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少女は魔剣と共に楽園を目指す  作者: コーヒー微糖派
鍛冶鉱山で衝突する魔王
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その軍団、本格的に動く

ドラゴンを従えて動くのは、かつてミラリアも邂逅したあの軍団。

「な、なんだべと!? もう来ちまったべか!?」

「え? 何? 何が来たって言うの?」

「まさか、本当にドラゴンですの!? 外に出て確認しますの!」


 話を進めようとしてたら、突然ホービントさんのもとへ何かを知らせに来た住人さん。かなり慌てた様子だし、ホービントさん自身も何かを察した様子。

 こうなってくると、魔剣のことも何も後回しになってしまう。シャニロッテさんも一緒になって、みんなで外へ出て確認に向かう。


「そういや、ドラゴンとか言ってたけど、ドラゴンって何だろ?」

【……俺も話に聞いた程度だが、本当にドラゴンがこの街に来たのなら一大事かもな】

「それってどういう――わわっ!?」


 一緒になって外へ出れば、街の人達はみんなして上を見てる。私達も釣られて上を見てみる。

 見えるのはタタラエッジに陽の光を注ぎ込ませる穴。ただ、それ以外の影がいくつも見える。


 ――鳥さんのように翼があるけど、遠目でも鳥さんじゃないと分かる。頭に角、お尻に尻尾を生やした何かが飛んでる。


「もしかして……あれがドラゴン? 角と尻尾が見えたけど? ……不思議な生き物」

「わ、わたくし、初めてドラゴンを見ましたの! 授業でも習いましたけど、実際に見るのは初めてですの!」

「そこの娘っ子二人! 呑気だったり興奮したりで感想を述べてる場合じゃないべよ!? ド、ドラゴンが出てきたってことは、いよいよマズいべよ……!?」


 やはり、あの空飛ぶ翼と角と尻尾こそドラゴンさんらしい。あんな生き物は私も初めて見た。

 そんなドラゴンさん達はそのまま上空を飛び去って行き、タタラエッジの真上にある穴からは見えなくなってしまった。

 シャニロッテさんはどこか興奮してるけど、ホービントさんの方は何やら慌てた様子。ドラゴンさんが現れたからって、何がどうなるのだろうか?




「ドラゴンってのは、魔王軍の精鋭部隊だべ……! タタラエッジの坑道を狙う魔王軍が、本腰入れて攻め入ってきたってことだべよ……!」




 どうやら、タタラエッジを困らせてる魔物と言うのは、魔王軍のことだったらしい。そしてドラゴンさん達の襲来こそ、魔王軍が本格的に動き始めた合図ってことか。

 確かにあの角や尻尾は、どこかユーメイトさんにも似てる。あの人も冥途将とかいう魔王軍の偉い人らしいし、ドラゴンさん達が精鋭部隊と言うのもなんだか納得だ。


「ホービントさん! ここはやはり、あんたの力も必要だ! あのドワルフさんの弟子のあんたなら、魔王軍にも太刀打ちできる武器だって作れるだろ!?」

「そ、それは流石に厳しいべ! オラ、鍛冶の技術はドワルフ師匠に教えてもらったけんど、材料が足りないべ! と、ともかく、今はできることからするしかないべ! オラも準備に参加するだべ!」


 どういう状況なのかは見えてきたけど、そのせいでタタラエッジはさらに慌ただしくなってきた。

 街の住人やホービントさんも人の集まってた方角へ走り出し、私やシャニロッテさんは置いてけぼり。

 普通の人が魔王軍と聞くとこういう反応をするのか。私が初めて出会った時はスアリさんと一緒にユーメイトさんを助けることが目的だったし、逆に新鮮。


 ――ただ、そのせいで魔剣の話の続きを聞きそびれた。また聞きに行けばいいけど、これは残念。


「やはり、魔王軍襲来の噂は本当でしたのね……! これはわたくしも戦いに備えて準備し、予定通りに名を上げるチャンスに……!」

「魔王軍と戦う気なの? それはやめた方がいい。魔王軍はとっても強い」

「そのぐらいのこと、わたくしも当然理解してましてよ! ですが、魔法学都スーサイドにおいて『期待の超新星』と呼ばれる予定のわたくしからすれば、この程度の困難はなんてことありませんことよ!」

「……やっぱり『予定』なんだ。そういう自信が不安」


 残された私とシャニロッテさんだけど、とりあえずはその場に残ったままお話してみる。年齢も近いし、ランさんみたいに友達になれたら嬉しい。

 とは思うんだけど、ちょっとこのグイグイペースはついていきにくい。自信の根拠もよく分かんない。

 スーサイドってところの魔術師らしいけど、それって凄いことなの? ツギル兄ちゃんよりも凄いのかな?


「ねえねえ、シャニロッテさん。あなたは魔術師として、どんなことができるの? どれぐらい凄いの? 具体的に知りたい」

「むむ!? わたくしの溢れる気品と魔力に惹きつけられてますのね!?」

「別にそうとは思わない。ただ、私は誰よりも凄くて偉大な魔術師を知ってる。あなたがその人と比べてどうなのか、失礼ながらも興味ある」

「わたくしの力に興味があるのは事実のようですわね! でしたら、丁度いい機会ですの! この上に行って、今からお見せしますの!」

「この……上?」


 シャニロッテさんに詳細を尋ねると、自信満々に上の方を指差して答えてくれる。

 確かに見せてもらえるなら早い。私としてはツギル兄ちゃんという魔術師とどうしても比べてしまうし、どっちの方が凄いのかが純粋に気になる。

 そんな話の中で出てきたのは、タタラエッジの上に空いてる穴の先で何かするとのこと。でも、何をするのだろう?




「あの穴の先にて現在、魔王軍と戦える人材を選ぶ試験を行っていますの! その場にて、わたくしの実力を盛大にお見せしますの!」

魔王軍が相手でも自信満々なシャニロッテの実力や如何に?

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