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少女は魔剣と共に楽園を目指す  作者: コーヒー微糖派
鍛冶鉱山で衝突する魔王
190/503

その少女達、緊急離脱する

こんなピンチも慣れてきたミラリア。

 キンッ ――ヒュン



「も、もうダメですのぉぉお!? ……って、あ、あら?」

「大丈夫。この奥は狭いからドラゴンさんも追って来れない」


 Sランクパーティーには逃げられ、ドラゴンさんにも迫られるというピンチな状況。

 でも、これぐらいのピンチなら落ち着いて対処できる。海でイカダが壊れた時の方が大変だった。

 崖を挟んだ洞穴へ転移魔法で移動。シャニロッテさんの手を引っ張り、奥の方まで逃げ込む。

 いくらドラゴンさんに翼があって空を飛べても、こんな狭いところまでは追って来れない。遠くから様子を伺うと、観念したように引き返す姿が見える。


「これで安心。落ち着いて対処すれば、これぐらいは造作もない」

【いきなりのドラゴンだったのに、上手く対応できたな。交戦しなくて正解だ】

「ツギル兄ちゃんが逃げ道を教えてくれたし、何よりシャニロッテさんだっている。私、シャニロッテさんのお世話を任されてる。だからきちんと守る」

「ま、まあ……わたくしを想って動いてくれたことには……その……感謝しますの……」


 ひとまず難は去り、洞穴の中でそれぞれ語り合う。今は他に誰もいないから、ツギル兄ちゃんも問題なくお喋りできるし丁度いい。

 シャニロッテさんも大丈夫そうで安心した。ちょっと顔を赤くしてうつむいてるけど、怪我とかはしてない。毒だって盛られる前だから、さっきの緊迫で火照ってるだけだろう。


「ミ、ミラリアさんはこういう事態に慣れてますの?」

「ドラゴンさんに追いかけられたのは初めて。でも、魔王軍と戦ったことはある。あの時はユーメイトさんって最高幹部も出てきて大変だった」

「ま、まま、魔王軍と戦ったことがありますの!? しかも最高幹部と!? よ、よく無事でしたのね……!?」

「あの時は色々と事情もあった。最終的にはユーメイトさんやスアリさんって人ともちょっぴり仲良くなれた」

「ま、魔王軍と仲良くなるって……!? どうにも、ミラリアさんはわたくしの想像もできない経験をしているみたいですの……!」


 シャニロッテさんにはなんだか感心されちゃうけど、私ってそんなに凄い体験ばっかりしてるのかな? これまでずっとエスカぺ村の中にいたから分かんない。

 魔王軍にしても私が思ってたよりとんでもない存在っぽいし、どうにもまだまだ知識が足りてない。価値観がズレてる気がする。

 これはもっと学習する必要がありそうだ。楽園を目指すこういった過程の中でも、何気ない成長のヒントはあると言えよう。


【まあ、世間話もほどほどにな。一応の窮地を脱したとはいえ、ここからどうするかはまだ考えないといけない】

「さっきのSランクパーティーの人達にも文句を言いたい。タタラエッジの人達にも伝えた方がいい」

「そうですわね。ただ、今は魔王軍の相手が先ですの。見たところ、この洞穴自体がまだ奥まで続いてるみたいですが、どこまで続いてますの?」


 まあ、細かいことは後で考えよう。いくらSランクパーティーの邪魔が入ったと言っても、目下の課題は継続中。

 洞穴の奥に目を向ければ、まだ道が続いてるっぽい。どこかしらに出口があるのかも。

 ここは当初の計画に戻り、魔王軍への強襲を優先しよう。


「大変な道のりですが、ミラリアさんと一緒なら行けそうな気がしますの。わたくし、安心できますの」

「最初の頃はあんなに私を疎ましく思ってたのに?」

「こうして交流する中で、人への評価は変わりますの。わたくしだって、少しは素直になりますの」

「素直になる……とても大事。私もシャニロッテさんを見習って素直になる」

「見習った相手に見習われるとは不思議ですの。でも、それがきっとミラリアさんですの。わたくしも理解できてきましたの」


 行動を共にするシャニロッテさんとも少しずつ心の距離が縮まってるのを感じる。シード卿とはまた違い、ランさんのようなお友達の感覚に近い。

 そんな小話も交えながら、洞穴を奥の方へとテクテク進む。この先が魔王軍に続いてればいいんだけど、そもそもどこに繋がってるんだろうか?

 完全に正規ルートを外れたからちょっと心配。




「キキ! キキー!」

「何? 人間どもの部隊は二手に別れてたのカ? 挟撃とは考えたガ、まだまだ温イ。ドラゴンを偵察に分けたあのお方の采配は確かであったナ」




 心配しながらも少しずつ狭い洞穴を奥へ進むと、少し先に開けた空間が見えてきた。誰かの声も聞こえる。

 声や話の内容からして、人間ではないっぽい。ならば魔王軍ってことかな。

 これは行幸。思わぬアクシデントで進路がズレちゃったけど、きちんと魔王軍には近づけたみたい。


「こ、これは……ついに魔王軍と交戦する機会ですの……!」

「そうみたい。ならまず、ここから出て挨拶しよう」

「あ、挨拶? いきなり奇襲でもするつもりですの?」

「そんなことはしない。魔王軍が相手でも失礼。私が先に出て、魔王軍さんと話をしてくる」

【お、おい。お前ってこんな時でもマイペース――って、聞いてもいないのかよ……】


 そんなわけで、まずは近くにいるらしい魔王軍さんへのご挨拶だ。いきなり背後から斬りかかるのは『戦いの中で生きる』ことをモットーとする魔王軍相手なら特に失礼。

 正々堂々、お互いの流儀に則って戦う。私も魔王軍のことは知ってるし、どんな時でも礼儀は大切。


「失礼する。あなた達は魔王軍の魔物さん? 私と相手をして欲しい」

「な、何を考えてますの……!? 本当に奇襲でも何でもなく、挨拶してますの……!?」


 ツギル兄ちゃんやシャニロッテさんにはまたしても呆れた反応をされるけど、もう私だって狭い道を出て挨拶しちゃった。

 やっぱり、どんな時でも礼儀は大切だと思う。魔王軍の中には話のできる魔物さんだっていたんだし、今回もそういった魔物さんがいるっぽいし――




「ッ!? こ、こんなところまで人間ガ――って!? 貴様はいつぞやユーメイト様と戦ったアホ毛剣客小娘じゃないカ!?」

「あっ、いつぞやの鎧の魔物さん。こんにちは」

鎧の魔物さん、チーッス。

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