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ブレイクソード  作者: 遊者
世界戦
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第九十八話 世界戦8

「ここは一体,,,」蘇生魔法により目が覚めたアクセルはきょろきょろと周囲を見渡し始めた。目の前に難敵がいるというのに悠長な奴だ。


「先程と同じ場所だ。それよりも敵がいる。集中しろ」右手に持った神具である本を開く。名をカフカナトス。英霊を召喚し身に宿すことができる。


「面倒くせぇことしやがるな,,,お前らは先に行け。ここは俺がケリをつけておく」二刀の短剣を手にした男が前に出た。


「俺も戦う。行かせるのは堕落者だけでいい」打開者はそう言い切ると背中に載せていたはずの女を時空の彼方まで飛ばしてしまった。


面倒臭いのはどっちなのだろうか。


「二対二か。アクセルは再び強奪者と戦え」未だに状況を掴めていないアクセルの背中を叩く。


「分かりました。次は負けません」しかし私の言葉で覚悟を決めた顔をした。適応能力はやはりずば抜けている。


「引き続き強奪者を任せる」英霊が記されたページをめくりながら前に出る。ここまで用意された舞台で敗北を喫することは無いだろう。


「分かりました」後方から短剣を引き抜く音と同時に、激しく金属が衝突する音が響き始めた。


「もう一度来るのか?」奴は練りだした闘気を全身に纏い、浅く呼吸を始めた。


先程の闘気でも全力ではないと,,,まぁ、そっちの方が好都合だ。今から降ろすのはピンチであればある程、力が増幅する。


「無論。死してなお戦うのが霊神だ」


「その勇気だけは褒めてやる」称賛の言葉を言い放つと同時に姿勢が低くなった。右手を後方に伸ばし、左手は地面を抉る様に掴み、頭は地面に触れそうなほど下がっているが、目線は依然我を殺そうと見据えている。


攻撃が来る前に英霊を降ろすか,,,いや、一撃貰っておこう。


「冥府でも誇るといい」視認すら許されない程の超高速で槍の形を模した闘気が放たれた。避けることは不可能。かといって防ぐことも不可能。先程と同じような結末を辿るのは必然。だが、それでいい。今はこの痛みすらも糧になる。


