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少女は魔剣と共に楽園を目指す  作者: コーヒー微糖派
新たな大陸と謎の海賊団
104/503

{トラキロのその後}

三人称による幕間。


トラキロとロードレオ海賊団のその後。

(後、捕らえられたAランクパーティーの二人)

◇ ◇ ◇



「トラキロ副船長。いい加減、機嫌を直してほしいでヤンス」

「うるせェ……。人の下半身丸出しを散々ネタにしやがってェ……」

「それについては申し訳なかったでゴンス」

「川底ぐらい深くごめんなさいでアリンス」

「それ、全然反省してねェだろォ……」


 下半身スッポンポンという醜態を晒し、ミラリアに敗北したトラキロ。その者を副船長として従うロードレオ海賊団の面々。

 彼らの海賊船もポートファイブを離れ、夜の大海原を進んでいた。

 副船長であるトラキロはミラリアから受けた精神ダメージが残りつつも、新しいズボンを履いて甲板で船の舵取りをしていた。


「そういえば、あの剣客小娘が使ってた剣は奇妙でヤンしたね」

「思ってたんでゴンスが、あれって船長が使う『ポン刀』と同じじゃないでゴンスか? 鞘の形状は似てたでゴンス」

「とはいえ、船長のポン刀には鍔がないでアリンス。それにあれより短いでアリンス」

「その辺りも含めて、船長に報告は必要だよなァ。面倒だけどよォ」


 そんな彼らにとって、ミラリアの存在――もとい、手にした魔剣には見覚えのあるものであった。

 ミラリアとツギルも示唆していた、ロードレオ海賊団と楽園の関連性。わずかながらも、それは確かに存在していた。

 船や武器に用いられているカラクリという技術だけでなく、魔剣の存在もここに関りを示す。


「どのみち、オレも船長に頼んでもうちょっと強度を上げてもらわねェとなァ」

「え? 今以上にでヤンスか?」

「体の強度は十分だと思うでゴンスよ?」

「体の方じゃねェよォ。ズボンとパンツの強度を上げてもらうんだァ」

「……結構、根に持ってるでアリンスね」

「船長の女好きには困ったもんだが、カラクリの力は本物だァ。次にミラリアちゃんと会った時は、こうも行かねェよォ」


 そして、それらの糸をつなぐ者こそ、ロードレオ海賊団の船長。海賊船が目指すのは、その船長が潜む場所。


「ところで、船長は今どこにいるんだったかなァ?」

「えーっと……カムアーチでヤンスね」

「カムアーチって、冒険者も大勢集う街だったよなァ? ……まさか船長、また女の尻でも追っかけてるのかァ? 勘弁してくれよなァ……」


 あろうことか、その場所はミラリアとツギルが目指す場所と同じ歓楽都市カムアーチ。

 何の因果か、ミラリア達はロードレオ海賊団船長が潜む場所へと進んでいた。しかも厄介なことに、船長は女狂いと称される人間である。


 ――ミラリアの身に迫るのは、いまだ想像できない脅威と言えよう。


「どうせ船長に女を献上するなら、あの剣客小娘がよかったでゴンスね」

「あー、船長って、あれぐらいの幼い少女が好きでアリンスね」

「ゴチャゴチャ言うなァ。ミラリアちゃんを捕まえるのは、骨が折れるなんてレベルじゃァねェ。とりあえずは二人捕まえれたんだし、それで十分だろォ。……正直、オレも女を献上するのは気が進まねェしよォ」


 トラキロもミラリアの実力を把握している以上、交戦は避けるべきだとも考えてはいる。何より、トラキロにも罪悪感はある。

 そんなそれぞれの動向など露知らず、ミラリアが再びロードレオ海賊団と衝突する時は近づきつつあった。


「とりあえず、今はあのAランクパーティーの女二人の献上が先だァ。船長に会わせるまでは、オレの方で可愛がってやるぜェ。船長からも言われてるからなァ」


 ただ、トラキロもロードレオ海賊団ではあくまで副船長。トップである船長の意向には逆らえない。

 捕らえたAランクパーティーの二人についても、船長から言われた通りに扱う必要がある。甲板から一度船室へ向かうと、彼女達の元へと向かう。

 ロードレオ海賊団に捕らえられた女達の末路。それは扉を開いた先に広がるのだが――


「おォう、テメェらァ。オレの作ったマジマグロの刺身の味はどうだァ? 美味いかァ?」

「トラキロさん、あんたこんなに美味しい料理作れたの! かなり見直しちゃったんだけど!?」

「生のお魚が口の中でとろけていい感じー!」


 ――意外と好待遇であった。


「こうやって女のご機嫌取りしないと、後で船長がうるさいでヤンスからねー」

「船長、ワガママが過ぎるでゴンス」

「そのおかげで、トラキロ副船長は料理の腕が上がってしまったでアリンス。……これは良かったのでアリンス?」


 船室で美味しそうな料理を振る舞われる女達を見て、変な語尾トリオも複雑な表情を浮かべる。

 世間では強奪や人攫いを行い、悪名の限りを尽くすロードレオ海賊団。カラクリを主体としたその力は、世界的に見ても脅威と言えよう。


 ――ただ、その中身はどこか緩い。



◇ ◇ ◇

「新たな大陸と謎の海賊団」はここまでです。

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