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少女は魔剣と共に楽園を目指す  作者: コーヒー微糖派
母の想いと魔法の都
301/503

そのサークル、枕ロワイヤル

パジャマパーティー……枕……となれば、やることは当然分かりますよね?(`・ω・´)

「さあさあ、どうですの? ミラリア様の気持ちも気になりますの?」

「むう~……シャニロッテさん、ちょっとしつこい。顔も近い」


 まさに嫌な予感的中。シャニロッテさんが尋ねてきたのは、シード卿との関係について。お風呂での続きを求めるように、ほっぺをスリスリしながら詰め寄ってくる。

 久しぶりに再会して時間も経ったからなのか、距離感が大分近づいてる。私としても友達とは近い距離で接したい。

 だけど、話題は選んでほしい。コイバナナとやらはコメントに迷う。


「私も気になりますよね~。パジャマパーティーにコイバナは付き物ですし~」

「同じく気になります! かなり親しい間柄とお見受けします!」

「旅する少女と貴族の恋なんて、ロマン溢れるです!」

「み、みんなもそう強く尋ねないで……」


 他のミラリア教団も一緒になり、私へさっきの続きとばかりにグイグイ質問攻め。距離感が近づいてきたからこそ、遠慮のない場面も見えてくる。

 パジャマパーティーの定番だか定食だか知らないけど、シード卿との関係については本当に言葉に詰まる。深い悪意がないのは見て取れるんだけど、そうニマニマしてもの欲しそうに尋ねないでほしい。


 ――ちょっとこっちも反撃したくなっちゃう。アホ毛で密かにターゲットロック。


「それそれ、ミラリア様! この際ですので、事の真相を皆様に――」

「……シャニロッテさん。流石にしつこい。ちょっとこれで黙ってて」



 ポイッ! ――ボスン!



「あぎゅんっ!?」

「なんと!? 枕投げですの!? ですが、わたくしはミラリア教団内トップの枕投げクイーン! そう簡単には当たりませんの!」


 そう思い、ベッドにあった枕を一投。シャニロッテさんの顔面目掛けて放ったけど、あっさり回避。代わりに延長線上にいた他のミラリア教団員に当たってしまう。

 私だって我が家で二位の枕投げプレイヤーだったのに、シャニロッテさんは想像以上に枕投げが強い。一位はツギル兄ちゃんで三位以下はいないけど。


「シャ、シャニロッテさん! いきなり回避はやめてほしいです!」

「フフン。枕投げもまた、パジャマパーティーの定番ですの。避けられない方が悪いです――のっ!?」

「だったら、自慢げによそ見も厳禁ですね!」

「こっちも準備できてます!」

「や……やってくれますのぉぉお!!」


 私の一投が引き金になったのか、素早く枕を構えていたミラリア教団の全メンバー。その目つきにしても、ウキウキしながら獲物を狙う枕投げプレイヤーそのもの。

 どうやら、私も気を抜いてはいられないようだ。


「ミラリア様にも……それ!」



 ポイッ! ――ヒュンッ!



「甘い。来ると分かっていれば回避できる」

「な、なんてスピード!? 魔剣がなくても、流石はミラリア様……!?」


 シャニロッテさんが標的にされてたのなんて一時的なもの。すぐさま私にも枕が飛んでくるけど、ここはすんなり縮地で回避。

 体技だけなら魔剣も不要。今宵、ツギル兄ちゃんの出番はない。

 エスカぺ村を代表して、本当の枕投げというものを――



 ポイッ! ――ボスン!



「むぎゅん!?」

「ミラリア様も甘いですの! 枕投げとは一瞬の油断が命取りですの!」


 ――教えようとしたんだけど、逆に教えられてしまった。戦線復帰したシャニロッテさんが私に対し、意趣返しとでも言わんばかりの枕を顔面へ放ってきた。

 シャニロッテさんの言う通りだ。枕投げにおいてはどこの世界でも油断禁物なのは常識か。


「……やってくれる。理解した。ここからは私も本気。みんな、覚悟して」

「望むところですの! わたくしも本気で行きますの!」

「こっちだって、今日こそシャニロッテさんを超えてみせます!」

「枕投げなら、ミラリア様に勝てるかもしれない!」

「私だって負けないです! このパジャマパーティーのチャンピオンになるです!」


 気が付けば、一緒に談笑する最初のパジャマパーティーもどこへやら。部屋にいる全員が枕を構え、完全に枕投げモードへ移行している。

 これはもう油断も何もない。私とシード卿のコイバナナもどこ吹く風となり、部屋に立ち込める枕な気配。


 ――ここからはまた別の勝負。全員が向き合って枕を構えると、自然なタイミングでついに戦いの火蓋が切られた。



 ポイ、ポイ、ポイ! ボス、ボス、ヒョイ!


 ポイ、ポイ、ポイ! ヒョイ、ヒョイ、ボス!



「回避は得意! 私だって、人間だった頃のツギル兄ちゃんと鍛えて――はむぎゅっ!?」

「ここはわたくしのホームですの! どうやらミラリア様は、この人数での枕投げに慣れ――ひしゅんっ!?」

「シャニロッテさんこそ、ミラリア様が加わったことで意識に乱れ――ふもんっ!?」

「ならば、私の必殺『乱れ枕』でさらに場を乱せ――へきゅいっ!?」

「『乱れ枕』は私だって使えるです! 今回は私がチャンピオンで――ほんわっ!?」


 完全なアウェイで初めての対戦相手。私にとって、この枕投げは不利と言えよう。多人数を相手にするのは初めてだし、ミラリア教団にはそれに対応した技を持った人までいる。

 部屋には大量の枕が飛び交い、整えられたベッドもグチャグチャ。そうなってしまうほどの激戦ということだ。

 そもそも、どうしてこんなに枕が多いんだろ? いつもやってるのかな?


「ミラリア教団のみんな! 私、この中で神様じゃなかったの!?」

「都合のいい時だけ神様宣言はフェアじゃないですの!」

「言ってくれる! その心意気……買った!」


 まあ、枕の数とか枕投げが始まったこととかどうでもいい。今一つだけ確実に言えるのは『この瞬間が楽しい』ということだけだ。

 友達と一緒になってワイワイする。上下関係などなく盛り上がる。それができる友達がいる。

 ただただそのことが嬉しくて楽しい。時間も忘れて熱中できる。


 ――旅はまだまだ続くけど、いつか私もたくさんの友達と一緒に生活できたらいいな。




「こら! またあなた達ですか!? もう就寝時間なんですから、騒がずおとなしく寝なさい!」

「せ、先生ですの!? 怒られましたの!? み、皆様! 枕投げを中断して、布団へ潜るですの!」




 ただ、あんまり騒ぎすぎるのもよろしくない。近くを通りかかったらしき先生がドアを開け、私達へと怒号一発。

 ミラリア教団とも一緒になり、慌てて布団の中へとダイビング。さっきまで枕投げ合戦してたのに、こういう時は息が合う。


 ――思えば、スペリアス様にもよくこうして怒られてたっけ。ちょっと反省しよう。

怒られても楽しいひと時。これまで味わうことのなかった新たな経験。

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