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少女は魔剣と共に楽園を目指す  作者: コーヒー微糖派
鍛冶鉱山で衝突する魔王
216/503

その決闘、勝者が決まる

剣客ミラリア VS 魔王ゼロラージャ


その決闘もついに終止符。

「か、勝った……? 私が……?」

「左様。ウヌは砂時計が終わるその時、確かに闘技場に立っておった。それがルールであるが故、我も従うしかあるまい。魔王とて王。王に二言などない」


 今にも意識が薄れて倒れそうだけど、ゼロラージャさんの言葉だけはしっかり耳に入ってくる。長く苦しい戦いも、これにて閉幕だ。

 砂時計は確かに時を刻み終え、この決闘の終焉を語っている。ここまでボロボロになったのは初めてだけど、その成果は確かにあった。




 ――私とゼロラージャさんの決闘は、私の勝利で決まった。




「か、勝った……。よかっ……た……」

【ミ、ミラリア!? しっかりしろ!? おい!?】

「ミラリアさん! よ、よくぞここまで傷つきながら……!」

「誰か! 担架を持ってくるんだべ! すぐに手当てを!」


 勝利を理解したと同時に、私の中で緊張の糸も途切れてしまう。体を支えていた魔剣も手放し、闘技場の上で倒れ込まずにいられない。

 意識も薄れていく中で、最後に聞こえたのは私のもとへみんなが駆け寄ってくる声。決闘が終わり、一目散に駆け付けてくれたみたい。

 それに感慨深さを覚えつつも、流石に限界過ぎて返事もできずに瞼を閉じてしまう。


 ――そんな中で最後に見えたのは、私達を背にして闘技場から立ち去るゼロラージャさんとユーメイトさんの姿だった。





「ん……むぅ……ハッ!? ウドン! ウドン食べたい!」

「うひぃ!? ミラリアさん、目が覚めたですの!?」

「それはよかったんだべが、第一声がウドンってどういうことだべか……」

【まあ、ミラリアらしいと言えばらしいですけどね。一時はどうなることかと思いましたが、皆さんのおかげで峠は越えたようです。感謝します】


 次に目が覚めると、タタラエッジで寝泊まりしてた宿屋のお部屋の天井が目に入ってきた。

 このお部屋、シャニロッテさんとウドンの思い出が詰まってるから、ついついウドンのことが頭に浮かんでしまう。後、お腹も空いた。

 まだ体中が痛いけど、包帯で丁寧に手当てしてもらった跡が見える。どうやら意識を失った後、みんながここのベッド上まで運んでくれたみたい。

 室内にはツギル兄ちゃんだけでなく、シャニロッテさんとホービントさんもいる。最初は心配そうに顔を覗き込んでたけど、私の様子を見ると胸をなでおろして安心してくれる。


 ――ただ、同時に呆れた様子もまたまたプラス。だって、お腹が空いてたんだもん。これは仕方がない。


「ミラリアさん、あれから丸一日寝込んでましたの。幸い命に別状はないとのことでしたが、いつ目が覚めるか心配でヒヤヒヤでしたの」

「丸一日……ご飯何回食べ損ねた?」

【食から頭を離せ。とはいえ、よく無事だったもんだ。ルールがあったとはいえ、あの魔王相手に生きて帰ってこれるとはな……】

「んだんだ。まずは無事で何よりだべ」


 まだまだ痛みも疲労も抜けてないけど、ベッドの上で体を起こすぐらいはできる。

 どうにも、みんなを心配させちゃったみたい。まあ、丸一日も寝込んでたら心配にもなるか。

 その間ご飯も食べてなかったわけだし、生きてると分かってても不安にはなる。ご飯大事。


「心配させてごめんなさい。とりあえず、あれからは魔王軍から何もない?」

「魔王軍のことは大丈夫ですの。まだ坑道から完全撤退はできてないみたいですが、単純に時間がかかってるだけですの。向こうから攻めてくることはありませんの」

「何より、謝るのはこっちの方だべ。タタラエッジを魔王軍から守ってくれたのに、最初は信じることさえできなかったべ。……部屋の外で待ってる連中も、是非とも謝りたいって言ってるべよ」

「部屋の外? 誰かいるの?」


 そんな私を心配して待ってくれてたみたいだけど、他にも待ってたくれた人がいるみたい。

 この部屋は広くないし、シャニロッテさんとホービントさん以外は外で待っててくれたっぽい。

 いつ私が目覚めるかも分からないのに、気長に待ってくれてたのって誰だろう?




「や、やあ、お嬢ちゃん。無事みたいで俺らも安心したよ」

「これで目が覚めなかったら、後味が悪いなんて話じゃないからな……」




 ホービントさんに促されて部屋へ入ってきたのは、タタラエッジの人達だ。討伐メンバーの試験官をしてた兵隊さんを筆頭に、申し訳なさそうにゾロゾロ入ってくる。

 部屋の外にまで人が見えるほど集まってるし、そんなに私の目が覚めるのを待ってくれてたの? 待ってるだけでもお腹空かない?


「そういえば、私がゼロラージャさんに勝てたのもみんなのおかげ。応援してくれて――信じてくれてありがとう」

「……いや。俺らがお嬢ちゃんからそう言われる筋合いはない。虫のいい話なのは百も承知だが、改めて言っておかないとな」

「ふえ? 改めて? 何を?」


 私としてはこの人達にも心配かけたわけだし、決闘の最後では助けにも入ってもらった。ベッドの上から無作法ながらも頭を下げておく。

 そう思ってペコリとすると、逆にみんなの方が一斉に私へ頭を下げてくる。

 なんだか、私が凄く偉い人になってしまった気分。別にそういうわけじゃないんだけど、これはどういうことなのだろうか?

 さっきまで寝てたものだから、どうにも頭での理解が追い付かない。




「俺らタタラエッジを守るため、よくぞ魔王との決闘へ挑んでくれた。感謝する。……何より、俺らはそんなお嬢ちゃんを最初、信用することさえできなかった。そのことについては……本当に申し訳なかったと頭を下げることしかできない」

全てが終わり、それぞれの誤解も言葉で修正する時。

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