「がっ!!」胴体に大きな穴が空く。生命維持を行うために必要な臓器は全てくり抜かれる。それと同時に衝撃の余波が脳みそを完全に焼き切った。


「呆気ねぇな」


「それはどうだろうな」前回と違うのは魂を他の軸から持ち運んだこと。そしてその魂は全て我由来の強大な物であるということ。


「再生!!」魂から発した言葉に世界が従い、壊れた体と鎧は見る見るうちに巻き戻っていき、攻撃を受ける前まで修復した。


「降りろ、ゲーゲン」~英霊~

そして、あらかじめ開いていた英霊の名を声に出す。


この英雄は戦場の最前線に立ち仲間に向かう攻撃全てをその身に受け、立ち続けた歴史に名を刻むほどのタンクだ。


しかし、彼の本領はそこではない。彼の能力は反撃。受けた攻撃を数十倍にして跳ね返す。圧倒的なタフネスと能力が噛み合い、猛者として生きることができた。


今の我の身にその全てが宿っている。


「まだ立つのか」彼は少しだけ感心したような素振りを見せた。


「退くわけにはいかないからな」


「苦痛を先延ばしにして何が楽しいのか、俺には全く分からない」


「お前等みたいなのには、一生をかけても分からないものさ」


「壊すだけの奴らの考えなんて、理解したくもねぇ」彼は再び、闘気を練り上げ槍を作り上げた。先程の物よりも遥かに鋭く、不気味なほどに冷え切っていた。


「死にな」再び心臓に向かって槍が放たれる。が、鎧は貫いていても体を貫くことは無く、それどころか皮膚にすら傷が付いていない。


これが古代から伝わる英雄の力か。敬意を示さなくてはな。


「それが全力か?」能力の震えを感じない。これでは反撃を発動させることができない。もっと高火力で致命的な一撃を誘発させねばならない。


「安心しろよ。一割にも満たねぇからよ」瞬時に闘気を練り合わせると長剣の形に変化した。槍は下等生物を効率よく刈るための形態なのだろう。


「次は二割だ」剣が陽炎のように揺らめくと同時に地面に巨大な亀裂が走り崩落する。重力魔法で浮き上がろうにも気の影響で魔力が散らされてしまう。


「耐えれるだろ?」遥か上空から無数の剣が降り注ぐ。乱雑に落ちてくるように見えるが、全てが私の力を削ぐように体に突き刺さる。


だが、その全てが致命傷には至らない。皮膚の上に軽い切り傷を付けるだけで一瞬で治癒してしまう。


「鎧がみすぼらしくなるな」ボロボロになり肌が露出し始めている。傷を負っているかどうか判断しやすくなっているから放置でもいいだろう。


「その余裕もどこまで持つかな?」~宝剣~

先程よりも煌びやかに光り輝く剣が烈度を増して降り注ぐ。


「ふむ,,,攻撃力が飛躍的に上昇しているな」剣が掠めた部分は皮膚が切れ流血し、突き刺さった部分は弾くことは出来ているが小さな穴が空いている。


「だが、まだ足りない」この程度の損傷では能力が発動しない。いったい彼はいったいどれほどの傷を負い、最前線に立ち続けたのだろうか。


「まだ耐えるか。なら次は五割だ!!」~崩剣~

天空よりも遥か彼方から彗星を蜂起させる巨大な剣が一つ堕ちてくる。何も装飾もされていない無骨な大剣だが、圧倒的な力を感じる。まるで我々が握る神具の様だ。


「これで発動するかもな」迫りくる脅威を見据えながら心を落ち着かせる。無駄な高ぶりがあると防御に揺らぎが生まれてしまう。


「余裕こけるのも今の内だぞ?」彼の言葉で武器が始動した。剣が爆散し無数の彗星のように空を覆い尽くし、地上に降り注ぐ。


「ぐっ!」尋常ではない程の密度で体を通過していく。掠めた部分は大きく抉れ、突き刺さった部分には大きな穴が空き、風が吹き込んでいく。


苦痛で顔が歪み、苛立ちすらも覚える頃、ようやく英霊の能力が震え始めた。


「ここまで喰らわないと駄目か」四肢の欠損は無いが、流血が酷い。ここまで追い込まなければ使えないのか,,,ゲーゲンは肉体が強靭で能力を使う必要もあまり無かったのだろう。


「まぁいい。解放!」~反撃~

能力の揺らぎに意識を合わせ、発動させる。


すると体が怒りに飲まれたような高ぶりに飲まれ、気が付くと深紅の光に包まれていた。体の芯から湧き上がる力は全てを跳ね返せそうだ。


「何を考えてんだ?」~鏡剣~

打開者が笑うと姿が二重になり、迫りくる剣も倍に膨れ上がった。恐らくは分身、それか倍化、もしくは複製のどれかだろう。まぁ、ゲーゲンが目攻めた今、脅威になりうることは無い。


「貴様には理解できないものだ」不敵に笑い、攻撃を体で受け止める。剣が体に触れたそばから深紅の輝きを放つオーブが現れる。


全てを照らしながら浮遊するそれは瞬く間に形を変え、レーザーとなって打開者を貫いた。


「ぐっ!?」混乱する奴を無視するように今までの攻撃の数だけレーザーが体を貫き、今までのダメージの量だけ、威力を増した。


次々と撃ち込まれる光線に抵抗することもできず、打開者の身体は崩壊を始めた。腕は焼け落ち、足は光に飲み込まれ、体には無数の大穴が空いた。


「これほどとはな」大地の割れ目から脱出し、ゲーゲンの力を思い知る。遥か昔の人間の力は神の知恵すらも凌駕している。やはり創造神が逃げ出したのはこういった理由もあるのだろう。自分ですらコントロールすることすらできないものを生み出してしまったのだから。


「まだ、終わってねぇぞ,,,?」満身創痍の上位者が目の前に立ちはだかる、が、先程の様な恐怖も感じなければ脅威も無い。死を待つだけの奴に興味はない。


「もう終わりだ。終炎」一点に魔力を掻き集め、火炎魔法を発動させる。魔法防御すらもままならない奴は魔法を受け入れることしかできない。


「意外と呆気なかったな」神具を使えば上位者すらも軽く屠れることを知れたのは良いことだ。皆にも伝えなくては。


「まだ終わってねぇって言ったよな?」背後から奴の声が聞こえる。


まずい。


「ちっ!!」咄嗟に爆発魔法で自身を攻撃し後方へと吹き飛ばす。全身をほぼ灰にしても殺せないというのか。


「忘れたのか?俺はどんな窮地に立たされても打開する上位者だぞ?」~凶剣~

朽ち果てた体は元の時間を巻き戻したのか、元通りになり、手にはどこか見覚えのある大剣が握られている。どこで見たのか一向に思い出すことができない。


「なんだその顔は?俺の大剣に見覚えでもあんのか?」我の心を見透かすように打開者は笑った。そして続けるように口を開く。


「そうだよなぁ。お前は俺達と同じで他の軸に行き来できるもんなぁ。なら、答えは一つしかないよなぁ??」憎悪が沸き上がる程の笑みを浮かべ、言い放った。


「俺は世界を取り戻す一員、ブレイクだ。さぁ、第二ラウンドを始めようぜ?」

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