、反対方向から飛び出してくるのはトラキロさん。おまけに右腕は前回のドリルと似た感じで、ガトリングガンらしきものへ取り換えられてる。

 右腕の武装って、ドリル以外にも変更できたんだ。しかもこの構図、完全に挟み撃ちだ。

 物陰からはみ出ればライフルに大砲。このまま隠れるだけでもガトリングガン。下手に動けない状況で、動かないと危険な敵まで襲ってきた。


「ツ、ツギル兄ちゃん!? どうしよう!?」

【どうするもこうするも……!?】

「ミラリアちゃんも流石に焦ってるなァ! 野郎どもォ! 総攻撃開始だァァアア!!」


 対処法を考える暇もなく、トラキロさんの合図で挟み撃ちの猛攻が始まってしまう。

 これはマズすぎる。どっちにも対処しないといけないのに、どっちか一方だけでも厳しくて――



 ズガガガァ! ドッガァァァアアンッ!!



「アギャルガァァアア!? お、おいゴルァ!? テメェらァ……オレに当たってるぞォォオ!?」

「えっ……あっ、すまないでヤンス。タイミングをミスったでヤンス」


 ――などと焦ってたら、ライフルや大砲は全部トラキロさんへ飛んでった。おかげでガトリングガンも届かなかった。

大……真面目……?

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