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少女は魔剣と共に楽園を目指す  作者: コーヒー微糖派
古代技術を守護せし豹と虎の拠点
401/503

箱舟の地に集いし海賊は、少女との話し合いへ

相手が相手だけど、話し合いって大事。

「メンツが増えてやがるなァ。見たことのねェ大男の方は、推定レベルさえ計測不能……かァ。これはオレも下手に荒立てず、まずは様子見が賢明だァ」

「この者が副船長――我にとってのユーメイトと同格に位置する者か。荒々しい見た目とは裏腹に、中々の思慮深さも併せ持つと見た。流石はミラリアも恐れる組織の重鎮ぞ」


 変な語尾幹部トリオも後ろに下げ、単身で前へ出てくるトラキロさん。いつもの如くカラクリのお目眼で実力を測ると、ゼロラージャさんの存在も含めて落ち着いた対応を選んでくれる。

 この人って見た目こそあれだけど、考察面に関しては意外と鋭い。もしかすると、レオパルさんよりトップに向いてるかも。

 ただ、私がロードレオ海賊団を恐れる理由はここじゃない。ゼロラージャさんへの説明は後回しだ。


「トラキロさんが出てきてくれたなら、まず一つ尋ねたいことがある。私達はここへあるものを探しに来た」

「ほォう? わざわざロードレオ海賊団の本拠地――ロード岩流島なんて海の最果てまで来て、探し物とはご苦労なこったァ。まァ、オレも今となっちゃァ簡単に跳ね除ける間柄でもねェ。話ぐれェは聞いてやるよォ」


 スーサイドでも言ってたけど、トラキロさんってレオパルさんの秘密をロードレオ海賊団で唯一知ってるぐらいには近い関係。ならば、知ってることも同じぐらいと予測できる。

 レオパルさんの方が知ってはいるだろうけど、あの人とは直接関わりたくもない。こっちとしても都合がいい。




「空飛ぶ船――箱舟。このロード岩流島にあるって聞いてる。トラキロさんは何か知らない?」

「ッ!? テメェ……どうしてアレの存在を知ってやがんだァ……!?」

「ト、トラキロ……さん?」




 聞いてらえるなら尋ねるが早し。単刀直入に箱舟の存在を口にしてみる。

 ただ、その際の反応はちょっと意外。知ってはいるけど、どこか痛いところを突かれた雰囲気。

 グラサン越しにも睨みつける眼光が伝わってくるし、こっちも思わず後ろに一歩引いてしまう。これまでとはまた違う覇気まで感じ取れる。


「アレの存在については、ロードレオ海賊団内部でも最高機密だァ……! 最近の世界情勢といい、何かヤベェ話の匂いさえするなァ……!」

「……あなた達にも何か考えがあるってことは見えてきた。でも、私にだって理由がある。知ってるならば、是非とも案内してほしい。……世界を救える箱舟の場所へ」

「世界を救うだァ!? 本当にテメェは何が目的でここへやって来たァ!? 何をするために箱舟を求めやがるんだァ!?」


 箱舟の存在に心当たりがあることだけは事実だ。ならば引けない。後ろへ引いた足も前へ出し、真相の続きを求めていく。

 ただ、トラキロさんの反応は異常にして異様。話の全ては見えてこないけど、箱舟を渡したくはないみたい。

 もしかして、それだけ強大な力って理解してるから? ロードレオ海賊団以外には渡せないとか?




【おーおー、トラキロ。そないに吠えんなや。いつもは下っ端に『焦んな、焦んな』言うとんのに、お前が一番焦っとるやないか】

「レ、レオパル船長ォ!? き、聞いてたんですかァ……」

「ふえ!? レオパルさんの声!? でも、どこから!?」

【……そこにぶら下がってる箱みたいなのからだ。本人は別の場所で、遠方からこっちの話を聞いてるみたいだ】




 膠着状態の最中、今度は船長であるレオパルさんの声が割り込んでくる。ただ、姿は見えない。

 どうにも、以前にパサラダのノムーラさんがテーマソングを流してたのと同じような箱から声を出してる。こっちの話は聞いてたみたいだし、魔剣のスペリアス様と同じ感じか。

 どこにいるのか分からないけど、こうなってくるとレオパルさんからも話が聞きたい。箱舟については、ロードレオ海賊団にとっても重要らしい。


「レオパルさんも聞いてたなら分かるよね? 私達、箱舟を求めてここへやって来た。トラキロさんの反応から、何か知ってるのは事実。……おそらく、あなたはもっと知ってる」

【ニャハハハ! 今回は開幕から凛々しいやないかい、ミラリアちゃん! こらまた、ウチも興奮して――】

「そういう冗談、今回は聞きたくない。私はこれまでよりも大真面目。ふざけた態度をとるなら、ここで大暴れしちゃうけど?」

【……そうか。そらまた、機嫌を損ねてすまんかったな。どうやら、ウチもミラリアちゃんの来訪に喜んどる場合やなさそうや】


 声のする箱に向かって、今度はレオパルさんへ直接質問。どこかはぐらかしてるけど、何か知ってる気配はビンビンだ。

 いつもなら変態な会話に嫌悪感で怯むけど、今回ばかりはそうも言ってられない。秤にかけるのはこの世界の未来だ。


 ――話し合いにも限度が見えてきてる。必要ならば実力行使も致し方ない。


【ミラリアちゃんの言う箱舟やが、アレはそない簡単に動かせるもんやない。下手をすれば、この世界をひっくり返して滅ぼすほどの力や。……ウチでさえ、使うことをためらっとる】

「……その言葉、箱舟については誰よりも知ってると見た。でも、私達は箱舟で世界を壊したいんじゃない。……世界を守りたい。壊したい世界があるならば、それは箱舟で辿り着ける楽園になる」

【ほーう? さっきも言うとったが、ガチで世界を守るために箱舟が必要なんかいな? おまけに『楽園を壊したい』やって? そらまた、えらくぶっ飛んだ話が出てきたもんや】


 レオパルさんが箱舟を知ってるのは確定。むしろ、その力は私より理解してる。

 あのレオパルさんでさえためらう箱舟の力。『世界を滅ぼす』という表現も、誇張ではないのだろう。


 ――でも、私の目的は世界を守ること。一度滅んで転生したこの世界を、エステナという脅威から守ることだ。


「さあ、教えてほしい。いきなり来て無茶苦茶言ってる無礼は承知。でも、そうしなきゃいけないだけの理由がある」


 ここでロードレオ海賊団と一戦交えることになっても構わない。目指したいもののため、困難へ突き進む覚悟はとっくにできてる。

 必要ならばレオパルさんだって倒す。ツギル兄ちゃんにもコンコンと合図を送り、魔剣を抜く準備は万全だ。




【これは……ついにその時が来たってことかいな……! まさか、ミラリアちゃんがそうやったとはな……! ニャーハハハ!】

今回のレオパルはこれまでと一味も二味も違う。

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