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少女は魔剣と共に楽園を目指す  作者: コーヒー微糖派
少女と魔剣の旅は遥かなる地から再び
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◆転生魔竜ゼロラージャⅡ

魔王×ドラゴン×転生=最強!

数多の経験が可能とした究極の進化!

「我も高説を垂れるだけに非ず。これはウヌらを選定する機会ぞ。……困惑で手も足も止める暇など与えぬわぁぁあ!!」


 あまりに圧倒的な力の差を前にして、どうしてもたじろぎ動きを止めてしまう。でも、そんな場合じゃないのも事実。

 ゼロラージャさんも再び大きく口を開け、さっきの無還吐息(ゼロブレス)を吐き出そうとしてくる。威力が分かった以上、何よりも回避しないといけない。


 ――魔王にドラゴン。転生で手にした力は伊達じゃない。油断など許されない。


「ッ……!? ツギル兄ちゃん! 今は様子を伺う! ここで諦めることだけは絶対しない!」

【わ、分かった! とにかく回避を優先しろ! 一撃が大きすぎる!】


 いくら私が旅の中で成長してても、ゼロラージャさんはさらに上を行く。転生により経験や進化そのものを継承してきたのだから、さっきみたいに様々な攻め手への対策だって取ってくる。

 私が15年生きてきたのとは質が違う。神様から――エステナから生まれたことなんて関係ない。

 違うのは生物として『生まれてから歩んできた道のり』だ。


「どうした!? 逃げ惑ってばかりで我を超えられると思うたか!? ウヌらはスペリアスの娘に息子であろう!? ドォオラララァァアア!!」


 多分、ゼロラージャさんも同じ気持ち。だからこそ、さっきまでと違って私達を明確に『娘に息子という人間』として捉えてる。

 これもきっと、ゼロラージャさんなりの敬意。戦いの中でさえ相手を尊重するのは、魔王が進化の中で手にした道理。

 無還吐息(ゼロブレス)で遠方から猛攻を加えながらも、こっちの動きを追うことはやめない。タタラエッジの時とは明らかに違う全力を出すことが、私やツギル兄ちゃん――そして、スペリアス様の気持ちに応えることにもなる。


 ――だからこそ、私だって怖気てばかりじゃいられない。


雷閃付与(エレキアサイン)! 魔剣をとにかく鋭く!」

【俺も出せる限りの全力は出す! あいつの鱗はかなりの強度だが、今のミラリアなら斬れる! これまでの経験も力も……俺も信じて突っ切れぇぇええ!!】


 針の穴に糸を通すように繊細な回避の連続。その中でも目を凝らし、必死に接近できるチャンスを掴み取る。

 正直、ギリギリなんてレベルじゃない。近づいても油断できないとはいえ、あの鱗を斬り裂くには震斬(ブレスラッシュ)の遠当てでは厳しい。

 スアリさんに――スペリアス様にも教わった理刀流を今は信じる。これもきっと、ここまで辿り着くために必要な力だ。



 ヒュンッ――ズガンッ!!



「ッ!? ダメ! 手応えが薄い!?」

【ど、どんだけ硬い鱗なんだ!? いや、この感触は……まさか防御した!?】


 決死の思いで放った雷閃付与(エレキアサイン)による居合一閃。どうにか届いたけど、効いてる予感がまるでない。

 硬いのは確かに硬い。でも、刃を通す位置を間違ったとかじゃない。

 これはまるで、人が身を守るため腕に力を込めてガードするような感触だ。


「ドラララァ! 無還吐息(ゼロブレス)を掻い潜っての斬撃は見事と述べてやろう! されど、そういった動きは全て我には見えておる! 予測も身に刻まれた経験が導き出してくれる! 代々の魔王が培った力、その程度で破れるはずもなかろうがぁぁああ!!」



 ドガァァアアンッ!!



「カッ……ハッ……!? し、しまった……尻尾が……!?」


 どうにも、ゼロラージャさんの真の強さは『転生で受け継がれた経験』にあるみたい。経験が体に染みついてるから、どんなパターンにも即座に対応できる。

 頭より先に体が動き、身を守るために力を集中させることも無意識下で可能。そこからの反撃にしても、どう動けば一番効率的かを体が覚えてる。

 防御したと同時に尻尾を振り回しての反撃。こっちは反応もできず、あっけなく吹き飛ばされてしまう。

 スペリアス様にも『頭より先に体が動いてこその達人』って教わったけど、ゼロラージャさんはまさにその究極形。シンプルな強さを完全なまでに極めてる。


【ミ、ミラリア!? 大丈夫か!?】

「ま、まだ大丈夫……! でも、まだってだけで……届かない……!」


 私だって、これまでの経験で強くはなった。吹き飛ばされながらも受け身を取り、ダメージを最小限に抑えることはできた。

 ただ、あまりに大きすぎる差を埋める手立てがない。ルール無用で全力のゼロラージャさんが相手では、どんな技量も経験も消し炭にしかならない。


「上手く流したか。賢明な判断と讃えはしようぞ。……だが、この程度ではとても満足できぬ! スペリアスが託した想いはこの程度か!? ウヌの培ったものは――心はこの程度で終わるのか!?」

「終わるわけない! 私はあなたに証明してみせる、絶対に! スペリアス様の――私の気持ちはまだまだこんなもんじゃない!」

「ならばさらに示せ! この魔王が――転生魔竜が驚愕するほどになぁぁああ!! ドォォラララァァアア!!」


 それでも弱気になんてならないし、なりたくない。この戦いは私とスペリアス様の願いを遂げるための第一歩に過ぎない。

 楽園やエステナを止めるためには、ゼロラージャさんの力が必要となる。この人を納得させない限り、目指すべき未来なんてない。

 痛いし苦しい。強大な力が怖い。でも心に誓ったものがある限り、私は何度だって立ち上がる。

 問題なのは攻め手であって、今以上の攻撃を用意することが――




【……ミラリア。俺から一つ提案がある。あの魔王の――転生魔竜が歩んだ進化に対抗するには、現状これぐらいしか思いつかない】

「ツギル兄ちゃん……!? 何か思いついてくれたの……!?」

ゼロラージャという進化の頂点に対抗するには、これまでと同じでは到底不可能。

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