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少女は魔剣と共に楽園を目指す  作者: コーヒー微糖派
永き歴史を紡ぐ種族の里
234/503

その少女、滝つぼ急転直下

ミラリア&ツギル。絶体絶命大ピンチ!(毎度の如く)

 爆弾の爆発で焦りそうになるけど、こういう時こそ冷静になるべき。森へ広がる火も消さないといけないけど、まずはここを乗り切るのが大事。

 そう思って爆風に乗せられて吹き飛んでるんだけど、流石にちょっと冷静になれない事態になったかも。

 私とツギル兄ちゃんが吹き飛んだ先に見えるのは――




「……ねえ!? 滝って、あんなにゴーゴーなってるの!? あれって、落ちても大丈夫!?」

【いや! とても大丈夫に思えない! 泳げる泳げない以前の問題だ!】




 ――川の先にあるとっても大きな滝。かなりの高さだし、下の方では物凄い水しぶきが上がってる。

 音も凄いし、まるで全てを飲み込むような水流。流石の私もあそこへ飛び込んで大丈夫とは思えない。

 エスカぺ村水泳大会覇者であろうとも、あんな激流は許容範囲外。滝って初めて見たけど、こんなに怖いものなんだ。


 ――もうじきそこへ飛び込みそうだけど。


「は、早く、転移魔法で……!?」

【こんな吹き飛ばされながらで使えるのか!?】

「無理!」

【だろうなぁぁあ!!】


 爆風をまともに浴びた上、空中をヒューンとしながらでは居合が使えない。つまり、脱出のために転移魔法も使えない。

 体の自由も利かないし、体勢を立て直すこともできない。滝が見えてようやく慌てるけど、時すでに遅しといった状況。


 ――これ、ツギル兄ちゃんを引き寄せない方がよかったかな? 巻き添えにしちゃった。


「お、落ちる! とりあえず、息止める! ツギル兄ちゃんも空気をたくさん吸って!」

【俺はそもそも呼吸してない!】

「そうだった!? 魔剣だから――ガボゴゴ!?」


 パニックの中でも最善の行動をとろうとするも、逆にパニック過ぎて空気を吸う時間を逃してしまう。

 私の馬鹿。結局、そのまま滝の下へと突っ込んじゃった。

 かなりの深さだし、流れも凄まじい。上からどんどん水が流れ込んでくるから、泳いで上を目指すこともできない。

 空気もほとんど吸えなかったから、このままだとあっけなく溺れておしまい。滝のモズクになってしまう。


 まさか、こんな形で私の旅が終わりを――




「えっ!? 人間!? 女の子!? どうしてこんな場所に!? と、とにかく、助けた方がいいですよね!?」




 ――告げるかと思ったけど、朦朧とする意識の中で誰かの声が聞こえてくる。

 水中で眼を開けるのも辛いけど、誰かが泳いで近づいてる気がする。てか、水中で声がするのっておかしくない?


 ああ、そうか。きっと私は死んじゃうから、そのせいで幻を見たり聞いたりしてるんだ。

 でもどうせだったら、幻の中でもスペリアス様に会いたかった。





「ス、スペリアス様……むうぅ? あれ? ここ、どこ?」


 ただ、あれは死ぬ間際の幻ではなかったみたい。とりあえず、私は死んでない。

 次に目が覚めたのは、藁で作った小屋の中。感覚的に多分死んではいない。心臓だってきちんとドクドクしてるし。


【う、うーん……ここは? 俺達、助かったのか?】

「ツギル兄ちゃんも今起きたの? とりあえず、ここはあの世とかじゃないよね?」

【もしあの世だったら、俺の姿を元に戻してほしいもんだな。……そういう冗談を言えるぐらいには、ここがあの世って気になれないか】


 魔剣も傍に置かれてるし、やっぱり誰かに助けてもらったみたい。ただ、それが誰なのかが分からない。

 ツギル兄ちゃんもあの後意識を失ったらしく、何があったのかは覚えていない模様。流石にあれだけゴーゴーした滝に突っ込めば、魔剣の体でもビックリしたのだろう。冷たかったし。

 いずれにせよ、助けてくれた人にはお礼を言いたい。


「よく見ると、濡れた服も着替えさせてくれ――あ、あれ? この白と赤のヒラヒラした衣装って……?」

【それって……エスカぺ村でも見た巫女装束じゃないか!?】

「うん。足袋も履かせてくれてるし……どうして?」

【一応のツッコミどころとして、ミラリアを着替えさせたのが女性であれば問題ないんだがな。……それはさておき、その衣装を用意できたということは、まさかここは……?】


 とりあえずは体を起こしてみると、私の服装が普段の旅装束じゃなくなってた。

 防寒にもなるマントにスカートとブーツの姿でなく、白い振袖と赤い袴で通気性のいい衣装。足袋も含めて、どう見ても巫女装束だ。

 確かに滝に突っ込んでズブズブだったし、着替えないと風邪をひいてたかもしれない。でも、どうして巫女装束なんだろ?

 ツギル兄ちゃんは何かに気付いたみたいだけど、ここは見た方が早い。小屋の外に出れば何か分かりそう。


「ご丁寧に草履も置いてある。履いていいのかな?」

【一足しかないし、ミラリア用に用意してくれたんだろう。それより、俺も早く周囲を確認したい】

「そんなに焦らないで。助けてくれた人が近くにいるだろうし、まずはその人を探し――ッ!? こ、ここってまさか……!?」

【チラホラ人影が見えるが、やはりそういうことか……!?】


 近くにあった草履を履いて小屋の暖簾をかき分け外へ出てみる。そこでまず目に入るのは、広大な森の木々。

 見た感じ、さっきの森からはまだ出てないみたい。木や草の種類も変わってない。どこかの集落っぽい場所で、少ないながらも誰かが住んでる。

 大きな木に橋を渡して作られたらしいけど、住んでる人達は問題なく移動してるのが見える。お猿さんみたいに木から木へ飛んで渡ってる人もいる。


 ――そして何より、その人達の姿が一番注目すべき箇所だ。




「み、みんな耳が長い……!? つまりここが……!」

【ああ……! 俺達が探してた、イルフ人の隠れ里だ……!】

怪我の功名の如く辿り着いたのは、イルフ人の隠れ里。

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