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少女は魔剣と共に楽園を目指す  作者: コーヒー微糖派
永き歴史を紡ぐ種族の里
233/503

その少女達、愛と正義のために

サブタイトルが大層なわりに、やってることはなんだかな~。

「ど、どこまでふざけた連中なんだ!? 俺らを馬鹿にしてるのか!?」

「とりあえず、ふざけてるのはそっち。人攫いなんて悪いこと、もうさせない」

「こ、こっちはSランクパーティーよ! いつまでも舐めた態度をとれると思わないで!」

「名声にかこつけて悪事を働くとは……シャロウ、ヘルシー! 俺もパサラダを代表して、ドレッシングの如きお仕置きをしてくれる! カモン、ヘルシー!」

「さっきから気になってるんだけど、その『なんとかヘルシー』って何!? もうこうなったら、こっちも手加減しないからね!」


 飛び入り参加のノムーラさんと組み、私は再び人攫いSランクパーティーと向かい合う。

 向こうはカンカンだけど、こっちだってカンカン。人攫いは許せないし、罠でハメたのだって怒ってる。

 ノムーラさんもテーマソングを止め、一緒に戦う構えを見せてくれてる。今度は罠だって警戒済みだ。


 ――意気揚々。味方もいれば、相手の出方を計算することもできる。




「し、仕方ない! 奥の手を使うぞ! どうせここにはこいつらしかいない!」

「リーダー!? マジかよ!?」

「だ、だからって、アレを使うのは危ないわよ!?」

「ヤバい!? に、逃げなきゃ!?」




 そう思って集中してると、急に相手の様子がおかしくなった。

 もしかして、逃げるつもり? だとしても逃さない。

 この森で勝手なことをしてパサラダのみんなやイルフ人を困らせてる以上、ここで必ず成敗――




 ドガァァァアアンッ!!



「ふえっ!? ば、爆発!?」

「バッド、ヘルシー!? 神聖な森の中で、これだけの爆弾を使うとは……イビル、ヘルシー!?」




 ――したいんだけど、Sランクパーティーは想定外の行動に移ってきた。

 リーダーさんがその場で魔法陣を描くと、突如周囲に巻き起こる爆発。その規模だって尋常じゃない。シャニロッテさんの魔法数発分はある。

 まさか、こんな罠まで用意してたってこと? これはいくらなんでも危険すぎる。


「森の中で乱暴に火を使っちゃダメ! 火事になる! 凄く危ない!」

「知ったことか! 君を捕らえるのは諦めるしかないが、本命は別にある! この騒ぎで炙り出せれば上々だし、僕らに森がどうこうなど関係ない!」


 爆発の規模のせいで、周囲の木々へ炎が燃え広がる。このままだと、森全体まで広がっちゃう。

 こんなの、酷いなんてレベルの話じゃない。森にいるらしいイルフ人にしても、迷惑なんかで収まらない。

 なのに、リーダーさんは『炙り出せる』などと素っ頓狂なことを言う始末。世間ではSランクパーティーなどともてはやされてるらしいけど、私にはそんなこと関係ない。


 ――害意を振りまく悪。それ以上でも以下でもない。


「ノムーラさん! なんとか火を消す方法はない!?」

「そ、そうは言っても、これほどの火が相手では……オーマイ、ヘルシー!?」

「ヘルシーな場合じゃない! とにかく、森に火が広がる前に……!」

「まあ、後はそっちで勝手にやるといいさ!」


 こうなってしまうと、優先すべきはSランクパーティーへの成敗じゃない。爆発で燃え広がる炎をなんとかしないと、もっと大変なことになってしまう。

 とはいえ、Sランクパーティーが引き起こした爆発も炎も絶大。当人達はこの隙に逃げ出すし、ノムーラさんもあまりの事態にパニック状態。

 だけど、まずは炎を消さないことには――




 ドガァァアンッッ!!



「ま、まだ爆弾が残って――ふにゅっ!?」

【く、くそ!? ミラリア!?】

「ハッ!? アホ毛の少女ぉぉお!?」




 ――いけないんだけど、私もかなり混乱してたみたい。仕掛けられた爆弾がまだ残っており、それにまで火が点いて爆発してしまう。

 おまけに設置されていたのは私の近く。まともに爆風を浴びてしまい、ノムーラさんのもとから吹き飛ばされてしまう。

 あまりに強烈な爆風だから、思わず魔剣からも手を離してしまった。やはり、どういう時でも冷静さは大事。


「……とにかく、今はできることをやる。まずは魔剣が必要。ツギル兄ちゃん! こっち来て!」



 ヒュンッ!



【おお! シード卿にもらったブレスレットか!】

「うん。これがあれば、魔剣を手元に引き戻せる」


 吹き飛ばされながらも、ここは一度初心へ戻る。旅の中で役立つアイテムだって手に入れたし、それらを使えばどんな窮地もなんのその。

 シード卿にもらったブレスレットは今も身に着けてるから、少し離れた距離なら魔剣を手元に戻すことも可能。まだ絶賛吹き飛び中だけど、まずは魔剣がないと始まらない。




【……あっ、ミラリア。俺を引き寄せてくれたところで申し訳ないが、かなりマズいことになってるぞ】

「マズいこと? 何?」

【吹き飛んでる先】




 ただ、手元に戻ったツギル兄ちゃんの発言はどこか渋い。毎度のことながら、顔がなくても表情が読み取れそうな語り口。

 今回はなんだか『一周回って真顔で冷静になってる』って感じ。私達が吹き飛んでる先に何かあるみたい。

 角度的に川の方角へ吹き飛んだのは空中でも理解できるけど、それなら一度水中に飛び込んだ方が安全で――




「……川が途中で途切れて、水がドバーって流れ落ちてる。あれってもしかして……?」

【確か……『滝』だな】

落ち着いとる場合か。

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