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少女は魔剣と共に楽園を目指す  作者: コーヒー微糖派
遥かなる記憶を託す島
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太古の意志は、新たな形で少女と共に

この作品のタイトルを考えていただければ、幻影スペリアスがついてくる手段もお分かりかと。

【ミラリア!? 戻ったのか!?】

「見たところ、体に異常はなさそうぞ。ただ、実に複雑そうな表情だな。何があったか語れるか?」

「う、うん……。少しずつ……」


 気が付けば建物の外へ出ており、ツギル兄ちゃんとゼロラージャさんが出迎えてくれた。

 心配そうにしてくれるけど、とりあえずは大丈夫。見聞きした光景で心が複雑なままとはいえ、伝えるべき内容だってある。

 浮島に留まり、少しずつでも時間をかけて説明していく。


【こ、この世界より前の世界が存在して、ゲンソウによって滅んだだって……!? しかも、今の世界とは違って魔法すらなかった……!?】

「我らでは知り得ぬはるか太古の時代、人間は自らが生み出したゲンソウで世界を作り替えてしまったとな……。楽園やエステナの出生も含めて、魔王の我とて驚愕するばかりぞ……」


 二人とも理解してくれるけど、同時に切り離せない驚嘆の声。私だって素直に信じられない。

 でも、エステナの脅威にも繋がってる。信じるべき要因は揃ってる。


「……過去の話は驚愕と共に吾輩も興味はある。とはいえ、今考察するには壮大過ぎて時間もかかろう。それより重要となるは、楽園へ辿り着くための手段であるな」

【えっと……ミラリアは中でスペリアス様の幻影と話をしたんだったか? その人は昔の人が託した願いみたいなもので、話を聞くに楽園へ繋がる手段も知ってると? 一緒に出てきたってことだが、どこにいるんだ?】


 未来のために必要なのは、この話を踏まえたうえで行動に起こすこと。歴史を正とするならば、手繰り寄せられる鍵だってある。

 二人も今は目的のために必要なことを優先し、楽園へ乗り込む手段の方を求めてくる。


 それでもって、私と一緒に出てきた偽物のスペリアス様なんだけど――




「多分……この刀に宿ってる。そうだよね?」

【うむ。ワシには実体と呼べる肉体がないのでな。すまぬが、おぬしの母の形見とリンクさせてもらった】

【えっ!? か、刀が喋った!?】

「……いや。ウヌも同様ではないか?」




 ――なんと、今はスペリアス様の刀に宿ってる。丁度ツギル兄ちゃんと同じ魔剣のようになったみたい。

 実体がないのは私も気にしてたし、どうするのか気になってた。でもまさか、スペリアス様の刀に宿ってたなんて。


 ――スペリアス様の刀に宿った幻影のスペリアス様。ややこしい。


【とはいえ、ワシの本体は今もこの浮島じゃ。この刀についても、あくまで連絡するための手段となる。あまり長々と語ることもできん。とはいえ、流石に不気味かのう?】

【いや……言うほど……】

「我らが生きる今の時代には、その魔剣のようにツクモと呼ばれる種族も存在する。物体を肉体代わりに生きる種族ぞ。そこまで驚くことでもあらぬ」

【おお、そういえばそのような種族もおったのじゃったな。この世界に合わせた種族の進化といったところかのう。問題ないのなら、ミラリアもこれで構わぬか?】

「うん、構わない。お話できるだけでも嬉しい」


 正確にはツクモと違い、デプトロイドの遠隔操作に近いってことか。本体が浮島にあるからか、お話できる時間には制限があるみたい。

 いずれにせよ、楽園とエステナにまつわる歴史を知ってる人がいるのは心強い。どうせなら、一つお願いしたいこともある。


「ねえねえ。あなたのことを……その……『スペリアス様』って呼んでもいい?」

【ほう? しかし、ワシはおぬしの母である本物のスペリアスではないぞ? おぬしに見せた姿にしても、実際の姿がない故の代用じゃ】

「それも理解した上で、私はあなたをスペリアス様って呼びたい。この刀だって、元々はスペリアス様のもの」

【……そうか。まあ、ワシもミラリアに願いを託した立場じゃ。おぬしの好きに呼ばれることも一興じゃな】

【なんだか……本当にスペリアス様が宿ったみたいだな。……俺とスペリアス様で、ミラリアを支える『二刀の魔剣』か。悪くないじゃないか】


 どうせだったら、この人にも意志を持った魔剣として傍にいてほしい。そのために必要な名前には、やはりスペリアス様の名前が相応しい。

 見た目だけの幻影であっても、刀の主と重ねてそう呼ばせてほしい。相変わらず二刀流は使えないけど、頼れる仲間がまた増えたのが嬉しい。


 ――ツギル兄ちゃんと一緒に携えてると、家族みんなが再び一緒になれた気分。


【さて、ワシの紹介も早々としよう。楽園へ辿り着く手段について、先に述べておきたいのでな】

「とはいえ、ウヌも悠久の時の流れで正確な場所は掴めぬのであろう?」

【場所は無理じゃが、モノが何かなら示せる。……それこそ『大空を舞う船』じゃ。おぬし達の中に聞き覚えのある者もおるのではないか?】

「大空を舞う船……って、もしかして……?」


 そして、ここからは大事な本題。安易に近寄れなくなった楽園へ向かうためには、空飛ぶ船が必要みたい。

 でも、その話って私も聞いたことがある。てか、この浮島ってその話を聞いた真上になかったっけ?

 これもまた運命的と言うべきか。見えない何かが引き寄せ合うように、私もその正体に気付くことができる。




「箱舟……! イルフ人のみんなも知ってた……!」

【うむ。箱舟の力があれば、楽園を守る結界さえも破れようぞ】

腰に携えたるは、二刀目の新たな魔剣。

そして、必要な手段はかつて耳にした箱舟。

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