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少女は魔剣と共に楽園を目指す  作者: コーヒー微糖派
永き歴史を紡ぐ種族の里
260/503

◇ロードレオ海戦・後編

今度という今度こそ、ロードレオ海賊団の本気が始まる!

「敵襲ぅぅうう! 敵襲でヤンスゥゥウウ!! 探照灯ぉぉおお!!」

「な、なんでゴンスと!? いつの間にでゴンス!?」

「あっ!? あそこに見えるのは、まさかアホ毛剣客小娘でアリンスか!? こんなところまで出てくるとは、つくづく因縁深いでアリンス!」


 いったんはお料理パクパクしてた船の外へ出るも、ヤンスな幹部さんがすぐさま大声で号令をかけてくる。

 付近一帯に停泊してた他の船にも反応が見られ、暗かった海が一気に明かりで照らされる。かなり眩しいし、私に狙いをすまして明かりが向けられてくる。

 これはマズい。船員も次々に出てくるし、一時退避しないと危険。


「ツギル兄ちゃん! 魔法お願い!」

【冷たいだろうが、ミラリアも我慢してくれよ!】


 トトネちゃんの居場所自体は料理長コンビに教えてもらった。ここから一番奥にある船らしいし、場所さえ分かれば多少は無茶してでも押し通る。

 ツギル兄ちゃんに水中でも息ができるように魔法をかけてもらい、再び海中へダイブ。いくら海に慣れたロードレオ海賊団とはいえ、海中までは簡単に攻撃はできない。

 このまま海の中を進めば――


「あの剣客小娘、海中に逃げたでゴンスか!? おい! 魚雷発射でゴンス! このまま海の藻屑にするでゴンスゥウ!」

「へ、へい! 魚雷発射管! 撃てぇぇええ!!」


 ――大丈夫と思ったけど、そうは問屋が卸さないみたい。

 海中にも届いてきた声を聞くに、何か海中でも攻撃できる手段があるっぽい。

 海のモズクになるのは嫌。素早く泳いで先を目指しつつも、周囲への警戒は必要か。



 バシュゥゥウン! バシュゥゥウン!



「ふえっ!? 何あれ!? 金属の魚みたいなのが海中に!?」

【ロードレオめ! あんな兵器まで持ってたのか!? よ、避けろ! ミラリア!】


 結果、警戒しておいて正解。海中を泳ぐ私に迫りくるのは、明らかに殺意を持った兵器。水の中でかなりのスピードを出して突っ込んでくる。

 形は魚に近いけど金属でできてるし、おそらくは爆弾の類っぽい。水中で使える爆弾とは考えたものだ。

 私が泳ぐより速いし、あんなものを食らったらヤバい。水中だろうと火傷するし、むしろ吹き飛んで魔法効果も切れちゃう。


「か、数も多い! どれだけ撃ってくる!?」

【い、一度上に出るんだ! 海中でやられたらシャレにならない!】

「見つかっちゃうけど、このまま海中よりはマシ! ツギル兄ちゃんに賛成!」


 やはり、海というステージはロードレオ海賊団に分があるみたい。イルフ人式泳法を覚えたと言っても、戦うとなると話が変わってくる。

 四方八方から突っ込んでくる水中爆弾を回避するため、勢いをつけて海面へと浮上。トトネちゃんに教わったようにそのまま水面を飛び跳ねるお魚さんの如く飛び上がる。


「プルプル! 船に上がると寒さが際立つ。ちょっと火炎魔法で体を温める」

【それはいいが、あんまり悠長にもしてられないぞ。どの船にしたって、ロードレオの領域だからな……!】


 そうして船の上に着地したら、体を震わせて水を払いつつ、魔剣を少しだけ抜刀して火炎魔法発動。

 まだまだ油断できる状況じゃないけど、こうも体が冷えると動きに響く。軽く体を温めておくことだって重要。

 とはいえ、戦いはまだまだ続く。魔剣は抜いても気は抜けない。


「か、甲板に上がってきたでゴンスか!? ライフル隊! 構えるでゴンス!」

「アイアイサー!」

「な、なんだか炎を纏ってたぞ……!? このアホ毛……ただ者じゃない!」

「やっぱり迫ってきた。しかも、ライフルがたくさん……!」


 予想した通り、少し経てば続々と現れるロードレオ海賊団の幹部や下っ端のみんな。

 私のアホ毛にも警戒してくるとは、なんだかんだで目の付け所がクールな海賊団だ。おまけに全員が手にライフルを持っている。

 あれは危険。発射される弾は速いし、これだけの数が揃うと回避も難しい。でも火炎魔法で体は少し温まったし、回避以外の選択肢だってある。



 バキュゥンッ! バキュゥンッ!



「刃界理閃・煌!!」



 キィンッ! キィンッ!



「な、なんだ!? ライフルの弾を弾いて――うげぇ!?」

「お、おまけに斬撃が波のように押し寄せてきた!?」

「こ、このアホ毛……!? 前より一層手強くなってるでゴンス……!」


 まだ覚えたばかりの新技も使い、ロードレオのライフル軍団を迎撃。向かって来た弾を弾きつつ、無数の飛ぶ斬撃で一気に反撃。

 いくら高度な技術を持ってると言っても、Sランクパーティーみたいな魔法が使えるわけじゃない。数は多くても、武器への対策さえ取れれば活路は見いだせる。


 ――これなら行ける。まだ一番奥の船まで距離はあるけど、辿り着けないレベルじゃない。




「ん? あっちの船から何か飛んで――って!? ヤ、ヤバいでゴンス!? 総員、船内に退避でゴンスゥウ!」

「えっ!? ま、まさかあれって……!?」

「あの人の仕業だろ!? ちょっと!? こっちまで巻き込む攻撃は勘弁してくださいよぉお!?」




 確かな実感から自信を得ていると、ロードレオの面々が突然慌て始める。ライフルを構えるのもやめて、急いで船内へ戻り始める。

 自分達の船の上なのに、何をそんなに慌ててるんだろ? 視線の先からして、私の背後に何かあるみたいだけど――



 ヒュゥゥウン ヒュゥゥウン



「ふ、ふえっ!? 今度は何!? あれってまさか……大砲の弾!?」

【味方の船に撃ってきたのか!? メチャクチャ始めたな!? だが……砲撃の音はしなかったぞ!?】

フレンドリファイア上等!

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