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少女は魔剣と共に楽園を目指す  作者: コーヒー微糖派
最果てに望みし楽園
353/503

楽園の秘密は、本当の物語へ

#####


ここでワタシを拒むとは思わなかった。

でも、ワタシにはアナタが何者か分かった。

逃げることは認可しない。アナタもワタシの一部なのだから。


#####

【こ、声だって? 確かに何か聞こえるが、俺には奇妙な雑音にしか聞こえないが……?】

「そ、そうなの? でも、私には声に聞こえる」


 ひとまずこの場を離れようとした矢先、背後から聞こえる奇妙な声。ただ、ツギル兄ちゃんとは感じ方が全然違う。

 ツギル兄ちゃんにはただの物音にしか聞こえてないの? 私は誰かの声に聞こえるのに?

 しかも、どこかこっちへ呼びかけてる感じ。なのに、振り返っても誰もいない。

 気にはなるけど、気味が悪い。やっぱり、早くここから――




#ゲンソウを最大――して、対象の捕縛を決行。エス――との高い同調――ため、逃さず解析――する#



 グオォォォオオンッ!!



「な、何!? 黒いモヤモヤが襲ってくるけど……まさか!?」

【あ、闇瘴か!? こんなところにまで!?】




 ――離れようとした途端、振り向いた先から襲い来る黒い影。これまで何度も見てきたし、闇瘴なのはアホ毛と本能でビンビンに理解できる。

 でも、その規模はこれまでと次元が違う。一瞬驚き、本当に闇瘴なのか疑ってしまうほど。


 ――それほどまでに圧倒的な量と密度の闇瘴が、声のした方角から一気に押し寄せてきた。


「せ、聖天理閃! ……ッ!? ダ、ダメ! 効果がない!?」

【闇瘴が強すぎんだ! と、とにかく逃げろ! あれに飲み込まれれば一巻の終わりだぞ!】


 瞬発的に闇瘴を払おうとするも、理刀流の剣技でさえも食い止められない規模の闇瘴。ツギル兄ちゃんの声を聞くや否や、走って逃げ出すことしかできない。

 確かにここは楽園に近くて、闇瘴は『神様の苦痛』とも呼ばれてる。女神エステナが近くにいるなら、闇瘴が溢れ出す理由としてはうなずける。

 ただ、気になるのは溢れる闇瘴の動き。完全にこちらを狙い、どれだけ逃げても追いかけるように浸食してくる。


 ――それこそ『意地でも逃がさない』って感じだ。


「ハァ、ハァ! わ、私の足よりも速いし――ッ!?」

【お、おいおい……!? ここまで来て冗談だろ……!?】


 縮地による移動と連続での切り替えし。どこに向かってるのかなんて考えず、ただひたすらに闇瘴から逃げるように足を運ぶ。

 ただ、この場所のことなんて何も知らないのがマズかったか。それこそ闇瘴が意志を持ったように狙ってやったともとれる。


 ――逃げた先は洞窟の行き止まり。逃げ道なんてどこにもない。


#対象に――テナとの同期性を確認。ルーンスクリプト『ᛖᛋᚢᛏᛖᚾᚨ』――により、自我――学習と進化――#

「ま、また声が……!? しかも、ルーンスクリプトまで唱えてる……!?」

【ほ、本当なのか!? お、俺にはやっぱり雑音にしか聞こえないぞ!?】


 闇瘴の奥から再び響いてくる謎の声。かすかだけど、ルーンスクリプトも聞こえた。

 ツギル兄ちゃんは聞き取れなかったらしいけど、その影響なのか闇瘴が私の周囲を完全に覆い隠してくる。

 背後は壁だし、前方はネズミさんが通れるほどの隙間さえ埋め尽くす闇瘴。まさしくもって万事休す。逃げ道なんてどこにもない。


#今こそ――を吸――し、神――えて、人の自――を――#

「な、何言ってるの……? 私を狙って、何をするつもりなの……?」

【俺にはまったく状況が読めないが、いい気配がしないことだけは確かか……!】


 闇瘴から聞こえる声を理解できずとも、この四面楚歌というべき状況だけはツギル兄ちゃんにも一目瞭然。壁を背にして、ジリジリ怯えて下がることしかできない。

 私も全部の声は聞こえないけど、こっちに狙いをすましてることだけは分かる。事実、闇瘴も獲物を狩るような気配を醸し出してる。

 どうにも、この闇瘴はこれまでに見た闇瘴とも異質。まるで意志が宿ってるみたい。

 闇瘴の奥から声がすることも含め、もしかして誰かが操ってるってこと? でも、誰が?


 ――神様の苦痛なんて、いったい誰が操れるの?


#捕――進化を――#

「ど、どうしよう……!? どうすればいいの!?」

【今にも襲ってきそうだぞ……!? 聖天理閃も効果がないし、囲まれたこの状況じゃ……!?】


 見えない正体の中で、分かることは一つだけ。これまでにない絶体絶命のピンチを前に、なす術なんて見当たらないってこと。

 いつも頼れるツギル兄ちゃんでもどうしようもない。逃げ道なんてどこにもない。

 後ろの壁は強固だし、斬り壊して突破するなんてことも――



 ドガァァアン!!



「ふえっ!? こ、今度は何!? また何か襲ってきたの!?」

【背後の壁からだ! 爆発したようだが、まさか後ろからも……!?】


 ――できないって諦めてたら、まさかの壁が轟音響かせ大爆発。幸いこっちに怪我はないけど、凄まじい力が向こう側から飛んできたのは分かる。

 状況からして、とてもいい予感はしない。私もツギル兄ちゃんと同じく、背後からさらなる敵襲が来たと想像してしまう。

 ここは普通の人では辿り着けない楽園の領域。闇瘴を操る正体もそれに与する者ならば、やっぱり敵の攻撃と考えるのが一番だけど――




「おい、ミラリアにツギル! 無事か!? すぐこっちへ飛び乗って来い!」

「ふえぇ!? えぇ!? ス、スアリさん!? それに……ドラゴンに乗ってる!?」

#####


あくまでワタシを拒むと? それも自我だと?

おまけに狼藉者まで現れて、こんな感情はワタシも初めて。


――ああ、そうか。これが「苛立ち」か。


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