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少女は魔剣と共に楽園を目指す  作者: コーヒー微糖派
鍛冶鉱山で衝突する魔王
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その少女達、現状を整理する

ミラリアはちょっとお馬鹿なので、情報整理も大事。

「アテハルコン……! あの雪山で管理人さんの肉体に使われてた……!?」

【ロードレオ海賊団の技術にしてもそうだが、こんなところでも楽園の手掛かりがあるとはな】


 シャニロッテさんが語るには、魔王軍の狙いはタタラエッジの坑道に眠るアテハルコンとのこと。雪山の下にあった謎の施設とも近い場所にあるし、タタラエッジで産出できてもおかしくはないか。

 それにしても、楽園への手掛かりがどんどんと増えるものだ。それだけ近づいてるってことでもあるのだろう。


「アテハルコンはタタラエッジでも長年探し求めてきた鉱物資源! その巨大な鉱脈を発見して話題になったのですが、そこに魔王軍の襲来ですの! アテハルコンはその強度だけでなく、高い魔力濃度もありますの!」

「魔力農土……? 畑に植えるとお野菜がよく育つとか?」

「『農土』じゃなくて『濃度』ですの! 魔法を使う者にとって、これ以上ない素材と言うことですの! わたくしの杖にしてもアテハルコンがあればさらなる強化が見込めますのに、魔王軍がいてはそれも叶いませんの! ……まあ、加工できる鍛冶屋のアテもないのですけど」

【するとその鍛冶屋ってのが、最初に押しかけてたホービントさんの師匠であるドワルフさんって人なのか。少しずつ話も見えてきたな】


 私も一度話を整理してみよう。


 タタラエッジにはアテハルコンが眠る坑道があり、魔王軍もそれを狙って襲撃してきた。ドラゴンを使うぐらいの徹底っぷり。

 シャニロッテさんはその話を聞き、魔王軍を倒して名をあげるのとアテハルコンの入手が目的。

 そのアテハルコンを加工できるのがドワルフさんって鍛冶屋さんで、ホービントさんのお師匠様らしい。今はいないみたいだけど。


「事情は理解した。なら、今日はゆっくり休んで明日の朝、しっかり魔王軍に挑めるようにする」

【シャニロッテちゃんもミラリアと一緒に行動するんだ。俺が言ったことを忘れず、心に秘めておいてくれよ】

「な、なんで完全に同行する話になってますの……!? わ、わたくしはわたくしだけで十分ですの!」


 目下の課題は魔王軍。明日は朝から忙しくなりそうだし、今日はぐっすりお休みしよう。

 ただ、シャニロッテさんのことが心配。魔王軍がどれだけ強いか、きちんと理解できてないのかな?


 あともう一つ。魔王軍と戦うことになっても、できる限りお互いに被害が出ない結末を望みたい。

 私も幹部のユーメイトさんにはお世話になったし、可能ならば話し合いでの解決だってしたい。もっとも、相手が魔王軍である以上は難しいか。


 ――戦いの中で生きる魔物の集団。それが魔王軍だって以前にも聞かされた。



 ググキュゥ~~



「あっ、お休みの前にご飯を食べなきゃ。ペコペコだと力が出ない」

「な、なんて気の抜けるお腹の虫の音ですの……」

【こいつは食べないと満足できない性分なんだ。……さっきまで色々話してたタイミングだと気が抜けるのは同意だがな】


 ただ、お休み前のご飯は大切。腹が減っては(いくさ)ができぬ。

 シャニロッテさんとツギル兄ちゃんには呆れた声を出されるけど、食べることはとても大事。それにご飯を食べれば、シャニロッテさんのイライラだって収まるかもしれない。

 何より、私にはさっきから食べたいものがある。


「今から宿の食堂に向かう。ホービントさんも食べてたウドンというものを食べに行く。シャニロッテさんも一緒に食べよう」

「ミ、ミラリアさんって、本当にどこまでもマイペースですの……。とはいえ、お望み通りに夕食とは行かないと思いますの」

「ふえ? どうして? シャニロッテさん、私とのご飯は嫌?」

「い、いえ、そういう意味ではなくて……。今は魔王軍の襲来もあって忙しく、宿の食事も各自で用意してるみたいですの。食材はいただけるみたいですが、調理は自分でする必要がありますの」

「ご飯は大事なのに、これじゃ士気も上がらない……」

【それだけ忙しいってことか。なら、夕食はどうする? 適当にパンでも摘まむか?】

「嫌。ウドンがいい。こうなったら、意地でもウドンを食べる」

「ど、どれだけ食べ物に執着する性格ですの……?」


 ウドンを食べたいんだけど、どうにも宿の食事まで手が回ってない様子。これはいただけない。

 とはいえ、私はウドンを一目見た時から、どうしても食べたいと願ってる。こうなったら仕方がない。


「なら、食堂でウドンの材料をもらってくる。自分で作る」

【そこまでして食べたいのか……。だが、本当に作れるのか? 初めての料理だろ?】

「そこは頑張る。雪山前に買った食材も余ってるし、似たようなものを作ってみる」


 ないならば作ればいい。エスカぺ村でだって、そうすることで生活してきた。

 一応はお料理もできなくはないし、他の材料だってある。完全に同じものは無理でも、あのチュルチュルとした細長い食材で何か作れるはずだ。


 ――ご飯で妥協はしたくない。食べるのは大好き。元気の源だ。


「いざ、ウドン作りへ。まずは白いチュルチュルをもらってくる」

「……あなたの妹さん、どれだけ食に興味を持ってますの?」

【色々と食事を知って、関心が止まらないんだろうな……】

レッツ・ウドン!

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